AI Tools 2026年8月27日

2-3 最初の指示を出してみる

Codex に初めて実務的な作業を任せる手順。「完了条件を書く」という Codex 特有の指示のコツと、結果を検証してから受け取る習慣を、練習用のデータを使って身につけます。

難易度前提知識ゼロでも読めます所要時間約 30 分種別学習コース

先に読む2-1 Codex アプリを入れて初回確認する

このレッスンでわかること

インストールが済んだら、実際に仕事らしい作業を1つ任せてみます。

  • Codex に伝えるべき4つの要素がわかる
  • 「完了条件」を書くという Codex 特有のコツが身につく
  • 結果を検証してから受け取る習慣がつく

**指示の書き方をもっと体系的に学びたい方へ。**プロンプトの型・Bad/Good の作り分け・複数案の出させ方は、Claude Code 入門コースの第3章と第5章で扱っています。考え方はツールが違っても同じなので、本コースでは Codex 固有の部分に絞ります。

伝えるべき4つの要素

Codex の公式ガイドは、指示に次の4つを含めることを勧めています。

要素何を書くか
目標何を達成したいか
文脈どのファイルを使うか、前提は何か
制約やってほしくないこと、守ってほしいこと
完了条件どうなったら「できた」と言えるか

最初の3つは、他のAIツールでも共通です。**Codex で特に効くのが4つ目の「完了条件」**です。

なぜ完了条件が効くのか

Codex は「作業をして、確認して、報告する」という流れで動きます。このとき何をもって完了とするかが曖昧だと、途中で止まったり、やりすぎたりします。

比べてみてください。

完了条件なし:

sales.csv を整理してください。

完了条件あり:

sales.csv を整理してください。

【完了条件】
- 元の sales.csv は変更されていない
- 整理後のファイルが sales-cleaned.csv として作られている
- 元データと整理後で、行数と売上合計が一致している
- 一致しない場合は、勝手に直さずに報告する

後者は、**Codex が自分で「できたかどうか」を判定できます。**そして一致しなければ報告してきます。

「確認できる形で頼む」のが、AIエージェントを安全に使う要点です。

練習:売上データを整理する

実際にやってみましょう。

ステップ1:練習用データを作らせる

まず素材を用意します。対話画面に入力します。

練習用に sales.csv を作ってください。

- 列: 日付, 商品名, 担当者, 数量, 単価
- 20行程度のダミーデータ
- わざと表記ゆれを混ぜてください
  (例: 同じ商品名を「ノートPC」「ノートpc」「ノート PC」と書き分ける)
- 個人情報は入れず、担当者名は「担当A」「担当B」のような記号にしてください

わざと汚いデータを作らせるのがポイントです。整理の練習になります。

ステップ2:整理を頼む

sales.csv の表記ゆれを整理してください。

【文脈】
- 商品名に表記ゆれがあります

【制約】
- 元の sales.csv は変更しないでください
- 判断に迷う表記があれば、勝手に決めずに質問してください

【完了条件】
- sales-cleaned.csv が作られている
- 元データと整理後で、行数と数量の合計が一致している
- 統一した表記の一覧を報告している
- 一致しない場合は報告する

ステップ3:報告を読む

**ここが本番です。**返ってきた報告を読み、次を確認してください。

  • 行数は一致しているか
  • 合計は一致しているか
  • どの表記をどう統一したか、納得できるか

**「できました」だけを信じないでください。**数字が示されていなければ、こう聞き返します。

整理前と整理後で、行数と数量の合計をそれぞれ数字で示してください。

承認画面の読み方

作業中、Codex は確認を求めてきます。ここで見るべきは3点です。

  1. 何をしようとしているか(ファイルの作成か、書き換えか、削除か)
  2. どのファイルが対象か(想定外の場所を触っていないか)
  3. 元に戻せるか(新規作成は戻せる。上書きと削除は戻せない)

**上書きと削除だけは、必ず内容を読んでください。**それ以外は流しても実害は小さいです。

第3章で、この判断を設定として仕組み化する方法を扱います。毎回目視で判断するのは続かないためです。

うまくいかないときの型

Codex に限らず、AIエージェント全般で使える型です。

症状対処
想定と違うことをした指示のどこが曖昧だったか探す。完了条件を足すのがいちばん効く
途中で止まった「続けてください」ではなく「どこまで終わって、何で止まったか教えて」と聞く
エラーが出た**エラー全文をそのまま貼る。**要約しない
数字が合わない「合わせて」ではなく「どこがどう違うかを先に示して」と頼む

最後の行が特に大事です。**「合わせて」と言うと、辻褄を合わせるために数字を作ることがあります。**まず差分を出させてください。

やってみよう

  1. 練習データを作る:ステップ1の指示で sales.csv を作らせてください
  2. 整理させる:ステップ2の指示を実行し、報告を読んでください
  3. 検証させる:「整理前と整理後で、行数と数量の合計を数字で示して」と追加で頼み、一致を確認しましょう
  4. 完了条件を外して比べる:同じ整理を「sales.csv を整理して」だけで頼み、報告の質がどう変わるかを見比べてください

演習4が、このレッスンでいちばん学びのある部分です。

まとめ

  • 指示に含めるのは 目標 / 文脈 / 制約 / 完了条件 の4つ
  • **Codex で特に効くのが「完了条件」。**どうなったら完了かを書くと、自分で判定して報告してくれる
  • **「できました」だけを信じない。**数字で示させる
  • 承認画面では「何を・どのファイルに・元に戻せるか」を見る。上書きと削除は必ず読む
  • 数字が合わないときは「合わせて」ではなく「どこがどう違うか示して」と頼む
  • 指示の型そのものは Claude Code 入門コース側で体系的に扱っている

理解度チェック

Q1. Codex への指示で「完了条件」を書くと、何が変わるでしょうか?

  1. 処理速度が上がる
  2. Codex が自分で「できたかどうか」を判定でき、条件を満たさない場合に報告してくれる
  3. 料金が安くなる
  4. 承認画面が表示されなくなる
答えを見る

正解:2

完了条件は、Codex が作業の成否を自分で判断するための基準になります。「行数と合計が一致していること」のように検証可能な形で書くと、一致しないときに勝手に進めず報告してくれます。速度・料金・承認の挙動は変わりません。

Q2. 整理後のデータで数字が合わなかったとき、最初に出すべき指示はどれでしょう?

  1. 「合うように直してください」
  2. 「どこがどう違うか、具体的に示してください」
  3. 「もう一度最初からやり直してください」
  4. 「気にしなくていいので次に進んでください」
答えを見る

正解:2

「合わせて」と頼むと、辻褄を合わせるために数字が調整されることがあります。まず差分を出させ、原因が元データにあるのか処理にあるのかを切り分けてください。原因が分かってから直し方を決めます。