3-1 承認モード|どこで止めるかを決める
Codex の承認ポリシー4種類を非エンジニア向けに解説。毎回確認が安全ではない理由、untrusted / on-request / never / granular の使い分け、自分の作業に合ったモードの決め方を扱います。
先に読む2-3 最初の指示を出してみる
このレッスンでわかること
第3章はこのコースの中核です。Codex には、他のAIエージェントにない2層の安全機構があります。この章でそれを理解します。
- 「毎回確認」がなぜ安全でないのかがわかる
- 4つの承認モードの違いと使い分けがわかる
- 自分の作業に合ったモードを選べる
このレッスンは1層目の承認モードを扱います。2層目のサンドボックスは 3-2 です。
問題:「毎回確認」は安全ではない
2-1 や 2-2 で、承認を求められる画面を見たはずです。安全に見えますが、そのまま使い続けると次が起きます。
- 確認が多すぎる
- 内容を読まずに承認する癖がつく
- 本当に危険な操作も、同じ勢いで通してしまう
これは注意力の問題ではなく、設計の問題です。人は同じ判断を何十回も繰り返すと精度が落ちます。
解決の方向は「確認を増やす」ではありません。安全なものは自動で通し、危険なものだけを確実に止めることです。そうすれば、確認が出たときに「これは本当に読むべきものだ」と分かります。
4つの承認モード
Codex には4つの承認ポリシーがあります。GUI では別の呼び名が付いていることがあるので、両方を並べます。
| 設定値 | GUI の呼称 | どうなるか |
|---|---|---|
untrusted | Read-only 相当 | 信頼できる操作以外はすべて確認。いちばん慎重 |
on-request | Auto 相当 | **既定。**Codex が必要と判断したときに確認を求める |
never | — | **確認しない。**ただし後述のサンドボックスは効き続ける |
granular | — | 操作の種類ごとに個別指定する |
**まずは on-request(既定)で使ってください。**慣れてきたら調整します。
never は「無防備」ではない
ここが Codex を理解するうえでいちばん大事な点です。
never(確認しない)と聞くと、危険な設定に思えます。しかし Codex では、承認とは独立してサンドボックスが効きます。
承認モード :人に聞くかどうか
サンドボックス:そもそも触れる範囲を OS が制限する
つまり、**「いちいち聞かないでほしい。ただし作業フォルダの外には絶対に触れないでほしい」**という設定が作れます。これが Codex の設計思想です。
Claude Code の権限設定は「Claude Code というアプリの中での制限」ですが、Codex のサンドボックスは OS レベルの壁です。アプリの外側から縛るので、設定ミスや想定外の動作があっても範囲を超えられません。
詳しくは 3-2 で扱います。ここでは **「承認を緩めても、もう1枚の壁がある」**とだけ覚えてください。
承認モードの決め方
判断基準はひとつです。「間違えたとき、元に戻せるか」。
| 作業の性質 | 向いているモード |
|---|---|
| 内容を調べるだけ。書き換えない | untrusted(読み取り中心) |
| 練習用フォルダで試す | never + サンドボックス(後述) |
| 普段の業務。慣れるまで | on-request(既定) |
| 大量の定型処理を回す | never + サンドボックスを厳しめに |
やってはいけない組み合わせ
never かつサンドボックスも緩い、という組み合わせは避けてください。確認もされず、範囲の制限もない状態です。
Codex にはサンドボックスを実質的に外す設定もありますが、**意味がわかるまで使わないでください。**3-3 で、安全な組み合わせを具体的に決めます。
実際に切り替えてみる
アプリの場合
入力欄の近くにモードの選択があります。選ぶだけです。
[スクリーンショット] 承認モードの選択コントロール
**モードの選択はフォルダごとに記憶されます。**練習用フォルダで緩めても、仕事のフォルダには影響しません。
CLI の場合
起動時に指定するか、対話画面から切り替えます。対話画面に入力して確認するのが簡単です。
いまの承認モードとサンドボックスの設定を教えてください。
それぞれが何を制限しているのかも説明してください。
**設定名を暗記する必要はありません。**日本語で聞けば、現在の状態と意味を説明してくれます。
承認画面で見るべき3点
モードを緩めても、確認が出る場面はあります。そのとき見るべきは3つです。
- 何をしようとしているか — 作成か、上書きか、削除か、外部との通信か
- どのファイルが対象か — 想定外の場所を触っていないか
- 元に戻せるか — 新規作成は戻せる。上書きと削除は戻せない
上書きと削除だけは、必ず内容を読んでください。
やってみよう
- 現在の設定を聞く:対話画面で「いまの承認モードとサンドボックスの設定を教えて」と頼み、現状を確認しましょう
untrustedを体験する:いちばん慎重なモードに切り替え、ファイル作成を頼んでみてください。確認の頻度がどう変わるかを体感しますon-requestに戻す:既定に戻し、同じ作業を頼んで違いを比べましょう- 回数を数える:それぞれのモードで同じ作業をしたとき、確認が何回出たかを数えてみてください
演習4をやると、「毎回確認は続かない」ことが実感できます。
まとめ
- **「毎回確認」は安全ではない。**確認が多いほど、読まずに承認する癖がつく
- 承認モードは4つ。まずは既定の
on-request - **
neverにしても、サンドボックスは効き続ける。**これが Codex の設計思想 - 判断基準は「間違えたとき、元に戻せるか」
neverかつサンドボックスも緩い、という組み合わせは避ける- モードの選択はフォルダごとに記憶される
- 承認画面では「何を・どのファイルに・元に戻せるか」を見る
理解度チェック
Q1. 承認モードを never(確認しない)にしたとき、Codex はどうなるでしょう?
- 何の制限もなく、あらゆる操作ができる状態になる
- 確認は求められなくなるが、サンドボックスによる範囲の制限は効き続ける
- 読み取りしかできなくなる
- 有料プランでしか設定できない
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正解:2
承認モードとサンドボックスは独立した仕組みです。never は「人に聞かない」という設定であって、「何でもできる」という設定ではありません。だからこそ「確認は減らしたいが、触れる範囲は限定したい」という運用ができます。ただし、承認もサンドボックスも緩い組み合わせは避けてください。
Q2. 「毎回すべて確認する」設定が、かえって危険になりうる理由はどれでしょう?
- 確認のたびにクレジットを消費するから
- 確認が多すぎると内容を読まずに承認する癖がつき、本当に危険な操作も通してしまうから
- 確認するとファイルが壊れる可能性があるから
- 確認回数に上限があり、超えると自動承認になるから
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正解:2
人は同じ判断を繰り返すと精度が落ちます。確認が日常になると内容を読まなくなり、安全装置として機能しなくなります。だからこそ「安全なものは自動で通し、危険なものだけ止める」設計にします。