AI Tools 2026年6月11日

7-1 Claude Code で競合調査を自動化する

競合サイトや公開情報の調査を Claude Code に任せ、比較表とレポートに整理させる方法を解説。調査観点の指示の仕方、出典URLを残す重要性、ハルシネーション対策まで、信頼できる調査結果を得るための実践テンプレートを紹介します。

このレッスンでわかること

「競合5社の料金プランを比較したい」「同業他社がどんな発信をしているか把握したい」——新サービスの企画や営業資料の作成で、競合調査は避けて通れない仕事です。手作業でやると、各社のサイトを巡回して、情報をコピーして、表に整理して……と半日仕事になりがちです。

Claude Code は、環境や設定によっては Web 検索や Web ページの取得(WebFetch のような機能)を使って、公開情報を調べることができます。この能力を使えば、調査の「巡回して集めて整理する」部分を任せ、あなたは「判断する」部分に集中できます。

このレッスンで身につくのは次の3点です。

  • 調査観点(価格・機能・ターゲット・発信内容)を指示で明確にする方法
  • 出典URLを必ず残させる習慣と、その理由
  • ハルシネーション(もっともらしい嘘)への対策

特に3つ目は、AIに調査を任せるうえで絶対に外せないポイントです。ここを押さえないまま調査結果を社内資料に使うと、誤った情報で意思決定をしてしまうリスクがあります。

Claude Code が調査でできること

Claude Code は、多くの環境で Web 検索や指定したURLのページ取得ができます(利用できる機能は環境・設定・プランによって変わるため、自分の環境で何が使えるかは最初に確認してください)。これを使うと、次のような調査タスクを任せられます。

タスク
公開情報の収集競合の公式サイトから料金プラン・機能一覧を取得する
比較表への整理集めた情報を会社×観点のマトリクス表にまとめる
発信内容の把握各社のブログ・お知らせページから最近のトピックを要約する
レポート化調査結果を Markdown や Word のレポートにまとめる

注意したいのは、Claude Code は「ログインが必要なページ」や「公開されていない情報」は見られないことです。調べられるのはあくまで公開情報です。また、検索機能が使えない環境では、自分でコピーしたテキストやPDFを渡して整理だけ任せる、という使い方もできます。

調査観点を先に決めるのが、良い調査の9割

競合調査の質は、AIの性能よりも「何を比べたいかが明確か」で決まります。観点が曖昧なまま頼むと、AIなりに集めた雑多な情報が返ってきて、結局自分で整理し直すことになります。

ビジネスの競合調査でよく使う観点は次の4つです。

  • 価格:料金プラン、無料枠の有無、課金単位(月額・従量・席数)
  • 機能:主要機能の有無、対応範囲、連携できるツール
  • ターゲット:想定顧客(個人・中小企業・大企業)、業種、サイト上の訴求対象
  • 発信内容:ブログやお知らせの更新頻度、最近力を入れているテーマ

このすべてを毎回調べる必要はありません。「今回の調査は何を判断するためか」から逆算して、観点を2〜4個に絞るのがコツです。たとえば「自社の価格改定の参考にしたい」なら、価格と無料枠だけ深く調べたほうが、浅く広い調査より役に立ちます。

大原則:出典URLを必ず残させる

調査を頼むときの鉄則は、すべての情報に出典URLを付けさせることです。指示は1行で済みます。

表に書いた情報には、必ず参照元のURLを併記してください。

なぜこれが重要なのでしょうか。理由は2つあります。

1つ目は検証のためです。後述するとおり、AIの調査結果には誤りが混ざることがあります。出典URLがあれば、重要な数字だけ自分でページを開いて確かめられます。出典がなければ、全部を疑うか全部を信じるかの二択になってしまいます。

2つ目は鮮度の管理のためです。料金プランは頻繁に変わります。出典URLと調査日が記録されていれば、3か月後に資料を見返したとき「この情報はいつ・どこから取ったものか」がわかり、再調査の判断ができます。

ハルシネーション対策:AIの調査は「下書き」と考える

AIには、知らないことをもっともらしく埋めてしまうハルシネーションという性質があります。競合調査では特に注意が必要です。「A社のプロ版は月額2,980円」のような具体的な数字は、本物らしく見えるぶん、間違っていたときの被害が大きいからです。

対策は3つあります。

対策1:「わからない場合はわからないと書いて」と明示する。

公式サイトで確認できなかった項目は、推測で埋めず「確認できず」と
記載してください。

この1行があるだけで、AIが空欄を想像で埋める事故を大きく減らせます。

対策2:重要な数字は必ず元情報を自分で確認する。

意思決定に使う数字(価格、契約条件など)は、出典URLを開いて自分の目で確かめてください。AIの調査は「下書きを作ってくれる優秀なアシスタント」であって、最終確認者はあなたです。

対策3:調査日を記録させる。

レポートの冒頭に調査日(今日の日付)を記載してください。

Web の情報は変わります。「2026年6月時点の情報」と明記しておけば、資料を受け取った人も鮮度を判断できます。

Bad例とGood例で見る、競合調査の頼み方

Bad例

うちの競合を調べて比較表にして

問題点は3つです。「競合」が誰を指すか不明であること、比較する観点が指定されていないこと、出典やハルシネーション対策の指示がないことです。これでは、AIが選んだ「競合っぽい会社」の、検証できない情報が並んだ表ができあがります。

