9-2 Claude Code に Notion・Google Drive をつなぐ
Notion・Google Drive の MCP 連携で議事録の取り込み・ドキュメント検索・ページ生成を自動化。接続の流れ、つないだ後の指示例、権限不足や認証切れなどのつまずき対策、社内データを扱う注意点を解説します。
このレッスンでわかること
前のレッスン(9-1)で、MCP が「AI と外部ツールをつなぐ共通規格」であることを学びました。このレッスンでは、ビジネスパーソンにとってもっとも身近な連携先である Notion と Google Drive を題材に、実際につないで使うところまでを扱います。
このレッスンで身につけるのは、次の3つです。
- ドキュメント系ツールを MCP でつなぐと、どんな仕事が楽になるのか
- Notion を実際につなぐ手順(サーバー追加 → 認証 → 動作確認)と、つないだ後の指示例
- Google Drive の現状(現行サーバーと、準備の重さ)と、どちらから手をつけるべきか
- よくあるつまずき(権限不足・認証切れ)への対処と、社内データを扱うときの注意
Notion か Google Drive のどちらか一方しか使っていない方も大丈夫です。考え方は共通なので、自分が使っているほうに置き換えて読んでください。
ドキュメント系連携で何が楽になるのか
Notion や Google Drive は、多くのチームで「情報の置き場所」になっています。議事録、企画書、マニュアル、データ集計——日々の仕事の材料はほとんどここにあります。MCP でつなぐと、Claude Code がこの置き場所に直接アクセスできるようになります。
代表的なユースケースは3つです。
ユースケース1:議事録の取り込みと整理
会議のたびに増えていく議事録を、Claude Code が直接読んで整理します。
Notion の「定例会議」ページ配下にある今月の議事録を読んで、
決定事項と未対応のタスクを担当者別に一覧化してください。
これまで「ページを1つずつ開いてコピペ」していた作業が、1回の指示になります。
ユースケース2:ドキュメント検索(「あの資料どこだっけ」の解消)
ファイル名を覚えていなくても、内容で探せます。
Google Drive の中から、昨年のオンボーディング手順について
書かれたドキュメントを探して、見つかったものの一覧と要点を教えてください。
人間がフォルダを掘って探すより、はるかに速く確実です。
ユースケース3:ページ・ドキュメントの生成
読むだけでなく、書くこともできます。
今日の打ち合わせメモ(このフォルダの memo.txt)をもとに、
Notion の「議事録」データベースに新しいページを作成してください。
フォーマットは既存の議事録ページに合わせてください。
手元のメモから、整形済みの議事録ページが直接できあがります。「手元の作業」と「クラウド上の置き場所」の間の運搬がなくなるのがポイントです。
接続の手順:まず Notion からつなぐ
9-1 で学んだ「型」を思い出してください。リモート型 × OAuth がもっとも準備の軽い組み合わせでした。Notion はまさにこの組み合わせで、URL 1つで始められます。一方 Google Drive は、後述するとおり現時点でかなり準備が重い状態です。最初に試すなら Notion をおすすめします。
流れは「サーバー追加 → 認証 → 小さく動作確認」の3ステップです。この型はどのツールでも共通なので、まず Notion で一度通しておけば応用が効きます。
ステップ1:Notion の MCP サーバーを追加する
Notion 公式がリモート型のサーバーを提供しています。ターミナルに入力します。
claude mcp add --transport http notion https://mcp.notion.com/mcp
用意するものは URL だけです。事前のソフトのインストールも、トークンの発行も要りません。追加できたか確認します。
claude mcp list
notion の行が表示されれば追加は完了です。この時点ではまだ認証していないので、接続状態が未認証と表示されることがあります。
なお Notion にはローカル型(npx @notionhq/notion-mcp-server で起動する方式)もありますが、公式はリモート型を主軸に据えており、ローカル型は将来的な提供終了が示唆されています。これから始めるなら、リモート型を選んでください。
ステップ2:認証する(アカウントとひもづける)
追加しただけでは、Claude Code は「あなたの」Notion を読めません。「この Claude Code に、私のアカウントでのアクセスを許可します」という手続きが 認証 です。
Claude Code を起動して、対話画面に次を入力します。
/mcp
一覧から notion を選ぶとブラウザが開き、Notion の「アクセスを許可しますか?」という画面が表示されます。これが 9-1 で学んだ OAuth です。パスワードやトークンを自分で扱う必要はありません。
ここで読み飛ばしてはいけないのが、どのワークスペース・どのページへのアクセスを許可するかの指定です。Notion では、連携(Integration)に共有したページだけが読める仕組みになっています。裏を返すと、共有していないページは、権限のあるアカウントで認証しても見えません。範囲を絞りたければ、共有するページを限定するのがもっとも確実な方法です。
ステップ3:動作確認する(小さく試す)
認証が済んだら、いきなり本番の仕事を頼まず、まず小さく試します。対話画面に入力します。
Notion で「テスト」というキーワードでページを検索して、
見つかったページのタイトルだけ教えてください。
軽い読み取りだけの指示で「ちゃんとつながっているか」を確かめてから、本格的に使い始めましょう。ここでエラーが出れば、原因の切り分けも簡単です。不要になったら claude mcp remove notion で削除できます。
