7-3 セキュリティと社内ルール
Codex を組織で安全に使い続けるための設計。扱ってよい情報の線引き、外部に出るかどうかの判断、社内ルールの作り方を非エンジニア向けに解説します。
このレッスンでわかること
本コースの最後です。組織で安全に使い続けるための設計を扱います。
- 扱ってよい情報の線引きができる
- どの操作で情報が外に出るかがわかる
- 実際に運用できる社内ルールが作れる
大前提:情報がどこへ行くか
**まずここを整理してください。**Codex の使い方によって、情報の行き先が変わります。
| 使い方 | 手元のファイルは | 会話の内容は |
|---|---|---|
| 手元での実行 | 手元にとどまる | サービス側へ送られる |
| クラウド実行(5-2) | 複製されて送られる | 送られる |
| Chrome 拡張(5-3) | 画面の内容が送られる | 送られる |
**重要なのは1行目です。**手元で動かしていても、あなたが投げた指示と、Codex が読んだファイルの内容は、判断のためにサービス側へ送られます。
「ローカルで動いているから外に出ない」というのは誤解です。外に出ない部分と出る部分がある、が正確な理解です。
扱ってよい情報の線引き
組織で使うなら、ここを最初に決めてください。
3段階で分ける
| 区分 | 例 | 扱い |
|---|---|---|
| 公開情報 | 公開済み資料、一般的な知識 | 制限なく扱える |
| 社内情報 | 業務手順、社内資料、集計データ | 会社の判断が必要 |
| 機微情報 | 顧客の個人情報、未公開情報、認証情報 | 扱わせない |
3段階目は仕組みで止めてください。「気をつける」では守れません。
機微情報を止める方法
第3章の内容がそのまま効きます。
- サンドボックス:機微情報が入ったフォルダを作業フォルダにしない
- AGENTS.md:「このファイルは読まない」と書く(ただしお願いレベル)
**確実なのはサンドボックスです。**作業フォルダの選び方が、そのまま情報の境界になります。
判断に迷ったら
このフォルダに、個人情報や機密情報が含まれていそうなファイルはありますか。
ファイル名と、なぜそう判断したかを教えてください。
読み取り専用の状態でこう聞けば、棚卸しができます。
事故が起きやすい場面
実際に起きやすいものを挙げます。
| 場面 | 対策 |
|---|---|
| テストのつもりで本番データを使う | 練習用フォルダとダミーデータを用意する |
| 確定版を上書きする | ファイル名で分ける。サンドボックスと承認で止める |
| 自動実行が想定外の場所を触る | サンドボックスを効かせる(6-3) |
| 作った資料をそのまま外部へ出す | 送信は人がやると決める(5-3, 6-3) |
| 共有した設定に機密が混ざる | 共有前に確認する(4-2) |
**すべて本コースで扱ってきた内容です。**セキュリティは特別な章の話ではなく、日々の設定の積み重ねです。
社内ルールを作る
「気をつけましょう」では運用できません。判断できる形にしてください。
最低限決めること
- 扱ってよい情報の範囲(上の3段階で線を引く)
- クラウド実行を使ってよいか(外部にファイルが出るため)
- 自動実行で送信・投稿をさせない
- 共有する設定に機密を入れない
- 困ったときの相談先
**5番目を忘れないでください。**判断に迷ったときに聞ける先がないと、各自が自己判断で進めてしまいます。
ルールは短く
**長いルールは読まれません。**A4 1枚に収めてください。
Codex に手伝わせることもできます。
いまチームで決めたい運用ルールの草案を作ってください。
【前提】
- 非エンジニアのメンバーが読む
- A4 1枚に収める
- 「なぜそうするか」を1行ずつ添える
【含めること】
(上の5項目を書く)
**「なぜそうするか」を書かせるのがポイントです。**理由のないルールは守られません。
定期的に見直す
一度決めて終わりにしないでください。
| 頻度 | 見直すこと |
|---|---|
| 月1回 | 設定した自動実行の一覧。不要なものを止める |
| 四半期 | AGENTS.md と Skills。使われていないものを削る |
