AI Tools 2026年8月27日

5-1 GUI で並行作業する|マルチスレッドと差分レビュー

Codex アプリで複数の作業を同時に走らせ、差分を見て採否を決める使い方。Worktree モードで元のファイルに触れずに試す方法も含めて、非エンジニア向けに解説します。

難易度前提知識ゼロでも読めます所要時間約 45 分種別学習コース

先に読む3-3 自分の運用モードを決める

このレッスンでわかること

第5章は Codex ならではの任せ方を扱います。Claude Code 入門コースに対応する章がない部分です。

  • 複数の作業を同時に走らせて、待ち時間をなくせる
  • 差分を見てから採否を決められる
  • 元のファイルに触れずに試せる

このレッスンは Codex アプリが前提です。CLI でも近いことはできますが、GUI のほうが扱いやすい領域です。

問題:AIを待っている時間

AIエージェントに作業を頼むと、待ち時間が発生します。数十秒から、長いものだと数分。

多くの人はこの時間を「待つ」ことに使っています。これがもったいない。

Codex アプリは、複数の作業を同時に走らせることを前提に作られています。

マルチスレッド:作業を並べる

Codex アプリでは、作業ごとにスレッドを作れます。タブのようなものだと考えてください。

[スクリーンショット] 複数スレッドが並んだサイドバーと、切り替えの操作

使い方の型

  1. スレッドAで、時間のかかる作業を頼む(例:大量ファイルの整理)
  2. 返答を待たずに新しいスレッドBを開く
  3. スレッドBで別の作業を進める
  4. Aが終わったら戻って結果を確認する

待ち時間がなくなります。

何を並行させるか

向いている組み合わせと、避けるべき組み合わせがあります。

判定組み合わせ
✅ 向いている別々のフォルダの作業
✅ 向いている片方が調査、片方が作成(読むだけの作業を混ぜる)
⚠️ 注意同じフォルダの別のファイルを扱う
❌ 避ける同じファイルを両方が書き換える

最後が問題です。同じファイルを同時に書き換えると、片方の変更が消えます。

「営業データを整理」と「営業データからグラフを作る」を並行させると、ぶつかる可能性があります。片方が終わってから次を始めてください。

差分レビュー:見てから決める

Codex は変更を差分として見せます。ここが GUI の強みです。

[スクリーンショット] 差分表示。変更前と変更後、採用/却下の操作

見るべきポイント

差分を全部読む必要はありません。3点だけ確認してください。

  1. 触ってほしくないファイルが含まれていないか — 対象ファイルの一覧を先に見る
  2. 削除された行はないか — 追加より削除のほうが危険
  3. 想定より変更が多くないか — 「1行直して」と頼んだのに20か所変わっていたら要確認

変更量が想定と違うときは、いったん却下して理由を聞いてください。

なぜこの範囲まで変更が必要だったのか説明してください。
最小限の変更だけにするとどうなりますか。

部分的に採用する

差分を見て「ここは良いが、ここは違う」となることがあります。そのときは全部却下せず、何が違うかを伝えて直させるのが効率的です。

1つ目と2つ目の変更は採用します。
3つ目は、元の表記のままにしてください。

Worktree モード:元に触れずに試す

**「試したいが、元のファイルを壊したくない」**という場面があります。

Codex アプリには Worktree(ワークツリー)モードがあり、元のフォルダとは別の場所に複製を作って作業します。

いつ使うか

場面理由
大きな変更を試す気に入らなければ、まるごと捨てられる
複数の案を比べたいそれぞれ別の Worktree で作らせて見比べる
元のファイルが確定版触らせない

2つ目の使い方が強力です。同じ指示を複数の Worktree で走らせ、出てきた結果を比べて選ぶということができます。

注意点

  • Worktree は変更履歴が管理されているフォルダで使う仕組みです。管理外の普通のフォルダでは使えないことがあります
  • 使い終わった Worktree は残ります。定期的に整理してください

まずは「元に触れずに試せる仕組みがある」とだけ覚えておき、必要になったときに使えば十分です。

実際の運用イメージ

月次レポート作成を例にすると、こうなります。

  1. スレッドA:先月の売上データを整理させる(時間がかかる)
  2. 待たずにスレッドBを開き、前月のレポートを読ませて構成を確認
  3. Aが終わったら差分を確認して採用
  4. スレッドCで、整理済みデータからレポートを作らせる
  5. 差分を見て、表記を調整

「待つ」時間が「別の作業」に変わっています。

やってみよう

  1. 2つ並行させる:練習用フォルダで、時間のかかりそうな作業(例:ダミーデータを50行作る)を頼み、待たずに別スレッドで簡単な質問をしてみましょう
  2. 差分を読む:ファイルを書き換えさせ、差分表示で「対象ファイル」「削除された行」「変更量」の3点を確認してください
  3. 却下して聞く:変更量が多い作業を頼み、あえて却下して「なぜこの範囲が必要だったか」を聞いてみましょう
  4. ぶつけてみる:同じファイルを2つのスレッドから同時に書き換えさせて、何が起きるかを確認してください(練習用フォルダで)

演習4は、並行作業の限界を知るための練習です。

まとめ

  • Codex アプリは複数の作業を同時に走らせる前提で作られている
  • 待ち時間に別のスレッドで別の作業を進められる
  • **同じファイルを同時に書き換えさせない。**片方の変更が消える
  • 差分は全部読まなくてよい。対象ファイル・削除された行・変更量の3点を見る
  • 変更量が想定と違うときは却下して理由を聞く
  • Worktree モードを使えば、元のファイルに触れずに試せる。複数案の比較にも使える

理解度チェック

Q1. 複数のスレッドで並行作業させるとき、避けるべき組み合わせはどれでしょう?

  1. 別々のフォルダで、それぞれ別の作業をする
  2. 片方が調査(読むだけ)、片方がファイル作成
  3. 同じファイルを両方のスレッドが書き換える
  4. 同じフォルダの、まったく別のファイルを扱う
答えを見る

正解:3

同じファイルを同時に書き換えると、片方の変更がもう片方に上書きされて消えます。関連する作業は順番に進めてください。1・2 は安全で、4 は注意しつつ可能です。

Q2. 「1行だけ直して」と頼んだのに、差分に20か所の変更が出ました。まず取るべき行動はどれでしょう?

  1. そのまま採用する。Codex が必要と判断したのだから正しい
  2. 却下して、なぜその範囲まで必要だったか説明を求める
  3. 差分を全部読んで自分で判断する
  4. 作業フォルダを削除してやり直す
答えを見る

正解:2

変更量が想定と大きく違うのは、指示の解釈がずれているサインです。全部読むのは時間がかかるので、まず却下して理由を聞き、最小限の変更にするとどうなるかを確認してください。納得できれば改めて実行させます。