AI Tools 2026年6月11日

4-3 Claude Code でメール一括作成|宛先ごとに内容をカスタマイズする

宛先リスト(CSV)とベース文面から、会社名や状況を差し込んだ個別メールを一括生成する方法。自動送信させない運用方針、トーン調整、敬語チェック、個人情報の取り扱い注意までを実務目線で解説します。

このレッスンでわかること

「30社にお知らせメールを送りたい。でも全員同じ文面ではそっけないし、1通ずつ書く時間もない」——営業やカスタマーサポートでよくある悩みです。Word の差し込み印刷では「会社名と名前を入れ替えるだけ」が限界ですが、Claude Code なら相手の状況に合わせて文章そのものを書き分けたメールを一括生成できます。

このレッスンでは、次の4つを身につけます。

  • 宛先リスト(CSV)+ベース文面から個別メールを一括生成する手順
  • 「自動送信はさせない」という安全な運用方針とその理由
  • トーン調整と敬語チェックのやり方
  • 顧客リストという個人情報を扱ううえでの注意点

第4章の総仕上げとして、これまでの「ファイルを読む」「一括処理する」「検算する」の組み合わせ技になっています。

大前提:生成までをAIに、送信は人間が

最初に、このレッスンでもっとも大事な方針を伝えます。Claude Code に作らせるのは「文面」まで。送信ボタンは必ず人間が押す、という運用にしてください。

技術的にはメール送信まで自動化することも不可能ではありません。しかし、メールは一度送ったら取り消せません。宛名の取り違え、敬称の誤り、別の会社向けの内容の混入——どれか1つでも起きれば、自動化で浮いた時間など吹き飛ぶ信用問題になります。だからこそ、成果物は「送信済みメール」ではなく、**テキストファイルや CSV などの「下書き」**に留めます。

  • 生成・カスタマイズ・チェック → Claude Code が一括処理
  • 最終確認・送信 → 人間が1通ずつ(または抜き取りで)確認して実行

この役割分担が、このレッスン全体の前提です。

ステップ1:材料を2つ用意する

必要なのは「宛先リスト」と「ベース文面」の2つだけです。

宛先リスト(recipients.csv):差し込みたい情報を列にしておきます。ポイントは、単なる会社名・氏名だけでなく、文章を書き分けるための「状況」列を入れることです。

会社名,担当者名,敬称,状況,前回接点
株式会社山田商事,山田太郎,様,既存顧客・プランA利用中,5月に定例MTG実施
鈴木工業株式会社,鈴木花子,様,半年前に商談したが見送り,12月に提案書送付
ABC株式会社,佐藤一郎,様,展示会で名刺交換のみ,6月の展示会

ベース文面(base-email.txt):全員に伝えたい共通の内容です。差し込み箇所は気にせず、普通の1通のメールとして書いて構いません。

件名: 新サービス「〇〇」リリースのご案内

いつもお世話になっております。△△株式会社の田中です。
このたび、新サービス「〇〇」をリリースいたしました。
(中略:サービス概要、キャンペーン案内)
ご興味をお持ちいただけましたら、オンラインでのご説明の機会を
いただけますと幸いです。

ステップ2:一括生成を指示する

材料が揃ったら、生成を指示します。Bad例と Good例を比べましょう。

Bad例:何をどう書き分けるかが曖昧で、機械的な置換しかされません。

このリストのみんなにこのメールをカスタマイズして

Good例:書き分けのルール、変えてはいけない部分、出力形式まで指定します。

recipients.csv の各宛先に向けて、base-email.txt をもとにした
個別メール文面を一括作成してください。

# 書き分けのルール
- 冒頭のあいさつ: 「状況」「前回接点」列に合わせて1〜2文で個別化する
  例: 既存顧客なら日頃の利用への御礼、商談見送りなら
  「その後いかがでしょうか」という再開のニュアンス、
  名刺交換のみなら展示会の御礼から入る
- 本文の共通部分(サービス概要・キャンペーン): 一字一句変えない
- 結びの提案: 相手の状況に合わせて自然な誘い方に調整してよい

# 制約
- 宛名は「会社名 + 担当者名 + 敬称」を正確に使う。創作・省略禁止
- リストにない情報(相手の業績など)を推測して書かない
- 自動送信はしない。文面の生成のみ

# 成果物
- drafts フォルダに「会社名.txt」として1社1ファイルで保存
- 別途 summary.csv に「会社名・件名・冒頭あいさつの要約」の
  一覧を出力(確認用)

このテンプレートの肝は3つです。

  • 共通部分は「一字一句変えない」:AIは気を利かせて全文を書き直しがちです。料金や日付などの重要情報が勝手に言い換えられるのを防ぎます
  • 「リストにない情報を推測して書かない」:「貴社の躍進ぶりは…」のような、根拠のないお世辞の創作を禁止します。事実でなければ失礼になります
  • 確認用の一覧(summary.csv)を出させる:30通を1通ずつ開かなくても、まず一覧で書き分けの方向性をチェックできます

なお、出力をテキストファイルではなく「メールソフトに取り込める CSV」や「下書きフォルダに入れる .eml ファイル」にしたい場合も、その旨を頼めば対応してくれます。お使いのメールソフトでの取り込み手順は、ソフトごとに異なるので公式サイトのヘルプで確認してください。

