1-2 Claude Code で何ができる?職種別ユースケース集
営業・マーケティング・企画/事務・エンジニアの職種別に、Claude Code の具体的な活用例と「最初の一歩」になる指示例を紹介。自分の仕事のどこに使えるかがわかるユースケース集です。
このレッスンでわかること
前のレッスン(1-1)では、Claude Code が「手を動かすAIエージェント」であることを学びました。今回はそれを一歩進めて、「自分の仕事のどこに使えるのか」を具体的にしていきます。
このレッスンを読み終えると、次の2つができるようになります。
- 営業・マーケティング・企画/事務・エンジニアの各職種で、Claude Code がどんな作業を肩代わりできるかをイメージできる
- 自分の職種で「最初に試す一手」となる指示文を持ち帰れる
すべてのユースケースを覚える必要はありません。自分の職種のところを重点的に読み、他の職種は「こんな使い方もあるのか」と眺める程度で大丈夫です。
ユースケースを見る前に:共通する考え方
職種別の話に入る前に、どの職種にも共通する「Claude Code に向いている仕事」の特徴を押さえておきましょう。次の3条件のどれかに当てはまる作業は、有力な候補です。
- 入力と出力がはっきりしている:「このファイルを読んで、この形式で出す」と言い切れる作業
- 手順が毎回ほぼ同じ:週次レポート、リスト整形、定型文書など繰り返しの作業
- 量が多くて人手だとつらい:100件のデータ整理、数十ファイルの一括処理など
逆に、「正解が人の感覚に依存する仕事」(重要顧客への謝罪文の最終判断など)や「社内の暗黙知が必要な仕事」は、AIに丸投げせずドラフト作成までにとどめるのが安全です。AIは下書きと処理、人間は判断と仕上げ──この分担を頭に置いて、職種別の例を見ていきましょう。
営業職のユースケース
営業の仕事には、商談以外の「事務的な周辺作業」が意外と多くあります。Claude Code はこの周辺作業の削減に効きます。
| 作業 | Claude Code に任せられること |
|---|---|
| 営業レポート作成 | 商談メモや実績データ(CSV/Excel)を読み込み、週次・月次レポートのドラフトを生成 |
| 提案書ドラフト | 顧客の業種・課題・過去のヒアリングメモから、提案書の構成案と本文ドラフトを作成 |
| 顧客リスト整理 | 表記ゆれの統一(「株式会社」「(株)」など)、重複行の削除、担当者別の振り分け |
| 商談準備 | 過去のやり取りメモを時系列に整理し、論点と宿題事項を一覧化 |
たとえば顧客リストの整理。「Excel の関数でどうやるんだっけ……」と調べる時間が毎回発生していたなら、ファイルを渡して日本語で頼むほうが早く確実です。
営業職の「最初の一歩」指示例
このフォルダにある customers.csv を読んでください。
会社名の表記ゆれ(「株式会社」と「(株)」の混在)を「株式会社」に統一し、
完全に重複している行は削除して、cleaned_customers.csv として保存してください。
変更した件数も教えてください。
ポイントは最後の一文です。「何をどれだけ変えたか」を報告させると、結果の確認が一気に楽になります。
マーケティング職のユースケース
マーケティングは「調べる・書く・集計する」の繰り返しが多い職種です。3つとも Claude Code の得意分野に重なります。
| 作業 | Claude Code に任せられること |
|---|---|
| 競合調査の整理 | 集めた競合情報のメモを、比較表(価格・機能・ターゲット)に構造化 |
| SEO記事ドラフト | キーワードと構成案から記事の下書きを生成、見出し構成の提案 |
| データ集計 | 広告レポートやアクセスログ(CSV)の集計、チャネル別・月別のサマリー作成 |
| コンテンツ管理 | 記事ファイルの一括リネーム、メタ情報(タイトル・タグ)の棚卸し一覧の作成 |
注意したいのは記事ドラフトの扱いです。AIの文章をそのまま公開するのではなく、構成と初稿はAI、事実確認と仕上げは人間という分担にしましょう。特に数値や固有名詞は必ず一次情報で確認してください。
マーケティング職の「最初の一歩」指示例
ad_report.csv は先月の広告データです(列:日付、チャネル、表示回数、クリック数、費用)。
チャネル別に費用合計・クリック合計・クリック単価を集計して、
費用が大きい順に並べた表を Markdown で出力してください。
集計の「列が何を意味するか」を一言添えるだけで、結果の精度が大きく変わります。
企画・事務職のユースケース
企画・事務系の仕事は定型文書とExcel作業の比率が高く、Claude Code の効果が最も体感しやすい職種かもしれません。
| 作業 | Claude Code に任せられること |
|---|---|
| 議事録整理 | 会議の文字起こしや走り書きメモを、決定事項・宿題・期限の形式に整形 |
| Excel/CSV 処理 | 複数ファイルの突合・結合、月次データの集計、形式変換 |
| 定型文書の作成 | 依頼文・案内文・報告書のテンプレートからの差し込み作成 |
| ファイル整理 | 共有フォルダ内のファイルを日付・種類ごとに分類、命名規則の統一 |
