4-2 Claude Code で Excel 加工|VLOOKUP・ピボット相当の処理を自動化
VLOOKUPでの突合やピボットテーブルでの集計を、関数を覚えずに日本語の指示だけで実行する方法。複数ファイルの結合、月次処理のスクリプト化による再実行、検算の習慣まで実務目線で解説します。
このレッスンでわかること
「VLOOKUP がうまく動かない」「ピボットテーブルの使い方を毎回検索している」——Excel 作業のつまずきポイントは、だいたいこのあたりに集中しています。Claude Code を使うと、こうした処理を関数を一切覚えずに、日本語の指示だけで実行できます。
このレッスンでは、次の4つを身につけます。
- VLOOKUP 相当の「突合」を日本語で頼む方法
- ピボットテーブル相当の「集計」を日本語で頼む方法
- 複数ファイルの結合と、月次の繰り返し処理を「スクリプト化」して再実行する運用
- AIの集計結果を信頼できるものにする「検算」の習慣
Excel が苦手な人ほど効果を実感しやすい内容です。順番に見ていきましょう。
Claude Code は Excel をどう扱うのか
最初に仕組みを簡単に押さえておきます。Claude Code は Excel アプリを画面上で操作するわけではありません。Excel ファイル(.xlsx)や CSV を読み取り、Python という言語の小さなプログラムをその場で書いて実行することでデータを加工します。
ただし、利用者がプログラムを書く必要も読む必要もありません。私たちがやるのは日本語で指示を出すことと、結果を確認することだけです。「中身は見えないのが不安」という人も心配いりません。後半で説明する「検算」を組み合わせれば、ブラックボックスのまま安全に使えます。
作業を始める前のお約束をひとつ。元ファイルは必ず残し、結果は別ファイルに出力させること。前のレッスンでも触れた「元ファイルは変更しない」という制約は、データ加工では特に重要です。
VLOOKUP 相当:2つの表を突き合わせる
VLOOKUP がやっていることは、要するに「ある表のキー(顧客コードなど)を手がかりに、別の表から情報を引いてくる」作業です。これをそのまま日本語にすれば、指示は完成します。
Bad例:何と何を、どの列でつなぐのかが分かりません。
このファイル、VLOOKUPみたいなことやって
Good例:2つのファイル、つなぐキー、持ってくる列、見つからない場合の扱いまで指定します。
sales_2026-05.xlsx(売上明細)と customers.xlsx(顧客マスタ)を
突き合わせてください。
- つなぐキー: 両ファイルの「顧客コード」列
- やりたいこと: 売上明細の各行に、顧客マスタから
「顧客名」「担当者」「地域」の3列を追加する
- マスタに存在しない顧客コードがあった場合: その行は削除せず、
追加列を「マスタ未登録」と表示し、該当件数を最後に報告する
- 成果物: sales_with_customer.xlsx として保存(元ファイルは変更しない)
注目してほしいのは「マスタに存在しない場合」の指定です。VLOOKUP で誰もが悩む「#N/A エラー」にあたる部分ですが、日本語なら「どう扱ってほしいか」を先に決めておけます。ここを指定する習慣がつくと、突合作業の事故が激減します。
テンプレート:
〇〇.xlsx と △△.xlsx を突き合わせてください。
- つなぐキー: 「□□」列
- やりたいこと: (どちらの表に、どの列を追加するか)
- キーが見つからない場合: (行を残す/除外する、表示方法、件数報告)
- 成果物: 別ファイルとして保存。元ファイルは変更しない
ピボットテーブル相当:軸を決めて集計する
ピボットテーブルの本質は「何を行に、何を列に、何を集計するか」の3点を決めることです。これも日本語で指定できます。
Good例:
sales_with_customer.xlsx を集計してください。
- 行: 地域
- 列: 月(注文日の列から年月を取り出して使う)
- 集計する値: 売上金額の合計(千円単位、カンマ区切り)
- 追加で: 各地域の合計列と、全体の合計行もつける
- 成果物: pivot_region_month.xlsx として保存
「行・列・値」の3点セットさえ伝われば、クロス集計表が出来上がります。さらに、ピボットテーブルでは一手間かかる加工も、続けて日本語で頼めます。
同じデータで、地域ごとに「売上上位3社の顧客名と金額」も
一覧にしてください。シートを分けて同じファイルに追加してください。
テンプレート:
〇〇を集計してください。
- 行: △△ / 列: □□
- 集計する値: ◇◇の合計(または平均・件数)
- 追加で: 合計行・構成比・並び順などの希望
- 成果物: (ファイル名)として保存
複数ファイルの結合:12ヶ月分を1つにする
「月別に分かれた12個のファイルを1つにまとめたい」も定番の依頼です。手作業のコピペでは事故が起きやすい作業ですが、Claude Code なら一度の指示で済みます。
data フォルダにある sales_2025-04.xlsx 〜 sales_2026-03.xlsx の
12ファイルを1つに結合してください。
- 前提: 全ファイル同じ列構成のはず。もし列名が違うファイルが
あったら、結合せずにまずファイル名と差分を報告してください
- 追加で: どのファイル由来か分かるように「元ファイル名」列を追加
- 成果物: sales_fy2025_all.xlsx として保存
- 検算: 結合後の行数が、12ファイルの行数合計と一致するか確認して報告
ここでのポイントは「もし〇〇だったら、作業を止めて報告して」という条件分岐を入れていることです。現実のファイルは、ある月だけ列が増えていたり、列名の表記が揺れていたりするもの。先回りして「異常があれば止まる」よう指示しておくと、おかしなデータが静かに混入する事故を防げます。