ステップ3:トーン調整と敬語チェック

一括生成した文面は、仕上げの一括チェックまで Claude Code に頼めます。

トーン調整:全体の雰囲気をあとから揃えられるのが一括処理の強みです。

drafts フォルダの全メールを見直して、トーンを統一してください。
- 方向性: 丁寧だが堅すぎない。「させていただきます」の連発を避ける
- 売り込み色が強すぎる表現は、情報提供のトーンに和らげる
- 修正した場合は、どのファイルのどこを直したか一覧で報告

敬語・宛名チェック:送信前の最終関門です。チェック観点を具体的に列挙するのがコツです。

drafts フォルダの全メールについて、次の観点でチェックして、
問題のあるファイルと箇所を一覧にしてください(修正はまだしない)。
1. 宛名: recipients.csv と完全一致しているか(会社名の表記揺れ含む)
2. 二重敬語や不自然な敬語(「お伺いさせていただく」等)
3. 「御社/貴社」の使い分け(メールでは「貴社」が一般的)
4. 別の会社名・人名が本文に混入していないか

特に4番の「別の会社名の混入チェック」は必ず入れてください。一括生成でもっとも怖い事故は、A社向けのメールにB社の名前が残ることです。機械的に全ファイルを走査できるのは、人間の目視より AI が得意な領域です。

そのうえで、送信前には最低でも数通は人間が全文を読むこと。全部は無理でも、「既存顧客・見送り・名刺交換のみ」など状況の種類ごとに1通ずつ読めば、書き分けの品質を効率よく確認できます。

個人情報の取り扱いに注意する

顧客リストは個人情報です。Claude Code で扱う際は、次の点に注意してください。

  • 会社のルールを最優先する:顧客情報を社外のAIサービスに入力してよいかは、勤務先のセキュリティポリシーや情報の取り扱い規程によります。必ず事前に確認してください
  • 必要最小限の列だけ渡す:メール文面の作成に電話番号や住所は不要です。リストから不要な個人情報の列を削除したコピーを作ってから渡しましょう(この削除作業自体も Claude Code に頼めます)
  • 生成物の置き場所と削除:drafts フォルダに個人名入りのファイルが大量にできます。送信が終わったら削除する、共有フォルダや個人のクラウド同期フォルダに置かない、といった後始末までをルール化しましょう
  • データの学習利用について:入力したデータがAIの学習に使われるかどうかはプランや設定によって異なります。最新の仕様は公式サイトで確認してください

やってみよう

演習1(一括生成):架空の宛先リスト5件(「状況」列入り)とベース文面を用意し(Claude Code に作らせてもOK)、本文の Good例テンプレートで個別メールを一括生成してみましょう。状況ごとに冒頭が書き分けられているか確認してください。

演習2(チェック):演習1の生成物に対して、敬語・宛名・他社名混入の一括チェックを実行させてみましょう。わざと1ファイルの宛名を書き換えてから実行すると、チェックが機能しているか確かめられます。

演習3(手順書化):前のレッスンで学んだ要領で、この一連の流れを「メール一括作成手順書」としてファイル化し、次回はリストを差し替えるだけで回せる状態にしてみましょう。

まとめ

  • Claude Code に任せるのは文面の生成・チェックまで。送信は必ず人間が行う
  • 材料は「状況列入りの宛先リスト(CSV)」と「ベース文面」の2つ
  • 共通部分は「一字一句変えない」、個別部分は「状況に応じた書き分けルール」を指示する
  • 「リストにない情報を推測して書かない」という制約で、根拠のない創作を防ぐ
  • 敬語チェックと「別の会社名の混入チェック」を一括で実行させ、最後は人間が抜き取りで全文確認する
  • 顧客リストは個人情報。会社のルール確認・不要な列の削除・生成物の後始末まで含めて運用する

理解度チェック

Q1. Claude Code でのメール一括作成において、本レッスンが推奨する役割分担はどれでしょう?

  1. 文面生成から送信まですべて Claude Code に任せる
  2. 文面の生成とチェックは Claude Code、最終確認と送信は人間が行う
  3. 文面はすべて人間が書き、送信だけ Claude Code に任せる
  4. 宛先の選定だけ Claude Code に任せ、文面は手書きする
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正解: 2

メールは送ったら取り消せないため、生成・チェックという「やり直しが効く工程」をAIに任せ、送信という「やり直しが効かない工程」は人間が担うのが安全な分担です。

Q2. 個別メールの一括生成を指示する際の工夫として、適切でないものはどれでしょう?

  1. 宛先リストに「状況」列を設けて、書き分けの材料を渡す
  2. サービス概要などの共通部分は「一字一句変えない」と指示する
  3. 相手の近況をAIに想像で補わせて、親密さを演出する
  4. 確認用に全メールの一覧(サマリー)も出力させる
解答を見る

正解: 3

リストにない情報をAIに推測で書かせると、事実と異なるお世辞や的外れな言及が生まれ、かえって失礼になります。個別化の材料は、あくまでリストに用意した事実(状況・前回接点など)に限定するのが原則です。