Google Drive の現状:正直に言うと、いまはハードルが高い
Google Drive も MCP でつなげますが、2026年8月時点の状況を正確に把握しておく必要があります。
まず、古い手順に注意してください。 かつて Anthropic が提供していた Google Drive 用の MCP サーバー(@modelcontextprotocol/server-gdrive)は、2025年5月29日にアーカイブされ、現在は提供されていません。ネット上の記事や、場合によっては公式ページからのリンクにも、この廃止済みサーバーへの案内が残っていることがあります。これを追いかけても接続はできません。
現行は Google 公式のリモート型サーバーのみ です。ただし、次の2点を理解したうえで判断してください。
- Developer Preview(開発者向け先行公開)段階です。 正式版ではないため、仕様の変更や提供方法の変更が起こりえます。業務の定常運用に組み込むのは、まだ早い段階です。
- 利用者が自分で Google Cloud Console に OAuth Client を作る必要があります。 Notion のように「URL を追加してブラウザで許可を押すだけ」では済みません。Google Cloud の管理画面でプロジェクトを作り、認証情報を発行する作業が入ります。会社のアカウントの場合、この操作自体に管理者の権限が必要なこともあります。
権限については、drive.readonly(Drive 全体の読み取りのみ)と drive.file(このアプリが開いた・作ったファイルだけ)の2つのスコープが用意されており、読み取り専用に絞ること自体はできます。この点は良い設計です。
現実的な進め方はこうです。
- まず Notion で MCP の型を体得する。 手順は共通なので、Notion で通した経験がそのまま活きます。
- Google Drive は、情報システム部門やエンジニアと組んで進めるか、正式版を待つ。 非エンジニアが単独で片付けるには重い作業です。
- 当面の代替として、Drive のファイルを手元にダウンロードして Claude Code に読ませる。 読み取りが目的なら、これで十分足りる場面は多くあります。
「公式に用意されているのだから簡単なはず」と思い込んで時間を溶かすより、いま重いものは重いと認めて順番を変えるほうが、結果的に早く成果が出ます。
つないだ後の指示のコツ
接続できたら、あとは普段の Claude Code への指示と同じ感覚で頼めます。ただし、ドキュメント連携ならではのコツが2つあります。
コツ1:場所を具体的に指定する。 「Notion の議事録」だけでは、どのページ群を指すのか曖昧です。「『定例会議』ページの配下」「『2026年』フォルダの中」のように、探す範囲を絞って伝えると、速く正確になります。
コツ2:書き込みを伴う指示では、確認を挟む。 ページの作成や更新を頼むときは、3-1 で学んだ「続けて型」が活きます。
議事録ページを作る前に、まずタイトルと見出し構成の案を見せてください。
私が確認してから作成に進んでください。
クラウド上のデータはチームの共有物です。いきなり書き込ませず、内容を確認してから実行させる癖をつけると安心です。
よくあるつまずきと対処法
ドキュメント連携で初学者がつまずくポイントは、だいたい次の2つに集約されます。
つまずき1:権限不足(「ページが見つかりません」)
接続は成功しているのに「ページが見つからない」「アクセスできない」と言われるケースです。原因の多くは、認証したアカウントに、そのページ・フォルダへのアクセス権がない ことです。
Notion の場合、「認証したこと」と「ページを見せたこと」は別物です。 前述のとおり、Notion は連携(Integration)に共有したページだけを見せる仕組みなので、認証に成功していても共有していないページは検索結果に出てきません。Notion 側でそのページを連携に共有しているかを確認してください。
Google Drive の場合は、アカウントの権限と、認証時に許可したスコープの両方を見ます。 認証したアカウント自体がそのファイルをブラウザで開けるか。加えて、drive.file のように狭いスコープで許可していれば、そのアプリが開いていないファイルは対象外になります。
共通する大原則は 「自分がブラウザで開けないものは、Claude Code も開けない」 です。そのうえで MCP には「認証したアカウントの権限」と「連携に許可した範囲」という2段の絞りがあり、狭いほうが効くと覚えてください。
つまずき2:認証切れ(昨日まで使えていたのに動かない)
OAuth でブラウザから受け取るのは、パスワードそのものではなく 期限つきの「通行証」 です。期限が切れたり、サービス側で連携が取り消されたりすると、ある日突然「認証エラー」になります。故障ではありません。/mcp から接続状態を確認し、再認証(再ログイン)すれば復旧するのが典型です。ターミナルからは claude mcp login notion でも同じことができます。
これは OAuth の欠点ではなく、むしろ設計上の利点です。鍵が永久に有効ではないからこそ、万一漏れても被害が限定されます。
「昨日まで動いていたのに」と慌てる前に、まず /mcp で状態確認。これを覚えておくだけで、トラブルの大半は自力で解決できます。それでも解決しない場合は、サーバー側の仕様変更の可能性もあるため、各サーバーの公式手順やお知らせを確認してください。
社内データを扱う際の注意
Notion や Google Drive には、社外秘の情報が含まれていることが珍しくありません。つなぐ前に、次の3点を必ず確認してください。
- 会社のルールを確認する。 社内情報を外部の AI サービスと連携してよいか、情報システム部門の規程や許可の有無を確認します。「便利だから」で先走らないことが、結局は AI 活用を社内に広げる近道です。
