AI Tools 2026年8月27日

3-1 承認モード|どこで止めるかを決める

Codex の承認ポリシー4種類を非エンジニア向けに解説。毎回確認が安全ではない理由、untrusted / on-request / never / granular の使い分け、自分の作業に合ったモードの決め方を扱います。

難易度前提知識ゼロでも読めます所要時間約 40 分種別学習コース

先に読む2-3 最初の指示を出してみる

このレッスンでわかること

第3章はこのコースの中核です。Codex には、他のAIエージェントにない2層の安全機構があります。この章でそれを理解します。

  • 「毎回確認」がなぜ安全でないのかがわかる
  • 4つの承認モードの違いと使い分けがわかる
  • 自分の作業に合ったモードを選べる

このレッスンは1層目の承認モードを扱います。2層目のサンドボックスは 3-2 です。

問題:「毎回確認」は安全ではない

2-1 や 2-2 で、承認を求められる画面を見たはずです。安全に見えますが、そのまま使い続けると次が起きます。

  1. 確認が多すぎる
  2. 内容を読まずに承認する癖がつく
  3. 本当に危険な操作も、同じ勢いで通してしまう

これは注意力の問題ではなく、設計の問題です。人は同じ判断を何十回も繰り返すと精度が落ちます。

解決の方向は「確認を増やす」ではありません。安全なものは自動で通し、危険なものだけを確実に止めることです。そうすれば、確認が出たときに「これは本当に読むべきものだ」と分かります。

4つの承認モード

Codex には4つの承認ポリシーがあります。GUI では別の呼び名が付いていることがあるので、両方を並べます。

設定値GUI の呼称どうなるか
untrustedRead-only 相当信頼できる操作以外はすべて確認。いちばん慎重
on-requestAuto 相当**既定。**Codex が必要と判断したときに確認を求める
never**確認しない。**ただし後述のサンドボックスは効き続ける
granular操作の種類ごとに個別指定する

**まずは on-request(既定)で使ってください。**慣れてきたら調整します。

never は「無防備」ではない

ここが Codex を理解するうえでいちばん大事な点です。

never(確認しない)と聞くと、危険な設定に思えます。しかし Codex では、承認とは独立してサンドボックスが効きます。

承認モード    :人に聞くかどうか
サンドボックス:そもそも触れる範囲を OS が制限する

つまり、**「いちいち聞かないでほしい。ただし作業フォルダの外には絶対に触れないでほしい」**という設定が作れます。これが Codex の設計思想です。

Claude Code の権限設定は「Claude Code というアプリの中での制限」ですが、Codex のサンドボックスは OS レベルの壁です。アプリの外側から縛るので、設定ミスや想定外の動作があっても範囲を超えられません。

詳しくは 3-2 で扱います。ここでは **「承認を緩めても、もう1枚の壁がある」**とだけ覚えてください。

承認モードの決め方

判断基準はひとつです。「間違えたとき、元に戻せるか」

作業の性質向いているモード
内容を調べるだけ。書き換えないuntrusted(読み取り中心)
練習用フォルダで試すnever + サンドボックス(後述)
普段の業務。慣れるまでon-request(既定)
大量の定型処理を回すnever + サンドボックスを厳しめに

やってはいけない組み合わせ

never かつサンドボックスも緩い、という組み合わせは避けてください。確認もされず、範囲の制限もない状態です。

Codex にはサンドボックスを実質的に外す設定もありますが、**意味がわかるまで使わないでください。**3-3 で、安全な組み合わせを具体的に決めます。

実際に切り替えてみる

アプリの場合

入力欄の近くにモードの選択があります。選ぶだけです。

[スクリーンショット] 承認モードの選択コントロール

**モードの選択はフォルダごとに記憶されます。**練習用フォルダで緩めても、仕事のフォルダには影響しません。

CLI の場合

起動時に指定するか、対話画面から切り替えます。対話画面に入力して確認するのが簡単です。

いまの承認モードとサンドボックスの設定を教えてください。
それぞれが何を制限しているのかも説明してください。

**設定名を暗記する必要はありません。**日本語で聞けば、現在の状態と意味を説明してくれます。

承認画面で見るべき3点

モードを緩めても、確認が出る場面はあります。そのとき見るべきは3つです。

  1. 何をしようとしているか — 作成か、上書きか、削除か、外部との通信か
  2. どのファイルが対象か — 想定外の場所を触っていないか
  3. 元に戻せるか — 新規作成は戻せる。上書きと削除は戻せない

上書きと削除だけは、必ず内容を読んでください。

やってみよう

  1. 現在の設定を聞く:対話画面で「いまの承認モードとサンドボックスの設定を教えて」と頼み、現状を確認しましょう
  2. untrusted を体験する:いちばん慎重なモードに切り替え、ファイル作成を頼んでみてください。確認の頻度がどう変わるかを体感します
  3. on-request に戻す:既定に戻し、同じ作業を頼んで違いを比べましょう
  4. 回数を数える:それぞれのモードで同じ作業をしたとき、確認が何回出たかを数えてみてください

演習4をやると、「毎回確認は続かない」ことが実感できます。

まとめ

  • **「毎回確認」は安全ではない。**確認が多いほど、読まずに承認する癖がつく
  • 承認モードは4つ。まずは既定の on-request
  • **never にしても、サンドボックスは効き続ける。**これが Codex の設計思想
  • 判断基準は「間違えたとき、元に戻せるか
  • never かつサンドボックスも緩い、という組み合わせは避ける
  • モードの選択はフォルダごとに記憶される
  • 承認画面では「何を・どのファイルに・元に戻せるか」を見る

理解度チェック

Q1. 承認モードを never(確認しない)にしたとき、Codex はどうなるでしょう?

  1. 何の制限もなく、あらゆる操作ができる状態になる
  2. 確認は求められなくなるが、サンドボックスによる範囲の制限は効き続ける
  3. 読み取りしかできなくなる
  4. 有料プランでしか設定できない
答えを見る

正解:2

承認モードとサンドボックスは独立した仕組みです。never は「人に聞かない」という設定であって、「何でもできる」という設定ではありません。だからこそ「確認は減らしたいが、触れる範囲は限定したい」という運用ができます。ただし、承認もサンドボックスも緩い組み合わせは避けてください。

Q2. 「毎回すべて確認する」設定が、かえって危険になりうる理由はどれでしょう?

  1. 確認のたびにクレジットを消費するから
  2. 確認が多すぎると内容を読まずに承認する癖がつき、本当に危険な操作も通してしまうから
  3. 確認するとファイルが壊れる可能性があるから
  4. 確認回数に上限があり、超えると自動承認になるから
答えを見る

正解:2

人は同じ判断を繰り返すと精度が落ちます。確認が日常になると内容を読まなくなり、安全装置として機能しなくなります。だからこそ「安全なものは自動で通し、危険なものだけ止める」設計にします。