月次処理の「スクリプト化」:一度作ったら毎月再実行する
ここからが、このレッスンでいちばん価値のある話です。毎月同じ加工(突合→集計→整形)をするなら、毎月 Claude Code と対話するより、処理をスクリプト(プログラムファイル)として保存し、毎月それを再実行する運用が向いています。
前のレッスンの「手順書ファイル」がプロンプトの再利用だったのに対し、こちらは処理そのものの再利用です。やり方は簡単で、一連の加工がうまくいったあとにこう頼むだけです。
いま実行した一連の処理(顧客マスタとの突合 → 地域×月の集計 →
Excel出力)を、来月以降も使い回せるように monthly_report.py という
スクリプトにまとめてください。
- 対象月のファイル名(例: sales_2026-06.xlsx)は実行時に
指定できるようにする
- 処理の最後に、行数と合計金額の検算結果を画面に表示する
- 実行方法を README ではなく、スクリプト冒頭のコメントに
日本語で書いておく
翌月からは、Claude Code にこう頼むだけになります。
monthly_report.py を 6月のファイル sales_2026-06.xlsx に対して
実行してください。
スクリプト化には、対話のたびに結果が微妙に変わる余地がなくなり、毎月まったく同じ手順が保証されるという大きな利点があります。さらに数秒で終わるので、月初の作業が「実行して、検算結果を確認するだけ」になります。修正したいことが出てきたら、「スクリプトの集計に『前年同月比』の列を追加して」と日本語で頼めば、Claude Code がスクリプトを書き換えてくれます。
使い分けの目安はこうです。
| 方法 | 向いている場面 |
|---|---|
| その場の対話 | 一度きりの加工、試行錯誤しながらの分析 |
| 手順書ファイル(前レッスン) | 文章中心の成果物で、毎回少し判断が入る仕事 |
| スクリプト化 | 数値加工が中心で、毎月完全に同じ手順の仕事 |
検算を習慣にする:信頼できる自動化の条件
データ加工で Claude Code を使うなら、検算の指示をセットにする習慣をつけてください。おすすめは次の3点セットです。
いまの集計結果について、次の3つを検算して報告してください。
1. 行数チェック: 加工前後で行数が想定どおりか(増減があれば理由を説明)
2. 合計チェック: 売上金額の総合計が、加工前後で一致するか
3. 抜き打ちチェック: ランダムに3行選び、元ファイルの値と
突合結果が一致しているか表示する
「合計が合っていれば途中も合っている」とは限りませんが、行数・合計・抜き打ちの3点が揃って合っていれば、大きな事故はほぼ検出できます。また、最終的に人へ提出する数字は、1ヶ所でよいので Excel を開いて自分の目でも確認しましょう。AIに任せる範囲が広がるほど、この「最後のひと目」の価値が上がります。
やってみよう
演習1(突合):手元の2つの表(なければ「売上明細と顧客マスタのサンプルを各20行作って」と Claude Code に作らせてください)を、本文のテンプレートを使って突合してみましょう。わざとマスタにないコードを混ぜて、「マスタ未登録」の扱いが指示どおりになるか確認してください。
演習2(集計と検算):演習1の結果を「行=担当者、値=売上合計」で集計し、3点セットの検算まで実行させてみましょう。
演習3(スクリプト化):演習1〜2の処理をスクリプトにまとめてもらい、入力ファイル名を変えて再実行してみましょう。同じ結果が一瞬で出ることを体感するのが目的です。
まとめ
- Claude Code は Excel/CSV を読み、プログラムを自動生成して加工する。利用者は日本語の指示と結果確認だけでよい
- VLOOKUP 相当は「つなぐキー・追加する列・見つからない場合の扱い」の3点を指定する
- ピボット相当は「行・列・集計する値」の3点セットで伝わる
- 複数ファイルの結合では「異常があれば止めて報告」という条件を先に入れておく
- 毎月同じ加工はスクリプト化し、翌月からは「実行して」と頼むだけの運用にする
- 検算は「行数・合計・抜き打ち3行」の3点セット+提出前の自分の目視を習慣にする
理解度チェック
Q1. VLOOKUP 相当の突合を Claude Code に頼むとき、指示に含めるべき要素として優先度がもっとも低いものはどれでしょう?
- 2つの表をつなぐキーとなる列
- キーが見つからなかった行の扱い
- 結果を保存するファイル名(元ファイルとは別)
- Excel のどのバージョンの VLOOKUP 構文を使うか
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正解: 4
Claude Code は Excel 関数ではなくプログラムでデータを処理するため、関数の構文を指定する必要はありません。一方、キー・見つからない場合の扱い・別ファイルへの保存は、突合の品質と安全性を左右する重要な指定です。
Q2. 毎月まったく同じ手順で行うデータ集計を、もっとも安定して運用できる方法はどれでしょう?
- 毎月その場で対話しながら指示を出す
- 処理をスクリプトとして保存し、毎月そのスクリプトを再実行する
- 先月の出力ファイルの数字を手作業で書き換える
- 毎月別のAIツールで結果を作り、見比べる
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正解: 2
数値加工が中心で手順が完全に固定された仕事は、スクリプト化がもっとも安定します。対話には毎回結果が揺れる余地がありますが、スクリプトの再実行なら同じ手順が保証され、実行時間も数秒で済みます。