8-1 Claude Code の MCP とは|外部ツール連携の仕組みを理解する
MCP(Model Context Protocol)は AI と外部ツールをつなぐ共通規格。なぜ必要なのか、何ができるのか、claude mcp add での追加方法とセキュリティの基本姿勢まで、非エンジニア向けにやさしく解説します。
このレッスンでわかること
ここまでのレッスンで、Claude Code が手元のファイルを読み書きしたり、資料を作ったりできることを学んできました。ただ、実際の仕事で使い始めると、こんな場面にぶつかります。
「議事録は Notion にある」「最新の売上データは Google Drive のスプレッドシートにある」「タスクは GitHub で管理している」——つまり、仕事に必要な情報の多くはパソコンの中ではなく、クラウド上のツールの中にあるのです。
この章で学ぶ MCP(Model Context Protocol) は、その壁を越えるための仕組みです。このレッスンでは、次の3つを身につけます。
- MCP とは何か、なぜ必要なのか
- MCP で何ができるようになるのか(具体例)
- MCP サーバーを追加する方法の概要と、安全に使うための基本姿勢
専門用語は最小限に絞ります。「Claude Code に新しい手足を生やす仕組み」というイメージで読み進めてください。
MCP とは:AIの「手」を増やすUSBポートのような共通規格
MCP(Model Context Protocol)は、AI と外部のツール・データソースをつなぐためのオープンな共通規格です。Anthropic が公開し、現在では多くの企業・開発者が対応ツールを提供しています。
たとえ話で説明しましょう。パソコンには USB ポートがあります。マウスでもキーボードでも外付けディスクでも、USB という共通規格に対応してさえいれば、差し込むだけで使えます。メーカーごとに専用ポートを用意する必要はありません。
MCP はこれの AI 版です。
- パソコン本体 にあたるのが Claude Code
- USBポート にあたるのが MCP という共通規格
- USB機器(マウスやキーボード) にあたるのが「MCP サーバー」と呼ばれる接続部品
Notion、Google Drive、GitHub、Slack など、各社がそれぞれの MCP サーバーを提供しています。Claude Code にそれらを「差し込む」と、Claude Code が Notion のページを読んだり、Slack のメッセージを検索したりできるようになるのです。
ひとつ注意したいのが「サーバー」という言葉です。ここでの MCP サーバーは、大きな機械やデータセンターのことではありません。「Claude Code と外部ツールの間に立つ通訳プログラム」程度の意味で、多くは自分のパソコンの中で静かに動く小さなプログラムです。身構える必要はありません。
なぜ MCP が必要なのか:コピペ往復からの解放
MCP がない状態で「Notion の議事録を要約したい」と思ったら、作業はこうなります。
- ブラウザで Notion を開く
- 議事録のページを探して開く
- 本文をコピーする
- Claude Code に貼り付けて「要約して」と頼む
- できた要約をコピーして、また Notion に貼り付ける
AI を使っているのに、人間が「運び屋」をやっている状態です。ページが10件あれば、この往復を10回繰り返すことになります。
MCP で Notion をつないでいれば、指示は1行で済みます。
Notion にある今週の議事録を全部読んで、決定事項だけを一覧にまとめてください。
探す・開く・コピーする・貼り付ける、という人間の手作業がすべて消えます。これが MCP の本質的な価値です。AI に「目」と「手」を与えて、人間はコピペ係から指示役に戻る——そう捉えてください。
MCP でできることの例
代表的な MCP サーバーと、できることの例を挙げます。
| つなぐツール | できることの例 |
|---|---|
| Notion | ページの検索・読み取り、議事録の要約、新しいページの作成 |
| Google Drive | ファイルの検索、ドキュメントやスプレッドシートの内容の読み取り |
| GitHub | Issue(タスク)の確認・作成、変更内容(PR)の確認 |
| Slack | メッセージの検索、長いスレッドの要約 |
| データベース | 「先月の売上は?」のような質問でデータを照会 |
ポイントは、これらを 組み合わせられる ことです。たとえば「Slack の議論を要約して、Notion に議事録ページとして保存する」のように、複数のツールをまたいだ作業を1回の指示で頼めるようになります。具体的な活用例は、次の 8-2・8-3 のレッスンで詳しく扱います。
MCP サーバーの追加方法:概要をつかむ
Claude Code に MCP サーバーを追加する方法は、大きく2つあります。
方法1:claude mcp add コマンドで追加する
ターミナルで次の形式のコマンドを実行します。
claude mcp add <名前> <サーバーの起動コマンドや接続先>
「どのサーバーを、何という名前で登録するか」を Claude Code に教えるコマンドです。具体的に何を指定するかは、つなぎたいサーバーごとに異なります。各サーバーの公式ページに「Claude Code への追加方法」が案内されているので、必ずそちらを確認してください。