特に「議事録整理」はおすすめの入口です。元のメモが雑でも、Claude Code は文脈を読んで構造化してくれます。最初の成功体験として手応えを得やすいテーマです。
企画・事務職の「最初の一歩」指示例
meeting_memo.txt は今日の会議の走り書きメモです。
これを次の形式の議事録に整理してください。
・会議の概要(3行以内)
・決定事項(箇条書き)
・宿題事項(担当者と期限がわかるものは明記)
・次回までの確認事項
結果は minutes_0611.md として保存してください。
「出力の形式」を箇条書きで指定するのがコツです。形式を示すほど、手直しの量が減ります。
エンジニア職のユースケース
エンジニアにとっての Claude Code は、本来の主戦場です。コード補完ツールとの違いは、タスク単位で作業を完遂してくれることにあります。
| 作業 | Claude Code に任せられること |
|---|---|
| 実装 | 要件を伝えると、関連コードを読んだうえで複数ファイルにまたがる実装を実行 |
| テスト | 既存コードへのテスト追加、テスト実行と失敗時の自動修正 |
| リファクタリング | 重複コードの整理、命名の統一、構造の改善(テストで挙動を担保しながら) |
| コードレビュー | 変更差分のレビュー、バグの可能性や設計上の懸念の指摘 |
| バグ調査 | エラーログから原因を調査し、再現確認 → 修正 → テストまで一連で実行 |
エンジニアの場合、「書いてもらう」より「回してもらう」という感覚が近いです。テストを実行して、失敗を見て、直して、また実行する──この反復ループごと任せられるのが、チャット型のコーディング支援との決定的な違いです。
エンジニア職の「最初の一歩」指示例
このリポジトリの README とディレクトリ構成を読んで、
プロジェクトの概要・使われている技術・主要なディレクトリの役割を
箇条書きで説明してください。コードの変更はまだしないでください。
最初の一歩として「読ませて説明させる」のは安全で効果的です。Claude Code がコードベースをどれだけ正確に把握できるかを体感してから、実装タスクへ進みましょう。
自分の職種が表にない場合は
人事、経理、カスタマーサポート、士業──ここで挙げなかった職種でも、考え方は同じです。冒頭の3条件(入出力が明確・手順が定型・量が多い)に当てはめて、自分の業務を分解してみてください。
- 人事なら:応募者リストの整理、面接メモの構造化、研修資料のドラフト
- 経理なら:明細データの突合、勘定科目ごとの集計、月次報告の下書き
- サポートなら:問い合わせログの分類・集計、FAQドラフトの作成
どの職種でも「ファイルがあって、決まった処理をして、決まった形で出す」仕事は必ずあります。そこが入口です。
やってみよう
- 自分の職種の表を眺めて、「これは自分もやっている」と思う作業に印を付けてみましょう。1つもなければ、隣の職種の表も見てみてください。
- 「最初の一歩」指示例を自分用に書き換えてみましょう。ファイル名や列名、出力形式を自分の実務に合わせて修正するだけで構いません。
- AIに任せない部分を決めましょう。選んだ作業について、「ここだけは自分が最終確認する」というポイントを1つ書き出してください(例:金額の数値、顧客名、公開前の文面)。
まとめ
- Claude Code に向いているのは「入出力が明確」「手順が定型」「量が多い」のいずれかに当てはまる作業
- 営業はレポート・提案書ドラフト・リスト整理、マーケティングは調査整理・記事ドラフト・データ集計が入口になる
- 企画・事務は議事録整理と Excel/CSV 処理が最も効果を体感しやすい
- エンジニアは実装・テスト・リファクタリング・レビューを「タスク単位で完遂」させられる
- どの職種でも基本は「AIは下書きと処理、人間は判断と仕上げ」という分担
- 最初の指示には「出力形式の指定」と「変更内容の報告」を入れると確認が楽になる
理解度チェック
問1. Claude Code に任せる作業として最も適しているのはどれでしょう?
- A. 重要顧客へ送る謝罪メールの最終判断
- B. 300行の顧客リストの表記ゆれ統一と重複削除
- C. 来期の事業戦略の最終決定
- D. 部下の人事評価の確定
解答を見る
正解:B
B は「入力と出力が明確」「手順が定型」「量が多い」という3条件をすべて満たす典型的な適用例です。A・C・D は人の判断や責任が中心となる仕事であり、AIにはドラフト作成や材料整理までを任せ、最終判断は人間が行うべき領域です。
問2. 指示文を書くときのコツとして、本文の内容に合うものはどれでしょう?
- A. AIが混乱しないよう、出力形式は指定せずに任せる
- B. できるだけ短く「いい感じにやって」と伝える
- C. 出力形式を具体的に指定し、変更内容の報告も求める
- D. 専門用語を多く使うほど精度が上がる
解答を見る
正解:C
出力形式(議事録の項目、表の列、保存ファイル名など)を具体的に示すほど手直しが減り、「何をどれだけ変えたか」を報告させると結果の確認が楽になります。A・B のような曖昧な指示は見当違いの結果につながりやすく、D の専門用語の多さは精度とは関係ありません。