6-2 判断ごと任せる|Skills でノウハウを預ける
スラッシュコマンドの次の一歩。Skills を使うと、呼び出さなくても Claude Code が自分で必要な手順を選んで使うようになります。手順書との違いと、非エンジニアが最初に作るべき Skill を解説します。
このレッスンでわかること
6-1 のスラッシュコマンドは「自分が呼び出す」仕組みでした。このレッスンで扱う Skills は「Claude Code が自分で判断して使う」仕組みです。
- スラッシュコマンドと Skills の違いがわかる
- 自分の仕事のノウハウを Skill として預けられる
- 「毎回説明していたこと」を説明しなくて済むようになる
何が違うのか:呼ぶか、勝手に使われるか
同じ「手順を保存する」でも、使われ方が決定的に違います。
| スラッシュコマンド(6-1) | Skills(このレッスン) | |
|---|---|---|
| 起動 | 自分が /名前 で呼ぶ | Claude Code が必要だと判断したら使う |
| 向いている内容 | 手順が決まった作業 | 判断の基準・書き方のルール・専門知識 |
| 例 | 「週報を作る」 | 「うちの会社の見積書の書き方」 |
たとえば「見積書の書き方」を Skill にしておくと、あなたが「A社向けの見積書を作って」と頼んだだけで、Claude Code が自分で見積書のルールを思い出して適用します。/見積書 と呼ぶ必要がありません。
なぜこれが効くのか
非エンジニアの業務では、手順よりも「判断の基準」のほうが多いからです。
- 「この取引先は敬称を『御中』ではなく『様』にする」
- 「請求書の日付は締め日基準、納品書は納品日基準」
- 「社外向け文書では『弊社』、社内向けでは『当社』を使う」
こういうものは、いつ必要になるか事前に分かりません。その都度説明するか、毎回間違いを直すかの二択になっていたはずです。Skill にしておけば、必要な場面で自動的に効きます。
作ってみる:見積書のルール
ステップ1:置き場所
作業フォルダの .claude/skills/ の中に、Skill ごとにフォルダを1つ作り、その中に SKILL.md を置きます。
.claude/skills/estimate-format/SKILL.md
6-1 のコマンドは「ファイル1つ」でしたが、Skills は「フォルダ+その中の SKILL.md」です。ここだけ形が違います。
ステップ2:中身を書く
対話画面に入力します。
.claude/skills/estimate-format/SKILL.md を作ってください。中身は次のとおりです。
---
name: estimate-format
description: 見積書・請求書を作るときの、自社の書式ルール。金額表記や敬称、日付の基準を含む
---
# 見積書・請求書の書式ルール
## 金額
- 金額は必ず税込で書き、括弧で税抜も併記する(例: 110,000円(税抜100,000円))
- 3桁ごとにカンマを入れる
- 端数は切り捨て
## 宛名
- 会社宛ては「御中」、個人宛ては「様」
- 部署名まで分かっている場合は部署名を入れる
## 日付
- 見積書: 発行日
- 請求書: 締め日基準
- 和暦ではなく西暦で書く
## やってはいけないこと
- 金額を推測で埋めない。不明な項目は「要確認」と明記して質問する
- 有効期限のない見積書を作らない(既定は発行日から30日)
ステップ3:description が最重要
ここが Skills のいちばん大事なところです。
description に書いた内容を見て、Claude Code は「今この Skill を使うべきか」を判断します。
つまり、description が曖昧だと呼び出されません。
| Bad | Good |
|---|---|
description: 書式のルール | description: 見積書・請求書を作るときの、自社の書式ルール。金額表記や敬称、日付の基準を含む |
**「いつ使うものか」が読み取れるように書いてください。**キーワード(見積書、請求書、金額、敬称)を含めるのがコツです。
ステップ4:試す
Claude Code を再起動してから、対話画面にこう頼みます。
株式会社サンプル商事 向けの見積書を作ってください。
品目は「Webサイト制作一式」、金額は税抜30万円です。
**/estimate-format とは一言も言っていません。**それでも、金額が税込併記になり、宛名が「御中」になり、有効期限が入っていれば成功です。
返答の中に、どの Skill を使ったかが表示されます。それが「自動で選ばれた」証拠です。
何を Skill にすべきか
迷ったときの目安です。
Skill 向き
- 他の人に説明したことがあるもの(新人への引き継ぎ内容がそのまま候補)
- 間違えられると困るもの(金額・宛名・締め日)
- 自分の会社や業界に固有のもの
Skill 向きでない
- 一度きりの作業(そのまま指示すればよい)
- 手順が決まっていて自分で呼びたいもの → 6-1 のスラッシュコマンド
- 常に必ず守ってほしいこと → 5-1 の CLAUDE.md
3つの使い分け(第5章・第6章のまとめ)
| 仕組み | いつ効くか | 何を書くか |
|---|---|---|
| CLAUDE.md(5-1) | 常に | この作業全体の前提 |
| スラッシュコマンド(6-1) | 呼んだとき | 決まった手順 |
| Skills(6-2) | 必要と判断されたとき | 判断の基準・専門知識 |
よくあるつまずきと対処法
Skill が使われない
ほとんどが description の問題です。「いつ使うか」が読み取れる文になっているか見直してください。
確認のしかたとして、対話画面で直接聞くのが早道です。
いま使える Skill を一覧で教えてください。
どんなときに estimate-format が使われますか?
