5-1 CLAUDE.md の書き方|Claude Code に職場のルールを覚えさせる
CLAUDE.md は Claude Code が起動時に読み込む「申し送りファイル」。毎回同じ説明を繰り返さずに済む書き方を、経理・営業フォルダの実例とテンプレート付きで解説します。非エンジニア向けの育て方ガイドです。
このレッスンでわかること
Claude Code を使い始めると、ある「面倒くささ」に気づきます。毎回、同じ説明を繰り返していることです。「うちの会社では金額は税込で書きます」「ファイル名は日付始まりにしてください」「このフォルダの『FY』は会計年度のことです」——前回伝えたはずのことを、新しい会話のたびにまた最初から伝えなければなりません。
この問題を解決するのが CLAUDE.md(クロード・エムディー)というファイルです。このレッスンでは、次の3つを身につけます。
- CLAUDE.md とは何か、なぜ「申し送りファイル」と呼べるのか
- 何を書けばいいのか(4つの定番項目と実例)
- 一度書いて終わりにせず、使いながら「育てる」運用方法
プログラミングの知識は不要です。「新しいアシスタントに渡す引き継ぎメモを書く」感覚で読み進めてください。
CLAUDE.md とは:毎回の説明を不要にする「申し送りファイル」
CLAUDE.md は、作業フォルダ(プロジェクトのルート)に置いておく指示ファイルです。Claude Code はそのフォルダで起動するときにこのファイルを読み込み、書かれている内容を前提として作業してくれます。
たとえるなら、職場のデスクに貼ってある「このチームのルール」の張り紙や、新人さんに渡す引き継ぎメモです。一度書いておけば、会話を新しく始めるたびに Claude Code が自動で目を通してくれるので、同じ説明を繰り返す必要がなくなります。
ポイントを整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ファイル名 | CLAUDE.md(この名前で固定) |
| 置き場所 | 作業フォルダの一番上(ルート) |
| 中身 | 普通の日本語の文章でOK(Markdown形式のテキスト) |
| 読まれるタイミング | Claude Code がそのフォルダで起動したとき |
「.md」という拡張子は Markdown(マークダウン)というテキスト形式を表しますが、難しく考える必要はありません。# で見出し、- で箇条書きが書ける、メモ帳でも編集できる普通のテキストファイルです。
なお、Claude Code には /init というコマンドがあり、これを実行するとフォルダの中身を調べて CLAUDE.md の雛形を自動生成してくれます。ゼロから書くのが不安な人は、まず /init で土台を作り、そこに自分のルールを書き足していく進め方がおすすめです。
何を書くか:4つの定番項目
CLAUDE.md に決まった書式はありませんが、非エンジニアの実務では次の4項目を押さえると効果がはっきり出ます。
- 仕事の背景:このフォルダは何のための場所か
- 用語集:社内用語・略語の意味
- ファイル構成:どこに何があるか
- してほしいこと/してほしくないこと:作業ルールと禁止事項
順番に、Bad例とGood例で見ていきましょう。
項目1:仕事の背景
Claude Code は、フォルダの中のファイルを見ることはできても、「この仕事が何のために存在するのか」までは知りません。背景を一文書いておくだけで、提案や成果物の的が大きく絞られます。
Bad例:背景の説明がなく、ファイル名から推測させている状態です。
(CLAUDE.md が存在しない、または空)
Good例:
## このフォルダについて
営業部の月次報告を作成するためのフォルダです。
毎月5日までに、前月の売上データから部長向けの報告資料を作ります。
読み手は数字の細部より「前月比」と「要因」を重視します。
項目2:用語集
社内用語や略語は、説明しない限り Claude Code には伝わりません。誤解されたまま集計や文書作成が進むと、手戻りが大きくなります。
Bad例:会話のたびに「『MQ』は商談化した問い合わせのことね」と口頭で説明し直している状態です。
Good例:
## 用語集
- MQ: 商談化した問い合わせ件数(Marketing Qualified の略)
- FY: 会計年度。FY2026 は 2026年4月〜2027年3月
- 締め日: 毎月20日。21日以降の受注は翌月計上
項目3:ファイル構成
「どこに何があるか」「どれが正本でどれが古いか」を書いておくと、Claude Code が間違ったファイルを参照する事故を防げます。
Good例:
## ファイル構成
- data/: 毎月の売上CSV(システムからの出力。編集禁止)
- reports/: 完成した月次報告(YYYY-MM_report.xlsx の形式)
- old/: 過去の旧フォーマット資料。参照不要
項目4:してほしいこと/してほしくないこと
4項目の中で、もっとも効果が大きいのがこれです。とくに「してほしくないこと(禁止事項)」は、事故防止の安全網になります。
Bad例:ルールが頭の中にしかなく、毎回の指示に書き忘れるとルール外の動きをされてしまう状態です。
Good例:
## してほしいこと
- 金額はすべて税込・円表記で統一する
- ファイルを新規作成するときは「YYYY-MM-DD_内容」の名前にする
- 集計結果を報告するときは、必ず元データのファイル名も添える
## してほしくないこと
- data/ フォルダ内のファイルを変更・削除しない
- 顧客名を成果物にそのまま載せない(イニシャル表記にする)
- 確認なしにメール文面を完成扱いにしない(必ず下書きとして提示)
実例:非エンジニアの CLAUDE.md 2パターン
ここまでの4項目を組み合わせた、実務イメージに近い実例を2つ紹介します。そのまま雛形として使えます。
