AI Tools 2026年8月27日

7-3 セキュリティと社内ルール

Codex を組織で安全に使い続けるための設計。扱ってよい情報の線引き、外部に出るかどうかの判断、社内ルールの作り方を非エンジニア向けに解説します。

難易度基本的な操作を一度試したことがある前提です所要時間約 40 分種別学習コース

先に読む3-3 自分の運用モードを決める/7-2 チームに広げる

このレッスンでわかること

本コースの最後です。組織で安全に使い続けるための設計を扱います。

  • 扱ってよい情報の線引きができる
  • どの操作で情報が外に出るかがわかる
  • 実際に運用できる社内ルールが作れる

大前提:情報がどこへ行くか

**まずここを整理してください。**Codex の使い方によって、情報の行き先が変わります。

使い方手元のファイルは会話の内容は
手元での実行手元にとどまるサービス側へ送られる
クラウド実行(5-2)複製されて送られる送られる
Chrome 拡張(5-3)画面の内容が送られる送られる

**重要なのは1行目です。**手元で動かしていても、あなたが投げた指示と、Codex が読んだファイルの内容は、判断のためにサービス側へ送られます。

「ローカルで動いているから外に出ない」というのは誤解です。外に出ない部分と出る部分がある、が正確な理解です。

扱ってよい情報の線引き

組織で使うなら、ここを最初に決めてください。

3段階で分ける

区分扱い
公開情報公開済み資料、一般的な知識制限なく扱える
社内情報業務手順、社内資料、集計データ会社の判断が必要
機微情報顧客の個人情報、未公開情報、認証情報扱わせない

3段階目は仕組みで止めてください。「気をつける」では守れません。

機微情報を止める方法

第3章の内容がそのまま効きます。

  • サンドボックス:機微情報が入ったフォルダを作業フォルダにしない
  • AGENTS.md:「このファイルは読まない」と書く(ただしお願いレベル)

**確実なのはサンドボックスです。**作業フォルダの選び方が、そのまま情報の境界になります。

判断に迷ったら

このフォルダに、個人情報や機密情報が含まれていそうなファイルはありますか。
ファイル名と、なぜそう判断したかを教えてください。

読み取り専用の状態でこう聞けば、棚卸しができます。

事故が起きやすい場面

実際に起きやすいものを挙げます。

場面対策
テストのつもりで本番データを使う練習用フォルダとダミーデータを用意する
確定版を上書きするファイル名で分ける。サンドボックスと承認で止める
自動実行が想定外の場所を触るサンドボックスを効かせる(6-3)
作った資料をそのまま外部へ出す送信は人がやると決める(5-3, 6-3)
共有した設定に機密が混ざる共有前に確認する(4-2)

**すべて本コースで扱ってきた内容です。**セキュリティは特別な章の話ではなく、日々の設定の積み重ねです。

社内ルールを作る

「気をつけましょう」では運用できません。判断できる形にしてください。

最低限決めること

  1. 扱ってよい情報の範囲(上の3段階で線を引く)
  2. クラウド実行を使ってよいか(外部にファイルが出るため)
  3. 自動実行で送信・投稿をさせない
  4. 共有する設定に機密を入れない
  5. 困ったときの相談先

**5番目を忘れないでください。**判断に迷ったときに聞ける先がないと、各自が自己判断で進めてしまいます。

ルールは短く

**長いルールは読まれません。**A4 1枚に収めてください。

Codex に手伝わせることもできます。

いまチームで決めたい運用ルールの草案を作ってください。

【前提】
- 非エンジニアのメンバーが読む
- A4 1枚に収める
- 「なぜそうするか」を1行ずつ添える

【含めること】
(上の5項目を書く)

**「なぜそうするか」を書かせるのがポイントです。**理由のないルールは守られません。

定期的に見直す

一度決めて終わりにしないでください。

頻度見直すこと
月1回設定した自動実行の一覧。不要なものを止める
四半期AGENTS.md と Skills。使われていないものを削る
仕様変更があったとき承認モードとサンドボックスの設定

**3番目が要注意です。**Codex は更新が速く、設定項目の名前や既定値が変わることがあります。大きな更新のあとは、一度設定を確認してください。

いまの承認モードとサンドボックスの設定を教えてください。
想定どおりか確認したいので、それぞれが何を制限しているかも説明してください。

本コースのまとめ

全7章で扱ってきた内容を整理します。

身につけたこと
第1章Codex の全体像と、Claude Code との違い
第2章自分に合った入口の選択と、最初の指示
第3章承認モードとサンドボックスの2層構造
第4章AGENTS.md で毎回の説明をなくす
第5章並行作業・クラウド・ブラウザ操作
第6章Skills・プラグイン・定期実行で仕組みにする
第7章コスト管理と組織展開

**核になるのは第3章です。**承認とサンドボックスが独立していることが、Codex を業務で安心して使える理由になります。

この先

本コースは Codex 固有の部分に絞りました。次のような広げ方があります。

やってみよう

  1. 情報を3段階に分ける:自分が扱うファイルを、公開情報・社内情報・機微情報に分類しましょう
  2. 機微情報を隔離する:機微情報が作業フォルダに入っていないか確認し、入っていれば作業フォルダを変えてください
  3. 棚卸しさせる:読み取り専用の状態で「個人情報や機密情報が含まれていそうなファイルはあるか」と聞いてみましょう
  4. ルールの草案を作る:上の5項目でチームのルール草案を作らせ、A4 1枚に収めてください
  5. 見直しの予定を決める:月次・四半期の見直しを、実際にカレンダーへ入れましょう

まとめ

  • **「手元で動いているから外に出ない」は誤解。**指示と読んだ内容はサービス側へ送られる
  • 情報は公開 / 社内 / 機微の3段階で線を引く
  • **機微情報は仕組みで止める。**確実なのはサンドボックス(作業フォルダの選び方)
  • 事故は本コースで扱ってきた設定の積み重ねで防げる。特別な対策ではない
  • 社内ルールはA4 1枚「なぜそうするか」を添える
  • **相談先を決めておく。**ないと各自が自己判断する
  • 大きな更新のあとは設定を確認する

理解度チェック

Q1. 手元のパソコンで Codex を動かしている場合、正しい理解はどれでしょう?

  1. すべての情報が手元にとどまり、外部には一切送られない
  2. ファイル自体は手元にとどまるが、指示の内容や Codex が読んだ内容はサービス側へ送られる
  3. 有料プランなら外部に送られない
  4. インターネットを切断すれば通常どおり使える
答えを見る

正解:2

手元での実行では、ファイルそのものがクラウドへ複製されることはありません。ただし、あなたが投げた指示と、Codex が判断のために読んだ内容はサービス側へ送られます。「外に出ない部分と出る部分がある」が正確な理解です。機微情報は、そもそも読ませない設計にしてください。

Q2. 機微情報を Codex に扱わせないための方法として、最も確実なものはどれでしょう?

  1. AGENTS.md に「このファイルは読まないで」と書く
  2. 機微情報が入ったフォルダを作業フォルダにせず、サンドボックスで範囲を制限する
  3. 作業のたびに気をつける
  4. ファイル名を分かりにくくする
答えを見る

正解:2

AGENTS.md は指示であって強制ではなく、「気をつける」は運用で必ず破綻します。確実なのは、そもそも届かない状態を作ることです。作業フォルダの選び方が、そのまま情報の境界になります。