5-1 GUI で並行作業する|マルチスレッドと差分レビュー
Codex アプリで複数の作業を同時に走らせ、差分を見て採否を決める使い方。Worktree モードで元のファイルに触れずに試す方法も含めて、非エンジニア向けに解説します。
先に読む3-3 自分の運用モードを決める
このレッスンでわかること
第5章は Codex ならではの任せ方を扱います。Claude Code 入門コースに対応する章がない部分です。
- 複数の作業を同時に走らせて、待ち時間をなくせる
- 差分を見てから採否を決められる
- 元のファイルに触れずに試せる
このレッスンは Codex アプリが前提です。CLI でも近いことはできますが、GUI のほうが扱いやすい領域です。
問題:AIを待っている時間
AIエージェントに作業を頼むと、待ち時間が発生します。数十秒から、長いものだと数分。
多くの人はこの時間を「待つ」ことに使っています。これがもったいない。
Codex アプリは、複数の作業を同時に走らせることを前提に作られています。
マルチスレッド:作業を並べる
Codex アプリでは、作業ごとにスレッドを作れます。タブのようなものだと考えてください。
[スクリーンショット] 複数スレッドが並んだサイドバーと、切り替えの操作
使い方の型
- スレッドAで、時間のかかる作業を頼む(例:大量ファイルの整理)
- 返答を待たずに新しいスレッドBを開く
- スレッドBで別の作業を進める
- Aが終わったら戻って結果を確認する
待ち時間がなくなります。
何を並行させるか
向いている組み合わせと、避けるべき組み合わせがあります。
| 判定 | 組み合わせ |
|---|---|
| ✅ 向いている | 別々のフォルダの作業 |
| ✅ 向いている | 片方が調査、片方が作成(読むだけの作業を混ぜる) |
| ⚠️ 注意 | 同じフォルダの別のファイルを扱う |
| ❌ 避ける | 同じファイルを両方が書き換える |
最後が問題です。同じファイルを同時に書き換えると、片方の変更が消えます。
「営業データを整理」と「営業データからグラフを作る」を並行させると、ぶつかる可能性があります。片方が終わってから次を始めてください。
差分レビュー:見てから決める
Codex は変更を差分として見せます。ここが GUI の強みです。
[スクリーンショット] 差分表示。変更前と変更後、採用/却下の操作
見るべきポイント
差分を全部読む必要はありません。3点だけ確認してください。
- 触ってほしくないファイルが含まれていないか — 対象ファイルの一覧を先に見る
- 削除された行はないか — 追加より削除のほうが危険
- 想定より変更が多くないか — 「1行直して」と頼んだのに20か所変わっていたら要確認
変更量が想定と違うときは、いったん却下して理由を聞いてください。
なぜこの範囲まで変更が必要だったのか説明してください。
最小限の変更だけにするとどうなりますか。
部分的に採用する
差分を見て「ここは良いが、ここは違う」となることがあります。そのときは全部却下せず、何が違うかを伝えて直させるのが効率的です。
1つ目と2つ目の変更は採用します。
3つ目は、元の表記のままにしてください。
Worktree モード:元に触れずに試す
**「試したいが、元のファイルを壊したくない」**という場面があります。
Codex アプリには Worktree(ワークツリー)モードがあり、元のフォルダとは別の場所に複製を作って作業します。
いつ使うか
| 場面 | 理由 |
|---|---|
| 大きな変更を試す | 気に入らなければ、まるごと捨てられる |
| 複数の案を比べたい | それぞれ別の Worktree で作らせて見比べる |
| 元のファイルが確定版 | 触らせない |
2つ目の使い方が強力です。同じ指示を複数の Worktree で走らせ、出てきた結果を比べて選ぶということができます。
注意点
- Worktree は変更履歴が管理されているフォルダで使う仕組みです。管理外の普通のフォルダでは使えないことがあります
- 使い終わった Worktree は残ります。定期的に整理してください
まずは「元に触れずに試せる仕組みがある」とだけ覚えておき、必要になったときに使えば十分です。
実際の運用イメージ
月次レポート作成を例にすると、こうなります。
- スレッドA:先月の売上データを整理させる(時間がかかる)
- 待たずにスレッドBを開き、前月のレポートを読ませて構成を確認
- Aが終わったら差分を確認して採用
- スレッドCで、整理済みデータからレポートを作らせる
- 差分を見て、表記を調整
「待つ」時間が「別の作業」に変わっています。
やってみよう
- 2つ並行させる:練習用フォルダで、時間のかかりそうな作業(例:ダミーデータを50行作る)を頼み、待たずに別スレッドで簡単な質問をしてみましょう
- 差分を読む:ファイルを書き換えさせ、差分表示で「対象ファイル」「削除された行」「変更量」の3点を確認してください
- 却下して聞く:変更量が多い作業を頼み、あえて却下して「なぜこの範囲が必要だったか」を聞いてみましょう
- ぶつけてみる:同じファイルを2つのスレッドから同時に書き換えさせて、何が起きるかを確認してください(練習用フォルダで)
演習4は、並行作業の限界を知るための練習です。
まとめ
- Codex アプリは複数の作業を同時に走らせる前提で作られている
- 待ち時間に別のスレッドで別の作業を進められる
- **同じファイルを同時に書き換えさせない。**片方の変更が消える
- 差分は全部読まなくてよい。対象ファイル・削除された行・変更量の3点を見る
- 変更量が想定と違うときは却下して理由を聞く
- Worktree モードを使えば、元のファイルに触れずに試せる。複数案の比較にも使える
理解度チェック
Q1. 複数のスレッドで並行作業させるとき、避けるべき組み合わせはどれでしょう?
- 別々のフォルダで、それぞれ別の作業をする
- 片方が調査(読むだけ)、片方がファイル作成
- 同じファイルを両方のスレッドが書き換える
- 同じフォルダの、まったく別のファイルを扱う
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正解:3
同じファイルを同時に書き換えると、片方の変更がもう片方に上書きされて消えます。関連する作業は順番に進めてください。1・2 は安全で、4 は注意しつつ可能です。
Q2. 「1行だけ直して」と頼んだのに、差分に20か所の変更が出ました。まず取るべき行動はどれでしょう?
- そのまま採用する。Codex が必要と判断したのだから正しい
- 却下して、なぜその範囲まで必要だったか説明を求める
- 差分を全部読んで自分で判断する
- 作業フォルダを削除してやり直す
答えを見る
正解:2
変更量が想定と大きく違うのは、指示の解釈がずれているサインです。全部読むのは時間がかかるので、まず却下して理由を聞き、最小限の変更にするとどうなるかを確認してください。納得できれば改めて実行させます。