2-3 最初の指示を出してみる
Codex に初めて実務的な作業を任せる手順。「完了条件を書く」という Codex 特有の指示のコツと、結果を検証してから受け取る習慣を、練習用のデータを使って身につけます。
このレッスンでわかること
インストールが済んだら、実際に仕事らしい作業を1つ任せてみます。
- Codex に伝えるべき4つの要素がわかる
- 「完了条件」を書くという Codex 特有のコツが身につく
- 結果を検証してから受け取る習慣がつく
**指示の書き方をもっと体系的に学びたい方へ。**プロンプトの型・Bad/Good の作り分け・複数案の出させ方は、Claude Code 入門コースの第3章と第5章で扱っています。考え方はツールが違っても同じなので、本コースでは Codex 固有の部分に絞ります。
伝えるべき4つの要素
Codex の公式ガイドは、指示に次の4つを含めることを勧めています。
| 要素 | 何を書くか |
|---|---|
| 目標 | 何を達成したいか |
| 文脈 | どのファイルを使うか、前提は何か |
| 制約 | やってほしくないこと、守ってほしいこと |
| 完了条件 | どうなったら「できた」と言えるか |
最初の3つは、他のAIツールでも共通です。**Codex で特に効くのが4つ目の「完了条件」**です。
なぜ完了条件が効くのか
Codex は「作業をして、確認して、報告する」という流れで動きます。このとき何をもって完了とするかが曖昧だと、途中で止まったり、やりすぎたりします。
比べてみてください。
完了条件なし:
sales.csv を整理してください。
完了条件あり:
sales.csv を整理してください。
【完了条件】
- 元の sales.csv は変更されていない
- 整理後のファイルが sales-cleaned.csv として作られている
- 元データと整理後で、行数と売上合計が一致している
- 一致しない場合は、勝手に直さずに報告する
後者は、**Codex が自分で「できたかどうか」を判定できます。**そして一致しなければ報告してきます。
「確認できる形で頼む」のが、AIエージェントを安全に使う要点です。
練習:売上データを整理する
実際にやってみましょう。
ステップ1:練習用データを作らせる
まず素材を用意します。対話画面に入力します。
練習用に sales.csv を作ってください。
- 列: 日付, 商品名, 担当者, 数量, 単価
- 20行程度のダミーデータ
- わざと表記ゆれを混ぜてください
(例: 同じ商品名を「ノートPC」「ノートpc」「ノート PC」と書き分ける)
- 個人情報は入れず、担当者名は「担当A」「担当B」のような記号にしてください
わざと汚いデータを作らせるのがポイントです。整理の練習になります。
ステップ2:整理を頼む
sales.csv の表記ゆれを整理してください。
【文脈】
- 商品名に表記ゆれがあります
【制約】
- 元の sales.csv は変更しないでください
- 判断に迷う表記があれば、勝手に決めずに質問してください
【完了条件】
- sales-cleaned.csv が作られている
- 元データと整理後で、行数と数量の合計が一致している
- 統一した表記の一覧を報告している
- 一致しない場合は報告する
ステップ3:報告を読む
**ここが本番です。**返ってきた報告を読み、次を確認してください。
- 行数は一致しているか
- 合計は一致しているか
- どの表記をどう統一したか、納得できるか
**「できました」だけを信じないでください。**数字が示されていなければ、こう聞き返します。
整理前と整理後で、行数と数量の合計をそれぞれ数字で示してください。
承認画面の読み方
作業中、Codex は確認を求めてきます。ここで見るべきは3点です。
- 何をしようとしているか(ファイルの作成か、書き換えか、削除か)
- どのファイルが対象か(想定外の場所を触っていないか)
- 元に戻せるか(新規作成は戻せる。上書きと削除は戻せない)
**上書きと削除だけは、必ず内容を読んでください。**それ以外は流しても実害は小さいです。
第3章で、この判断を設定として仕組み化する方法を扱います。毎回目視で判断するのは続かないためです。
うまくいかないときの型
Codex に限らず、AIエージェント全般で使える型です。
| 症状 | 対処 |
|---|---|
| 想定と違うことをした | 指示のどこが曖昧だったか探す。完了条件を足すのがいちばん効く |
| 途中で止まった | 「続けてください」ではなく「どこまで終わって、何で止まったか教えて」と聞く |
| エラーが出た | **エラー全文をそのまま貼る。**要約しない |
| 数字が合わない | 「合わせて」ではなく「どこがどう違うかを先に示して」と頼む |
最後の行が特に大事です。**「合わせて」と言うと、辻褄を合わせるために数字を作ることがあります。**まず差分を出させてください。
やってみよう
- 練習データを作る:ステップ1の指示で
sales.csvを作らせてください - 整理させる:ステップ2の指示を実行し、報告を読んでください
- 検証させる:「整理前と整理後で、行数と数量の合計を数字で示して」と追加で頼み、一致を確認しましょう
- 完了条件を外して比べる:同じ整理を「sales.csv を整理して」だけで頼み、報告の質がどう変わるかを見比べてください
演習4が、このレッスンでいちばん学びのある部分です。
まとめ
- 指示に含めるのは 目標 / 文脈 / 制約 / 完了条件 の4つ
- **Codex で特に効くのが「完了条件」。**どうなったら完了かを書くと、自分で判定して報告してくれる
- **「できました」だけを信じない。**数字で示させる
- 承認画面では「何を・どのファイルに・元に戻せるか」を見る。上書きと削除は必ず読む
- 数字が合わないときは「合わせて」ではなく「どこがどう違うか示して」と頼む
- 指示の型そのものは Claude Code 入門コース側で体系的に扱っている
理解度チェック
Q1. Codex への指示で「完了条件」を書くと、何が変わるでしょうか?
- 処理速度が上がる
- Codex が自分で「できたかどうか」を判定でき、条件を満たさない場合に報告してくれる
- 料金が安くなる
- 承認画面が表示されなくなる
答えを見る
正解:2
完了条件は、Codex が作業の成否を自分で判断するための基準になります。「行数と合計が一致していること」のように検証可能な形で書くと、一致しないときに勝手に進めず報告してくれます。速度・料金・承認の挙動は変わりません。
Q2. 整理後のデータで数字が合わなかったとき、最初に出すべき指示はどれでしょう?
- 「合うように直してください」
- 「どこがどう違うか、具体的に示してください」
- 「もう一度最初からやり直してください」
- 「気にしなくていいので次に進んでください」
答えを見る
正解:2
「合わせて」と頼むと、辻褄を合わせるために数字が調整されることがあります。まず差分を出させ、原因が元データにあるのか処理にあるのかを切り分けてください。原因が分かってから直し方を決めます。