方法2:設定ファイル(.mcp.json)に書く
プロジェクトのフォルダに .mcp.json という設定ファイルを置く方法もあります。この方法の利点は、チームで設定を共有できることです。ファイルをチームメンバーに渡せば、全員が同じ MCP 構成で作業できます。
追加できたかの確認
登録済みの MCP サーバーは、次のコマンドで一覧できます。
claude mcp list
また、Claude Code の対話中に /mcp と入力すると、接続状態の確認や認証(ログイン)の操作ができます。「追加したのに動かない」と感じたら、まずここで接続状態を見るのが定石です。
なお、MCP サーバーの設定手順や認証方法はサーバーごとに異なり、変化も早い分野です。本カリキュラムでは「型」を覚えることに集中し、細かい手順は各サーバーの公式手順を確認する習慣をつけてください。
セキュリティの基本姿勢:便利さと引き換えのリスクを知る
MCP は Claude Code に「手」を与える仕組みです。手が増えるということは、触れるものが増えるということでもあります。使い始める前に、次の3つの基本姿勢を必ず覚えてください。
1. 信頼できる提供元のサーバーだけを使う
MCP サーバーは誰でも作って公開できます。便利そうに見えても、出どころの分からないサーバーを安易に追加するのは危険です。USB メモリを「道に落ちていたから」と差し込まないのと同じです。公式提供のもの、または提供元がはっきりしているものだけを使いましょう。
2. 与える権限は最小にする
多くの MCP サーバーは、接続時に「どこまでの操作を許可するか」を選べます。読み取りだけで足りる用途なら、書き込みや削除の権限まで与える必要はありません。「とりあえず全部許可」は禁物です。まず読み取り専用で始めて、必要になったら広げる、が安全な順序です。
3. 扱うデータの重みを意識する
MCP で社内の Notion や Drive をつなぐと、Claude Code はそこにある情報を読めるようになります。顧客情報や機密情報を含むツールをつなぐ場合は、会社のルール(情報の社外サービス利用に関する規程など)を事前に確認してください。「自分の権限で見られるものを、AI にも見せてよいか」は別問題として考える必要があります。
やってみよう
演習1:自分の仕事の1日を振り返り、「あるツールから情報をコピーして、別の場所に貼り付けている作業」を3つ書き出してみましょう。それが MCP で自動化できる候補です。
演習2:ターミナルで claude mcp list を実行してみましょう。まだ何も追加していなければ空のはずです。「ここに今後つないだツールが並ぶ」という場所を確認するのが目的です。
演習3:演習1で挙げた候補のうち1つについて、つなぎたいツールの名前と「MCP」で検索し、公式の MCP サーバーが提供されているかを調べてみましょう(この段階ではまだ追加しなくて構いません)。
まとめ
- MCP は AI と外部ツール・データソースをつなぐオープンな共通規格。「AI 版の USB ポート」とイメージするとよい
- MCP がないと人間がコピペの運び屋になる。MCP をつなぐと、探す・コピーする・貼り付ける作業が消える
- Notion・Google Drive・GitHub・Slack など、各社の MCP サーバーが提供されている
- 追加は
claude mcp addコマンドか設定ファイル(.mcp.json)。確認はclaude mcp listや/mcpで行う - 設定手順はサーバーごとに異なり変化も早いため、細部は必ず各サーバーの公式手順を確認する
- セキュリティの基本は「信頼できる提供元のみ」「権限は最小から」「扱うデータの重みを意識する」の3つ
理解度チェック
Q1. MCP(Model Context Protocol)の説明として、もっとも適切なものはどれでしょう?
- Claude Code 専用の有料オプション機能
- AI と外部ツール・データソースをつなぐためのオープンな共通規格
- パソコンを高速化するためのハードウェア
- プログラミング言語の一種
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正解: 2
MCP は AI と外部ツール・データソースをつなぐオープンな共通規格です。Claude Code 専用ではなく、規格に対応していればさまざまな AI ツール・外部サービスの間で使えます。USB ポートのように「共通の差し込み口」を定めたもの、とイメージしてください。
Q2. MCP サーバーを使い始めるときのセキュリティの姿勢として、適切なものはどれでしょう?
- 便利になるよう、最初からすべての権限を許可しておく
- 人気がありそうなサーバーなら、提供元を確認せずに追加してよい
- まず読み取り専用など最小の権限で始め、必要に応じて広げる
- 社内の機密データを含むツールも、自分が見られるなら無条件でつないでよい
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正解: 3
権限は「最小から始めて必要に応じて広げる」が基本です。選択肢1の全権限許可や、選択肢2の提供元未確認での追加は危険です。選択肢4についても、自分に閲覧権限があることと、AI 経由でアクセスさせてよいことは別問題であり、会社のルールの確認が必要です。