| 仕様変更があったとき | 承認モードとサンドボックスの設定 |
**3番目が要注意です。**Codex は更新が速く、設定項目の名前や既定値が変わることがあります。大きな更新のあとは、一度設定を確認してください。
いまの承認モードとサンドボックスの設定を教えてください。
想定どおりか確認したいので、それぞれが何を制限しているかも説明してください。
本コースのまとめ
全7章で扱ってきた内容を整理します。
| 章 | 身につけたこと |
|---|---|
| 第1章 | Codex の全体像と、Claude Code との違い |
| 第2章 | 自分に合った入口の選択と、最初の指示 |
| 第3章 | 承認モードとサンドボックスの2層構造 |
| 第4章 | AGENTS.md で毎回の説明をなくす |
| 第5章 | 並行作業・クラウド・ブラウザ操作 |
| 第6章 | Skills・プラグイン・定期実行で仕組みにする |
| 第7章 | コスト管理と組織展開 |
**核になるのは第3章です。**承認とサンドボックスが独立していることが、Codex を業務で安心して使える理由になります。
この先
本コースは Codex 固有の部分に絞りました。次のような広げ方があります。
- 指示の出し方をさらに磨く → Claude Code 入門コースの第3章・第5章(ツール共通の内容です)
- 業務自動化の実例を増やす → 同コースの第4章
- 機能の詳細を調べる → OpenAI Codex リファレンス
やってみよう
- 情報を3段階に分ける:自分が扱うファイルを、公開情報・社内情報・機微情報に分類しましょう
- 機微情報を隔離する:機微情報が作業フォルダに入っていないか確認し、入っていれば作業フォルダを変えてください
- 棚卸しさせる:読み取り専用の状態で「個人情報や機密情報が含まれていそうなファイルはあるか」と聞いてみましょう
- ルールの草案を作る:上の5項目でチームのルール草案を作らせ、A4 1枚に収めてください
- 見直しの予定を決める:月次・四半期の見直しを、実際にカレンダーへ入れましょう
まとめ
- **「手元で動いているから外に出ない」は誤解。**指示と読んだ内容はサービス側へ送られる
- 情報は公開 / 社内 / 機微の3段階で線を引く
- **機微情報は仕組みで止める。**確実なのはサンドボックス(作業フォルダの選び方)
- 事故は本コースで扱ってきた設定の積み重ねで防げる。特別な対策ではない
- 社内ルールはA4 1枚。「なぜそうするか」を添える
- **相談先を決めておく。**ないと各自が自己判断する
- 大きな更新のあとは設定を確認する
理解度チェック
Q1. 手元のパソコンで Codex を動かしている場合、正しい理解はどれでしょう?
- すべての情報が手元にとどまり、外部には一切送られない
- ファイル自体は手元にとどまるが、指示の内容や Codex が読んだ内容はサービス側へ送られる
- 有料プランなら外部に送られない
- インターネットを切断すれば通常どおり使える
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正解:2
手元での実行では、ファイルそのものがクラウドへ複製されることはありません。ただし、あなたが投げた指示と、Codex が判断のために読んだ内容はサービス側へ送られます。「外に出ない部分と出る部分がある」が正確な理解です。機微情報は、そもそも読ませない設計にしてください。
Q2. 機微情報を Codex に扱わせないための方法として、最も確実なものはどれでしょう?
- AGENTS.md に「このファイルは読まないで」と書く
- 機微情報が入ったフォルダを作業フォルダにせず、サンドボックスで範囲を制限する
- 作業のたびに気をつける
- ファイル名を分かりにくくする
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正解:2
AGENTS.md は指示であって強制ではなく、「気をつける」は運用で必ず破綻します。確実なのは、そもそも届かない状態を作ることです。作業フォルダの選び方が、そのまま情報の境界になります。