5-2 Claude Code プロンプトの書き方|精度を上げる5大原則
Claude Code への指示の精度を上げる5大原則(目的・対象・出力形式・制約・確認ポイント)を Bad/Good 例つきで解説。長い指示を見出しと箇条書きで構造化する方法、途中で軌道修正するコツも紹介します。
このレッスンでわかること
レッスン3-1では、Claude Code への指示の「5つの型」を学びました。型を覚えると一通りの仕事は頼めるようになりますが、使い込んでいくと次の壁に当たります。「だいたい合っているけれど、微妙に期待と違うものが出てくる」「長い指示を書くと、一部だけ無視される」——精度の壁です。
このレッスンでは、どんな型の指示にも共通して効く「精度を上げる5大原則」を学びます。
- 5大原則それぞれの意味と、Bad/Good の具体例
- 長い指示を見出し・箇条書きで構造化する書き方
- 作業が始まってから軌道修正するコツ
5大原則は、3-1で学んだ「4要素(目的・対象・成果物・制約)」を実務向けに拡張したものです。重なる部分は復習として、新しい部分は上積みとして読んでください。
5大原則の全体像
精度の高い指示には、次の5つが揃っています。
| # | 原則 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 1 | 目的とゴールを先に言う | 「何のために・何ができたら完了か」を冒頭に |
| 2 | 対象と範囲を特定する | 「どれを・どこまで」を曖昧にしない |
| 3 | 出力形式を指定する | 「どんな形で」を具体的に |
| 4 | 制約・除外を明示する | 「やらないでほしいこと」を先に言う |
| 5 | 確認ポイントを指定する | 「どこで一度止まるか」を決めておく |
5つすべてを毎回書く必要はありません。短い作業なら1〜3だけで十分なこともあります。ただし、結果が期待とずれたときは、5つのどれが抜けていたかを点検する——このチェックリストとしての使い方が本質です。
原則1:目的とゴールを先に言う
Claude Code は指示の文面どおりに動こうとしますが、目的が分かっていると「文面の行間」まで汲んでくれます。逆に目的がないと、作業としては正しいのに役に立たない成果物ができあがります。
Bad例:作業内容だけで、何のためかが不明です。
このアンケート結果を集計して
Good例:目的とゴール(完了条件)を冒頭で宣言しています。
来週の企画会議で「顧客がどの機能を求めているか」を説明するために、
このアンケート結果を集計してください。
ゴール: 会議で口頭説明に使える、要望の多い順トップ5の一覧
目的が伝わっていれば、たとえば「トップ5に僅差の6位があります。補足しますか?」のような、目的に沿った提案も期待できます。
原則2:対象と範囲を特定する
「どのファイルを」「どの期間を」「どの部分を」が曖昧だと、Claude Code は推測で範囲を決めるしかありません。推測が当たることもありますが、外れると丸ごとやり直しです。
Bad例:対象も範囲も曖昧です。
売上データをきれいにして
Good例:ファイル名・期間・対象列まで特定しています。
data フォルダの sales_2026.csv を整えてください。
- 対象範囲: 2026年1月〜5月の行のみ
- 対象列: 「金額」列の表記ゆれ(円マークの有無、カンマの有無)
- 範囲外: 6月以降の行と、金額以外の列には触れない
範囲を指定するときは、「含めるもの」と「含めないもの」をセットで書くのがコツです。境界線がはっきりして、解釈のぶれがなくなります。
原則3:出力形式を指定する
同じ内容でも、チャットで読む報告、Excelに貼る表、メールに貼る文章では、適した形がまったく違います。形式の指定がないと、Claude Code は無難な形を選びますが、それがあなたの用途に合うとは限りません。
Bad例:形式の指定がなく、長文の解説が返ってくるかもしれません。
この3つの見積もりを比較して
Good例:形式・項目・分量まで指定しています。
この3つの見積もり(A社・B社・C社のPDF)を比較してください。
- 出力形式: 表(行=比較項目、列=会社)
- 比較項目: 初期費用、月額費用、サポート範囲、契約期間
- 分量: 表のあとに3行以内の所感
- 保存先: チャットで表示するだけでよい(ファイル作成は不要)
形式指定で便利なキーワードをいくつか挙げます。「表で」「箇条書きで」「○字以内で」「メールにそのまま貼れる形で」「ファイル名○○で保存して」。このあたりを言えるだけで、出力の使い勝手が大きく変わります。
原則4:制約・除外を明示する
「してほしいこと」と同じくらい大事なのが、「しないでほしいこと」です。とくにファイルを扱う Claude Code では、制約の明示が安全網になります。
Bad例:禁止事項がなく、元ファイルが上書きされるかもしれません。
この議事録、誤字を直しておいて
Good例:触ってよい範囲と残すべきものを明示しています。
gijiroku.txt の誤字脱字を修正してください。
- 制約1: 発言内容や数値は変更しない(誤字の修正のみ)
- 制約2: 元ファイルは gijiroku_backup.txt として残してから上書き
- 制約3: 修正した箇所の一覧を最後に報告する
よく使う制約の定番は次の3つです。
- 「元ファイルは変更しない」「バックアップを取ってから」
- 「内容・数値は変えない」(形式だけ直してほしいとき)
- 「○○フォルダには触れない」(作業範囲の外を守るとき)
原則5:確認ポイントを指定する
ここが3-1の4要素にはなかった、5つ目の原則です。大きな仕事を一気に任せると、方向性のずれに気づくのが最後になり、手戻りが最大化します。「どこで一度止まって確認するか」をあらかじめ指示に組み込みましょう。