意図と違う答えが返ってきたら、description を書き直します。
逆に、使ってほしくないときにも使われる
description の範囲が広すぎます。「文書を作るときのルール」のように広く書くと、関係ない場面でも引っ張られます。対象を具体的に絞ってください。
フォルダ構成を間違える
.claude/skills/estimate-format/SKILL.md のように、Skill ごとのフォルダの中に SKILL.md という形です。.claude/skills/estimate-format.md では認識されません。
**※ Skills の仕様は変化が早い分野です。**うまくいかないときは公式ドキュメント(code.claude.com/docs)で最新の書き方を確認するか、エラー内容をそのまま対話画面に貼って聞いてください。
やってみよう
- 引き継ぎの棚卸し:自分の仕事で「新しく入った人に必ず説明すること」を3つ書き出しましょう。それが Skill の候補です
- 1つ作る:そのうち1つを
.claude/skills/<名前>/SKILL.mdとして保存してください - 呼ばずに試す:Skill 名を出さずに関連する作業を頼み、自動で適用されるか確認しましょう
- description を壊してみる:
descriptionをわざと「ルール集」だけに書き換えて再起動し、呼ばれなくなることを確認してください。確認したら元に戻します
演習4は、description が仕組みの心臓部だと体感するための練習です。
まとめ
- Skills は「呼ばなくても、必要な場面で自動的に使われる」仕組み
- 実体は
.claude/skills/<名前>/SKILL.md。フォルダ+ファイルの形になる descriptionが最重要。「いつ使うか」が読み取れないと呼ばれない- 手順が決まっていて自分で呼びたいならスラッシュコマンド、常に効かせたいなら CLAUDE.md
- 他の人に説明したことがある内容は、そのまま Skill の候補になる
理解度チェック
Q1. Skills とスラッシュコマンドの最も大きな違いはどれでしょう?
- Skills は有料、スラッシュコマンドは無料
- Skills は Claude Code が必要だと判断したときに自動で使われ、スラッシュコマンドは自分で呼び出す
- Skills は英語でしか書けない
- Skills はチーム共有できるが、スラッシュコマンドはできない
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正解:2
起動のしかたが決定的な違いです。スラッシュコマンドは /名前 で明示的に呼びますが、Skills は description を手がかりに Claude Code 自身が「今使うべきか」を判断します。そのため Skills は「いつ必要になるか事前に分からない判断基準」に向いています。どちらも置き場所によってチーム共有できるため、4 は誤りです。
Q2. 作った Skill が一向に使われません。最初に見直すべき箇所はどれでしょう?
descriptionに「いつ使うものか」が書かれているか- 本文の文字数が足りているか
- ファイルサイズが大きすぎないか
- Skill の数が多すぎないか
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正解:1
Claude Code は description を読んで使うかどうかを判断します。「書式のルール」のように曖昧だと、どの場面で必要なのか判断できず呼ばれません。「見積書・請求書を作るときの、自社の書式ルール」のように、対象とキーワードを含めて具体的に書いてください。