AI Tools 2026年6月11日

5-1 CLAUDE.md の書き方|Claude Code に職場のルールを覚えさせる

CLAUDE.md は Claude Code が起動時に読み込む「申し送りファイル」。毎回同じ説明を繰り返さずに済む書き方を、経理・営業フォルダの実例とテンプレート付きで解説します。非エンジニア向けの育て方ガイドです。

このレッスンでわかること

Claude Code を使い始めると、ある「面倒くささ」に気づきます。毎回、同じ説明を繰り返していることです。「うちの会社では金額は税込で書きます」「ファイル名は日付始まりにしてください」「このフォルダの『FY』は会計年度のことです」——前回伝えたはずのことを、新しい会話のたびにまた最初から伝えなければなりません。

この問題を解決するのが CLAUDE.md(クロード・エムディー)というファイルです。このレッスンでは、次の3つを身につけます。

  • CLAUDE.md とは何か、なぜ「申し送りファイル」と呼べるのか
  • 何を書けばいいのか(4つの定番項目と実例)
  • 一度書いて終わりにせず、使いながら「育てる」運用方法

プログラミングの知識は不要です。「新しいアシスタントに渡す引き継ぎメモを書く」感覚で読み進めてください。

CLAUDE.md とは:毎回の説明を不要にする「申し送りファイル」

CLAUDE.md は、作業フォルダ(プロジェクトのルート)に置いておく指示ファイルです。Claude Code はそのフォルダで起動するときにこのファイルを読み込み、書かれている内容を前提として作業してくれます。

たとえるなら、職場のデスクに貼ってある「このチームのルール」の張り紙や、新人さんに渡す引き継ぎメモです。一度書いておけば、会話を新しく始めるたびに Claude Code が自動で目を通してくれるので、同じ説明を繰り返す必要がなくなります。

ポイントを整理します。

項目内容
ファイル名CLAUDE.md(この名前で固定)
置き場所作業フォルダの一番上(ルート)
中身普通の日本語の文章でOK(Markdown形式のテキスト)
読まれるタイミングClaude Code がそのフォルダで起動したとき

「.md」という拡張子は Markdown(マークダウン)というテキスト形式を表しますが、難しく考える必要はありません。# で見出し、- で箇条書きが書ける、メモ帳でも編集できる普通のテキストファイルです。

なお、Claude Code には /init というコマンドがあり、これを実行するとフォルダの中身を調べて CLAUDE.md の雛形を自動生成してくれます。ゼロから書くのが不安な人は、まず /init で土台を作り、そこに自分のルールを書き足していく進め方がおすすめです。

何を書くか:4つの定番項目

CLAUDE.md に決まった書式はありませんが、非エンジニアの実務では次の4項目を押さえると効果がはっきり出ます。

  1. 仕事の背景:このフォルダは何のための場所か
  2. 用語集:社内用語・略語の意味
  3. ファイル構成:どこに何があるか
  4. してほしいこと/してほしくないこと:作業ルールと禁止事項

順番に、Bad例とGood例で見ていきましょう。

項目1:仕事の背景

Claude Code は、フォルダの中のファイルを見ることはできても、「この仕事が何のために存在するのか」までは知りません。背景を一文書いておくだけで、提案や成果物の的が大きく絞られます。

Bad例:背景の説明がなく、ファイル名から推測させている状態です。

(CLAUDE.md が存在しない、または空)