Bad例:30ファイルの処理を一気に任せ、終わってから全部やり直しになるパターンです。
このフォルダの請求書30件、全部リネームして整理して
Good例:最初の数件で止まる設計にしています。
このフォルダの請求書30件を「YYYY-MM-DD_取引先名.pdf」の形式に
リネームしたいです。
まず最初の3件だけリネームして結果を見せてください。
私がOKを出したら、残りをまとめて処理してください。
確認ポイントの置き方には定番パターンがあります。
- サンプル方式:「まず3件だけやって見せて」
- 計画方式:「作業前に手順を一覧で見せて。承認したら開始して」
- 節目方式:「各セクションが終わるごとに一度止まって」
作業が大きいほど、確認ポイントの価値は上がります。逆に5分で終わる作業に確認を3回挟むのは過剰です。仕事の大きさに合わせて調整してください。
長い指示は「構造」で伝える
5大原則をすべて盛り込むと、指示は自然と長くなります。長い指示を1つの段落にだらだら書くと、一部の条件が読み落とされやすくなります。見出しと箇条書きで構造化しましょう。
Bad例:条件が文章に埋もれています。
新商品の案内メールを作ってほしいんですが、既存顧客向けで、
あまり売り込み感が強くない感じで、でも特典には触れてほしくて、
あと300字くらいで、件名も3案ほしいです。社名は入れないでください。
Good例:同じ内容を構造化したものです。
新商品の案内メールを作ってください。
## 目的
既存顧客に新商品を知らせ、詳細ページへの誘導につなげる
## 出力形式
- 本文: 300字程度
- 件名: 3案
## トーン・内容
- 売り込み感を抑えた、お知らせ寄りの文体
- 早期申込特典には必ず触れる
## 制約
- 本文に社名は入れない(署名で入れるため)
書いている内容は Bad例とまったく同じです。それでも構造化するだけで、条件の読み落としが減り、後から自分で見返して条件を追加・修正するのも簡単になります。指示が4〜5行を超えたら構造化する、と覚えておくとよいでしょう。
途中で軌道修正するコツ
どれだけ指示を磨いても、ずれは起きます。大事なのは、ずれに気づいたときの立て直し方です。
- 早く止める:方向性が違うと感じたら、完成を待たずにその場で伝えます。Claude Code 相手に遠慮は不要です(作業中なら Esc キーで中断できます)
- 「何が違うか」を具体的に言う:「なんか違う」ではなく「文体は良いが、対象読者が社内向けになっている。社外の顧客向けに直して」のように、良い点と直す点を分けて伝えます
- 指示の抜けを認めて補う:「最初に言い忘れましたが、金額は税込で統一してください」と条件を後出しで追加するのは、まったく問題ありません
- ずれが大きいときは仕切り直す:小さな修正を何往復も重ねるより、「ここまでの内容を踏まえて、条件を整理し直します」と構造化した指示を出し直すほうが早いことがあります
軌道修正で得た学びは、次回の最初の指示に反映します。繰り返し同じ修正をしているなら、それは前のレッスンで学んだ CLAUDE.md に書くべきルールかもしれません。
やってみよう
演習1:最近 Claude Code(または他のAI)に出して「期待と違う結果になった」指示をひとつ思い出し、5大原則のどれが抜けていたかを分析してみましょう。そのうえで指示を書き直し、再実行して結果を比べてください。
演習2:自分の実務の仕事をひとつ選び、「目的/出力形式/制約」の見出しを立てた構造化指示を書いて実行してみましょう。指示はテキストファイルに下書きしてから貼り付けると、使い回しもできて便利です。
演習3:10件以上のファイル処理(リネーム・変換・集計など)を、「まず3件だけやって見せて」のサンプル方式で頼んでみましょう。最初の3件で修正点を伝えてから残りを処理させ、手戻りの少なさを体感してください。
まとめ
- 精度を上げる5大原則は「目的とゴール・対象と範囲・出力形式・制約と除外・確認ポイント」
- 5つは毎回全部書くものではなく、結果がずれたときの点検チェックリストとして使う
- 範囲指定は「含めるもの」と「含めないもの」をセットで書くと解釈がぶれない
- 「元ファイルは変更しない」などの制約・除外は、ファイルを扱う作業の安全網になる
- 大きな作業には「まず3件だけ」「計画を先に見せて」と確認ポイントを組み込み、手戻りを防ぐ
- 4〜5行を超える指示は見出し・箇条書きで構造化し、ずれたら早めに具体的に軌道修正する
理解度チェック
Q1. 30個のファイルを一括処理させる指示で、手戻りを防ぐためにもっとも効果的な工夫はどれでしょう?
- 指示文をできるだけ長く、丁寧な敬語で書く
- 「まず3件だけ処理して見せて。OKを出したら残りを進めて」と確認ポイントを組み込む
- 処理が終わるまで画面を見守り続ける
- 同じ指示を2回送って念押しする
解答を見る
正解: 2
大きな作業ほど、最初に小さなサンプルで方向性を確認する価値が上がります。3件の時点でずれに気づけば修正は3件分で済みますが、30件終わってから気づくと全件やり直しです。これが原則5「確認ポイントを指定する」の考え方です。
Q2. 「売上データをきれいにして」という指示の問題点として、5大原則の観点でもっとも当てはまるものはどれでしょう?
- 敬語を使っていないので失礼にあたる
- 対象ファイル・範囲・「きれい」の中身が特定されておらず、推測で作業が進んでしまう
- 指示が短すぎるので Claude Code が動かない
- 出力形式を表で指定していないのでエラーになる
解答を見る
正解: 2
原則2「対象と範囲を特定する」が抜けています。どのファイルの・どの期間の・どの列を・どう直すのかが書かれていないため、Claude Code は推測で範囲を決めるしかなく、期待とずれるリスクが高くなります。なお、短い指示や敬語の有無でエラーになることはありません。