Good例

オンライン会議ツールの競合調査をしてください。

【調査対象】
- A社(https://example-a.com)
- B社(https://example-b.com)
- C社(https://example-c.com)

【調査観点】
1. 価格: 料金プランの一覧と月額(無料プランの有無も)
2. 機能: 録画機能・文字起こし機能・カレンダー連携の有無
3. ターゲット: サイト上で誰に向けて訴求しているか(個人/中小/大企業)

【ルール】
- すべての情報に参照元のURLを併記する
- 公式サイトで確認できなかった項目は「確認できず」と書く(推測禁止)
- レポート冒頭に調査日を記載する

【成果物】
- competitor-report.md として保存
- 冒頭に3社×3観点の比較表、その下に各社の詳細メモ

長く見えますが、構造は「調査対象 → 調査観点 → ルール(安全策)→ 成果物」の4部構成で一定です。調査対象のURLを自分で指定しているのもポイントです。会社名だけ伝えるより、公式サイトのURLを渡したほうが、別の会社と取り違えるミスを防げます。

調査→要約→レポート化のテンプレート

このレッスンの内容を、穴埋め式のテンプレートとしてまとめます。

〇〇業界の競合調査をしてください。

【調査対象】
- 会社名(公式サイトのURL)を2〜5社

【調査観点】(2〜4個に絞る)
1. 価格: (知りたい粒度を具体的に)
2. 機能: (比較したい機能を列挙)
3. ターゲット/発信内容: (何を読み取りたいか)

【ルール】
- すべての情報に参照元URLを併記する
- 確認できなかった項目は「確認できず」と書く(推測で埋めない)
- レポート冒頭に調査日を記載する

【成果物】
- ファイル名: 〇〇.md
- 構成: 比較表 → 各社詳細 → 気づき(3点程度)

最後の「気づき」を入れておくと、単なる情報の羅列ではなく「C社だけ無料プランがない」「3社とも最近AI機能を訴求している」といった観察が添えられ、資料としての価値が上がります。ただし気づきはAIの解釈なので、必ず元の表と照らして妥当か確かめてください。

定期的にウォッチしたい場合は、このテンプレートを保存しておき、四半期ごとに同じ指示で再調査させると、前回との差分も追いやすくなります。

やってみよう

演習1(観点の言語化):自分の業界の競合を1社思い浮かべ、「価格・機能・ターゲット・発信内容」の4観点から、今の自分が本当に知りたい観点を2つ選んでください。なぜその2つかを一言で説明できれば合格です。

演習2(小さく調査してみる):よく知っているサービス(自社製品や愛用ツール)1社だけを対象に、Good例の形式で調査を頼んでみましょう。自分が答えを知っている対象だからこそ、AIの調査結果の正確さを採点できます。「確認できず」が正しく使われているかにも注目してください。

演習3(出典チェックの体験):演習2のレポートから数字をひとつ選び、併記された出典URLを実際に開いて照合してください。「AIの下書き → 人間の確認」という流れを一度体験しておくと、実務でも自然にできるようになります。

まとめ

  • Claude Code は環境・設定によっては Web 検索やページ取得で公開情報を調べられる(使える機能は自分の環境で確認する)
  • 調査の質は観点の明確さで決まる。価格・機能・ターゲット・発信内容から2〜4個に絞る
  • すべての情報に出典URLを併記させる。検証と鮮度管理の両方に効く
  • 「わからない場合はわからないと書いて」の1行がハルシネーション対策の基本
  • 意思決定に使う数字は、必ず出典を自分の目で確認する。AIの調査は下書き
  • 「調査対象 → 観点 → ルール → 成果物」のテンプレートを作れば定期調査にも使い回せる

理解度チェック

Q1. Claude Code に競合調査を頼むとき、ハルシネーション対策としてもっとも適切な指示はどれでしょう?

  1. 「できるだけ多くの情報を埋めて、空欄を作らないで」と指示する
  2. 「確認できなかった項目は推測で埋めず『確認できず』と書いて」と指示する
  3. AIは公開情報なら間違えないので、特別な指示は不要
  4. 調査結果を2回出力させて、長いほうを採用する
解答を見る

正解: 2

AIには知らないことをもっともらしく埋めてしまう性質があります。「わからないことはわからないと書く」よう明示すると、推測で空欄が埋まる事故を大きく減らせます。選択肢1は逆効果で、空欄を禁止するとかえって推測を誘発します。

Q2. 調査レポートに出典URLを併記させる理由として、適切でないものはどれでしょう?

  1. 重要な数字を自分で元ページを開いて検証できるようにするため
  2. 情報がいつ・どこから取られたかを後から追えるようにするため
  3. URLを付ければAIの調査結果が自動的に正確になるため
  4. 資料を受け取った人が情報の鮮度や信頼性を判断できるようにするため
解答を見る

正解: 3

出典URLを付けてもAIの結果が自動的に正確になるわけではありません。出典の価値は「人間が検証できる状態にする」ことにあります。1・2・4はいずれも出典を残す正当な理由です。