Good例

## このフォルダについて
営業部の月次報告を作成するためのフォルダです。
毎月5日までに、前月の売上データから部長向けの報告資料を作ります。
読み手は数字の細部より「前月比」と「要因」を重視します。

項目2:用語集

社内用語や略語は、説明しない限り Claude Code には伝わりません。誤解されたまま集計や文書作成が進むと、手戻りが大きくなります。

Bad例:会話のたびに「『MQ』は商談化した問い合わせのことね」と口頭で説明し直している状態です。

Good例

## 用語集
- MQ: 商談化した問い合わせ件数(Marketing Qualified の略)
- FY: 会計年度。FY2026 は 2026年4月〜2027年3月
- 締め日: 毎月20日。21日以降の受注は翌月計上

項目3:ファイル構成

「どこに何があるか」「どれが正本でどれが古いか」を書いておくと、Claude Code が間違ったファイルを参照する事故を防げます。

Good例

## ファイル構成
- data/: 毎月の売上CSV(システムからの出力。編集禁止)
- reports/: 完成した月次報告(YYYY-MM_report.xlsx の形式)
- old/: 過去の旧フォーマット資料。参照不要

項目4:してほしいこと/してほしくないこと

4項目の中で、もっとも効果が大きいのがこれです。とくに「してほしくないこと(禁止事項)」は、事故防止の安全網になります。

Bad例:ルールが頭の中にしかなく、毎回の指示に書き忘れるとルール外の動きをされてしまう状態です。

Good例

## してほしいこと
- 金額はすべて税込・円表記で統一する
- ファイルを新規作成するときは「YYYY-MM-DD_内容」の名前にする
- 集計結果を報告するときは、必ず元データのファイル名も添える

## してほしくないこと
- data/ フォルダ内のファイルを変更・削除しない
- 顧客名を成果物にそのまま載せない(イニシャル表記にする)
- 確認なしにメール文面を完成扱いにしない(必ず下書きとして提示)

実例:非エンジニアの CLAUDE.md 2パターン

ここまでの4項目を組み合わせた、実務イメージに近い実例を2つ紹介します。そのまま雛形として使えます。

実例1:経理フォルダ用

# 経理処理フォルダの申し送り

## このフォルダについて
月次の経費精算チェックと仕訳の下準備を行うフォルダです。
最終確認は人間(経理担当)が行うため、Claude Code の役割は
「下処理と異常値の検出」までです。

## 用語集
- 旅費規程: travel-rules.pdf に記載。日当の上限はここを参照
- 仮払: 精算前に先渡しした金額。精算時に相殺する

## ファイル構成
- receipts/: 領収書データ(編集禁止)
- checked/: チェック済みの精算データ

## してほしいこと
- 金額の合計を報告するときは、件数と期間も併記する
- 旅費規程の上限を超える申請を見つけたら一覧にして報告する

## してほしくないこと
- receipts/ 内のファイルを変更・削除しない
- 判断に迷う仕訳を勝手に分類しない(「要確認」として報告する)

実例2:営業フォルダ用

# 営業資料フォルダの申し送り

## このフォルダについて
提案書・見積書のドラフト作成を行うフォルダです。
読み手は顧客企業の決裁者(ITに詳しくない場合が多い)です。

## 用語集
- 標準プラン/拡張プラン: price-list.xlsx の2列目・3列目に対応
- リプレイス案件: 他社サービスからの乗り換え案件

## してほしいこと
- 提案書の文体は「です・ます調」、専門用語には一言の説明を添える
- 見積の数字は必ず price-list.xlsx を参照する(暗算・推測をしない)

## してほしくないこと
- 過去の他社向け提案書の固有名詞を残したまま流用しない
- 値引きの記載を指示なしに入れない

CLAUDE.md の「育て方」:書いて終わりにしない

CLAUDE.md は一度完成させるものではなく、使いながら育てるものです。おすすめの運用サイクルは次の3ステップです。

  1. 最初は小さく始める/init の雛形か、上の実例をベースに10行程度から。最初から完璧を目指すと書くこと自体が負担になります
  2. 「また同じ説明をした」と気づいたら追記する:会話の中で2回以上説明したことは、CLAUDE.md 行きのサインです
  3. うまくいった指示を昇格させる:「この言い方をしたら一発で意図が通じた」という指示があれば、その表現をそのまま CLAUDE.md に書き写します

便利な小技として、Claude Code との会話の中で「今の決め事を CLAUDE.md に追記しておいて」と頼む方法があります。自分でファイルを開いて編集しなくても、Claude Code 自身に申し送りを書かせることができます。

逆に、注意点もあります。

  • 長くしすぎない:何ページにもわたるルールは、重要な項目を埋もれさせます。使われていないルールは定期的に削除しましょう
  • 矛盾を放置しない:「税抜で書く」と「税込で書く」が両方残っていると、どちらに従うか不安定になります。追記したら古い記述を見直す習慣をつけてください
  • 機密情報を書かない:パスワードや顧客の個人情報は CLAUDE.md に書く内容ではありません。ルールや手順だけを書きます

やってみよう

演習1:自分がよく使う作業フォルダで Claude Code を起動し、/init を実行して CLAUDE.md の雛形を生成してみましょう。生成された内容を読み、実態と違う箇所がないか確認してください。

演習2:その CLAUDE.md に「用語集」と「してほしくないこと」を2〜3行ずつ自分で追記しましょう。書いたら新しい会話を始めて、「このフォルダのルールを要約して」と聞き、内容が反映されているか確かめてください。

演習3:Claude Code といつもの作業を1つ行い、会話の中で説明したルールについて「今のルールを CLAUDE.md に追記して」と頼んでみましょう。「育てる」運用の感覚をつかむのが目的です。

まとめ

  • CLAUDE.md は作業フォルダの一番上に置く「申し送りファイル」で、Claude Code が起動時に読み込む
  • 毎回繰り返していた説明を書いておけば、新しい会話でも前提として伝わる
  • 定番の4項目は「仕事の背景・用語集・ファイル構成・してほしいこと/してほしくないこと」
  • とくに「してほしくないこと(禁止事項)」は事故防止の安全網として効果が大きい
  • /init コマンドで雛形を自動生成でき、ゼロから書く必要はない
  • 一度書いて終わりではなく、「2回説明したら追記」「うまくいった指示を昇格」で育てていく

理解度チェック

Q1. CLAUDE.md の説明として正しいものはどれでしょう?

  1. Claude Code の利用料金を管理するファイル
  2. 作業フォルダに置いておくと、Claude Code が起動時に読み込む指示ファイル
  3. 会話の履歴が自動保存されるログファイル
  4. Anthropic 社に送信されるフィードバックファイル
解答を見る

正解: 2

CLAUDE.md は作業フォルダのルートに置く指示ファイルで、Claude Code が起動時に読み込みます。ここに書いたルールや用語は会話の前提として扱われるため、毎回同じ説明を繰り返す必要がなくなります。履歴ログや料金管理のファイルではありません。

Q2. CLAUDE.md の運用として、もっとも適切なものはどれでしょう?

  1. 最初に思いつくルールをすべて書き切り、その後は変更しない
  2. 機密情報も含めて、仕事に関する情報を全部書いておく
  3. 会話の中で2回以上説明したルールを見つけたら追記し、使われないルールは削除する
  4. 長ければ長いほど精度が上がるので、毎日とにかく追記する
解答を見る

正解: 3

CLAUDE.md は「小さく始めて育てる」のが基本です。繰り返し説明していることに気づいたら追記し、使われていないルールや矛盾した記述は整理します。長くしすぎると重要な項目が埋もれますし、パスワードや個人情報などの機密を書く場所でもありません。