実例1:経理フォルダ用
# 経理処理フォルダの申し送り
## このフォルダについて
月次の経費精算チェックと仕訳の下準備を行うフォルダです。
最終確認は人間(経理担当)が行うため、Claude Code の役割は
「下処理と異常値の検出」までです。
## 用語集
- 旅費規程: travel-rules.pdf に記載。日当の上限はここを参照
- 仮払: 精算前に先渡しした金額。精算時に相殺する
## ファイル構成
- receipts/: 領収書データ(編集禁止)
- checked/: チェック済みの精算データ
## してほしいこと
- 金額の合計を報告するときは、件数と期間も併記する
- 旅費規程の上限を超える申請を見つけたら一覧にして報告する
## してほしくないこと
- receipts/ 内のファイルを変更・削除しない
- 判断に迷う仕訳を勝手に分類しない(「要確認」として報告する)
実例2:営業フォルダ用
# 営業資料フォルダの申し送り
## このフォルダについて
提案書・見積書のドラフト作成を行うフォルダです。
読み手は顧客企業の決裁者(ITに詳しくない場合が多い)です。
## 用語集
- 標準プラン/拡張プラン: price-list.xlsx の2列目・3列目に対応
- リプレイス案件: 他社サービスからの乗り換え案件
## してほしいこと
- 提案書の文体は「です・ます調」、専門用語には一言の説明を添える
- 見積の数字は必ず price-list.xlsx を参照する(暗算・推測をしない)
## してほしくないこと
- 過去の他社向け提案書の固有名詞を残したまま流用しない
- 値引きの記載を指示なしに入れない
CLAUDE.md の「育て方」:書いて終わりにしない
CLAUDE.md は一度完成させるものではなく、使いながら育てるものです。おすすめの運用サイクルは次の3ステップです。
- 最初は小さく始める:
/initの雛形か、上の実例をベースに10行程度から。最初から完璧を目指すと書くこと自体が負担になります - 「また同じ説明をした」と気づいたら追記する:会話の中で2回以上説明したことは、CLAUDE.md 行きのサインです
- うまくいった指示を昇格させる:「この言い方をしたら一発で意図が通じた」という指示があれば、その表現をそのまま CLAUDE.md に書き写します
便利な小技として、Claude Code との会話の中で「今の決め事を CLAUDE.md に追記しておいて」と頼む方法があります。自分でファイルを開いて編集しなくても、Claude Code 自身に申し送りを書かせることができます。
逆に、注意点もあります。
- 長くしすぎない:何ページにもわたるルールは、重要な項目を埋もれさせます。使われていないルールは定期的に削除しましょう
- 矛盾を放置しない:「税抜で書く」と「税込で書く」が両方残っていると、どちらに従うか不安定になります。追記したら古い記述を見直す習慣をつけてください
- 機密情報を書かない:パスワードや顧客の個人情報は CLAUDE.md に書く内容ではありません。ルールや手順だけを書きます
やってみよう
演習1:自分がよく使う作業フォルダで Claude Code を起動し、/init を実行して CLAUDE.md の雛形を生成してみましょう。生成された内容を読み、実態と違う箇所がないか確認してください。
演習2:その CLAUDE.md に「用語集」と「してほしくないこと」を2〜3行ずつ自分で追記しましょう。書いたら新しい会話を始めて、「このフォルダのルールを要約して」と聞き、内容が反映されているか確かめてください。
演習3:Claude Code といつもの作業を1つ行い、会話の中で説明したルールについて「今のルールを CLAUDE.md に追記して」と頼んでみましょう。「育てる」運用の感覚をつかむのが目的です。
まとめ
- CLAUDE.md は作業フォルダの一番上に置く「申し送りファイル」で、Claude Code が起動時に読み込む
- 毎回繰り返していた説明を書いておけば、新しい会話でも前提として伝わる
- 定番の4項目は「仕事の背景・用語集・ファイル構成・してほしいこと/してほしくないこと」
- とくに「してほしくないこと(禁止事項)」は事故防止の安全網として効果が大きい
/initコマンドで雛形を自動生成でき、ゼロから書く必要はない- 一度書いて終わりではなく、「2回説明したら追記」「うまくいった指示を昇格」で育てていく
理解度チェック
Q1. CLAUDE.md の説明として正しいものはどれでしょう?
- Claude Code の利用料金を管理するファイル
- 作業フォルダに置いておくと、Claude Code が起動時に読み込む指示ファイル
- 会話の履歴が自動保存されるログファイル
- Anthropic 社に送信されるフィードバックファイル
解答を見る
正解: 2
CLAUDE.md は作業フォルダのルートに置く指示ファイルで、Claude Code が起動時に読み込みます。ここに書いたルールや用語は会話の前提として扱われるため、毎回同じ説明を繰り返す必要がなくなります。履歴ログや料金管理のファイルではありません。
Q2. CLAUDE.md の運用として、もっとも適切なものはどれでしょう?
- 最初に思いつくルールをすべて書き切り、その後は変更しない
- 機密情報も含めて、仕事に関する情報を全部書いておく
- 会話の中で2回以上説明したルールを見つけたら追記し、使われないルールは削除する
- 長ければ長いほど精度が上がるので、毎日とにかく追記する
解答を見る
正解: 3
CLAUDE.md は「小さく始めて育てる」のが基本です。繰り返し説明していることに気づいたら追記し、使われていないルールや矛盾した記述は整理します。長くしすぎると重要な項目が埋もれますし、パスワードや個人情報などの機密を書く場所でもありません。