1-2 Claude Code と何が違うのか|使い分けの判断軸
Codex と Claude Code の違いを非エンジニア向けに整理。承認とサンドボックスの2層構造、指示ファイルの連結方式、GUI での並行作業など、実際の使い勝手に効く差分と使い分けの判断軸を解説します。
このレッスンでわかること
- Codex と Claude Code の、実際の使い勝手に効く違いがわかる
- どちらを主に使うかの判断軸が持てる
- 併用するときの考え方がわかる
「どちらが優れているか」ではなく、得意な場面が違うという前提で読んでください。
大前提:できることの大半は同じ
先に率直に書いておきます。日常業務でやることの大半は、どちらでもできます。
- ファイルを読んで整理する
- 資料を作る
- 決まった手順を繰り返す
- 調べてまとめる
ここに差はほとんどありません。選択を分けるのは、これから挙げる4点です。
違い1:安全の止め方が2層になっている
**Codex の最大の特徴です。**第3章まるごとを使って扱いますが、ここで概要を押さえます。
Codex には「止める仕組み」が2つ独立してあります。
| 層 | 何をするか |
|---|---|
| 承認モード | 実行前に「やっていいですか」と聞く。人が判断する |
| サンドボックス | OS の機能で、そもそも触れる範囲を物理的に制限する |
重要なのは、この2つが独立していることです。承認を「毎回聞かない」設定にしても、サンドボックスは効き続けます。
Claude Code は権限設定と Hooks で制御しますが、これは「Claude Code というアプリの中での制限」です。Codex のサンドボックスは OS レベルの壁(macOS なら Seatbelt、Linux なら Landlock)で、アプリの外側から縛ります。
「AI に作業を任せるのが不安」という人にとって、この違いは大きいはずです。仕組みとして「そこには触れない」を作れます。
違い2:指示ファイルの読まれ方
どちらも「毎回説明しなくて済むように、ルールをファイルに書いておく」仕組みを持ちます。名前と挙動が違います。
| Codex | Claude Code | |
|---|---|---|
| ファイル名 | AGENTS.md | CLAUDE.md |
| 階層があるとき | 経路上のすべてを連結する | 下位が上位を上書きする |
ここは実務で効きます。
たとえば 会社/経理/2026年度/ というフォルダ構成で、各階層に指示ファイルを置いた場合。
- Codex:3つすべての内容が積み上がって適用される
- Claude Code:いちばん近いものが優先される
**Codex は「全部足す」、Claude Code は「近いものが勝つ」**と覚えてください。会社全体のルール・部門のルール・案件のルールを積み重ねたい場合、Codex の方式は素直です。
違い3:GUI での並行作業
Codex アプリは、複数の作業を同時に走らせて、タブで切り替えることを前提に作られています。
- 複数スレッドの並行実行
- 変更内容を差分で確認してから採用
- Worktree モード(元のファイルに触れずに試す)
「時間のかかる作業を投げておいて、別のことをする」という使い方をしたいなら、Codex アプリは相性が良いです。第5章で扱います。
違い4:ブラウザと画面を操作できる
Codex には、ブラウザ上の作業を任せる手段があります。
- Chrome 拡張:サインイン済みのブラウザで、画面を見ながら作業する
- Computer Use:画面そのものを操作する(macOS 限定、権限設定が必要)
「Web の管理画面に同じ入力を繰り返している」「複数のサイトから情報を集めている」といった作業は、ファイル操作ではないため従来のAIエージェントでは任せにくい領域でした。ここは Codex の独自性が出ます。第5章で扱います。
使い分けの判断軸
まとめると、次のようになります。
| こういう場合 | 向いているのは |
|---|---|
| 手元のファイル作業が中心 | どちらでもよい |
| 「触ってほしくない場所」を仕組みで確実に止めたい | Codex(サンドボックス) |
| 会社→部門→案件とルールを積み上げたい | Codex(AGENTS.md の連結) |
| 複数作業を並行させ、GUI で確認したい | Codex(アプリ) |
| ブラウザ上の作業を任せたい | Codex(Chrome 拡張) |
| すでに ChatGPT を契約している | Codex(追加契約が不要) |
| すでに Claude を契約している | Claude Code |
実際のところ
**契約しているサブスクリプションで決めるのが現実的です。**Codex は ChatGPT のプランに含まれ、Claude Code は Claude のプランに含まれます。両方に課金する必然性は、ほとんどの人にはありません。
そのうえで、上の表にある「Codex 向き」の場面に心当たりがあるなら、そちらを選ぶ理由になります。
併用する場合
両方を使うこと自体は問題ありません。ただし指示ファイルは別々です。
- Codex は
AGENTS.mdを読む - Claude Code は
CLAUDE.mdを読む
同じフォルダで両方使うなら、両方のファイルを置くことになります。内容が食い違うと混乱するので、片方を正本にして、もう一方から参照させる運用が現実的です。この設計は第4章で扱います。
やってみよう
- 判断軸の当てはめ:上の使い分け表を見て、自分の状況ではどちらが向いているか考えてみましょう
- 契約の確認:いま ChatGPT と Claude のどちらを契約しているか確認してください。それが最初の判断材料になります
- サンドボックスの必要性を考える:自分の作業フォルダに「絶対に触られたくないファイル」があるか棚卸ししてみましょう。あるなら、第3章の内容が効いてきます
まとめ
- 日常業務でやることの大半は、どちらでもできる
- Codex の特徴は4つ。2層の安全機構・AGENTS.md の連結・GUI での並行作業・ブラウザ操作
- 承認とサンドボックスは独立しており、承認を緩めてもサンドボックスは効く
- 指示ファイルは Codex が「全部足す」、Claude Code が「近いものが勝つ」
- 実際の選択は契約しているサブスクリプションで決まることが多い
- 併用は可能だが、指示ファイルは別なので正本を決める
理解度チェック
Q1. Codex の「承認モード」と「サンドボックス」の関係として正しいものはどれでしょう?
- 同じものの言い換えで、どちらか一方を設定すればよい
- 独立した2つの仕組みで、承認を緩めてもサンドボックスは効き続ける
- サンドボックスは承認モードの一部で、承認を無効にすると一緒に無効になる
- サンドボックスは有料プランでのみ使える追加機能
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正解:2
承認モードは「実行前に人が判断する」仕組み、サンドボックスは「OS の機能で触れる範囲を制限する」仕組みで、独立しています。だからこそ「確認は減らしたいが、危険な範囲には触れさせたくない」という運用ができます。第3章で詳しく扱います。
Q2. フォルダの階層ごとに指示ファイルを置いたとき、Codex はどう扱うでしょう?
- いちばん近い階層のファイルだけを読む
- いちばん上の階層のファイルだけを読む
- 経路上のすべての指示ファイルを連結して適用する
- ファイルが複数あるとエラーになる
答えを見る
正解:3
Codex はプロジェクトルートから現在のフォルダまでの経路上にある AGENTS.md をすべて連結します。会社全体のルール・部門のルール・案件のルールを積み上げる使い方に向いています。Claude Code の CLAUDE.md は下位が上位を上書きする方式なので、ここは挙動が違います。