- 個人アカウントと仕事アカウントを混ぜない。 認証のとき、どのアカウントでログインしているかを必ず確認しましょう。私物の Google アカウントで会社の作業をする(またはその逆)と、データの置き場所が混ざって事故のもとになります。
- 権限は読み取りから始める。 最初から書き込み・削除の権限を与える必要はありません。まず読み取り専用で運用し、ページ生成などが必要になった段階で、必要な分だけ広げてください。
やってみよう
演習1:自分が日常的に使っている Notion または Google Drive の中で、「Claude Code に読んでほしい場所」を1つ決めましょう。そして、そこに機密情報が含まれていないか、含まれている場合は会社のルール上つないでよいかを確認してください。
演習2:(Notion アカウントがある方向け)本文の手順どおり claude mcp add --transport http notion https://mcp.notion.com/mcp で追加し、/mcp から認証したうえで、「テスト用のページを検索してタイトルを教えて」という読み取りだけの指示で動作確認をしてみましょう。認証画面で どのページを共有したか を必ず控えておいてください。
演習3:接続できたら、実際の議事録やドキュメントを1つ選んで「要点を3行で要約して。元のページは変更しないで」と頼んでみましょう。「元は変更しない」という制約を添える習慣もあわせて練習します。
まとめ
- Notion・Google Drive を MCP でつなぐと、議事録の整理・ドキュメント検索・ページ生成が指示1つでできるようになる
- 接続の流れは「サーバー追加 → 認証 → 小さく動作確認」の3ステップ。Notion はリモート型 × OAuth で、
claude mcp add --transport http notion https://mcp.notion.com/mcpと/mcpでの認証だけで始められる - Google Drive は現在 Google 公式のリモート型のみ。Developer Preview 段階で、自分で Google Cloud Console に OAuth Client を作る必要があるため、最初の1本には向かない(Anthropic の旧サーバーは 2025年5月に廃止済み)
- 指示のコツは「探す範囲を具体的に指定する」「書き込み前に確認を挟む」の2つ
- 「ページが見つからない」の多くは権限不足。自分がブラウザで開けないものは Claude Code も開けない。Notion では加えて、連携に共有していないページは見えない
- 突然のエラーは認証切れを疑う。OAuth の通行証には期限があるため、まず
/mcpで接続状態を確認して再認証する - 社内データをつなぐ前に、会社のルール確認・アカウントの使い分け・読み取り専用からのスタートを徹底する
理解度チェック
Q1. MCP で Google Drive をつないだのに「ファイルにアクセスできません」と言われます。まず確認すべきこととして、もっとも適切なものはどれでしょう?
- パソコンを再起動する
- 認証したアカウントが、そのファイルをブラウザで開けるかを確認する
- Claude Code をアンインストールして入れ直す
- ファイル名を英語に変更する
解答を見る
正解: 2
アクセスエラーの多くは権限不足が原因です。「自分(認証したアカウント)がブラウザで開けないものは、Claude Code も開けない」が大原則なので、まず認証に使ったアカウントでそのファイルを開けるかを確かめましょう。再起動や再インストールは権限の問題を解決しません。
Q2. 社内の Notion を Claude Code につなぐ前の行動として、適切でないものはどれでしょう?
- 社内情報を外部 AI サービスと連携してよいか、会社のルールを確認する
- 認証に使うアカウントが仕事用アカウントであることを確認する
- 最初は読み取り専用の権限で小さく試す
- 便利さを優先して、まず全ページへの書き込み権限を与えて試す
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正解: 4
権限は「最小から始めて必要に応じて広げる」が基本です。最初から全ページへの書き込み権限を与えるのは、意図しない上書きや情報の取り扱い事故につながるため避けるべきです。選択肢1〜3はいずれも、つなぐ前に行うべき適切な準備です。
Q3. Google Drive を MCP でつなごうとしています。2026年8月時点の状況として正しいものはどれでしょう?
- Anthropic 提供の
@modelcontextprotocol/server-gdriveを追加するのが標準の手順である - 現行は Google 公式のリモート型のみで、Developer Preview 段階かつ自分で Google Cloud Console に OAuth Client を作る必要がある
- Notion と同じように URL を追加してブラウザで許可を押すだけで完了する
- 読み取り専用に絞る手段がないため、業務では使えない
解答を見る
正解: 2
Anthropic の旧 Google Drive サーバーは 2025年5月29日にアーカイブされ、現在は使えません(選択肢1)。現行の Google 公式サーバーはリモート型ですが、Developer Preview 段階で、利用者自身が Google Cloud Console で OAuth Client を作る必要があります。したがって Notion のような手軽さはありません(選択肢3)。なお drive.readonly / drive.file という2つのスコープがあり、読み取り専用に絞ること自体はできます(選択肢4)。最初の1本には Notion を選ぶのが現実的です。