6-1 よく使う指示を保存する|スラッシュコマンド入門
毎回同じ指示を書き直す手間をなくす方法。Claude Code に自分専用のコマンドを登録し、/週報 のように短く呼び出せるようにします。非エンジニア向けにファイルの作り方から解説します。
このレッスンでわかること
第5章では「指示の質を上げる方法」を学びました。この章では一歩進めて、その指示を毎回書かなくて済むようにします。
- 同じ指示を何度も書いている状態から抜け出せる
- 自分専用のコマンド(
/週報など)を作れる - チームで指示を共有する方法がわかる
なぜ必要か:あなたはもう同じ指示を何度も書いている
ここまでのレッスンを進めてきた方は、こんな経験があるはずです。
- 4-1 の営業レポートを、毎月同じ指示文を打ち直して作っている
- 3-3 のデータ整理を、ファイルが届くたびに同じ手順で頼んでいる
- 「元ファイルは変更しないで」「作業前に件数を教えて」を毎回書いている
**指示が良くなるほど、指示は長くなります。**そして長い指示ほど、毎回書き直すのが面倒になる。ここで多くの人が「面倒だから短く雑に書く」方向へ戻ってしまい、せっかく学んだ精度が落ちます。
スラッシュコマンドは、この問題を解決する仕組みです。長い指示を1回だけ書いてファイルに保存し、以降は短い名前で呼び出せます。
CLAUDE.md との違い
5-1 で学んだ CLAUDE.md と混同しやすいので、先に整理します。
| CLAUDE.md | スラッシュコマンド | |
|---|---|---|
| いつ読まれるか | 毎回、自動で | 呼び出したときだけ |
| 何を書くか | いつも守ってほしいルール | 特定の作業の手順 |
| 例 | 「金額は必ず税込で書く」 | 「週報を作る手順一式」 |
「常に効かせたいこと」は CLAUDE.md、「必要なときだけ呼び出したいこと」はスラッシュコマンドと覚えてください。両方を組み合わせると、指示がぐっと短くなります。
作ってみる:週報コマンド
実際に作ります。やることは「決まった場所にファイルを1つ置く」だけです。
ステップ1:置き場所を作る
作業フォルダの中に .claude というフォルダを作り、その中に commands フォルダを作ります。
対話画面に入力してしまうのが早道です。
このフォルダに .claude/commands というフォルダを作ってください。
先頭のドットについて。
.claudeのようにドットで始まるフォルダは、Finder やエクスプローラーでは初期状態だと見えません。「作ったのに見当たらない」と焦らないでください。Claude Code からは普通に見えています。
ステップ2:コマンドの中身を書く
weekly-report.md というファイルを作ります。ファイル名がそのままコマンド名になります。
対話画面に入力します。
.claude/commands/weekly-report.md を作ってください。中身は次のとおりです。
---
description: 今週の営業週報を作る
---
sales.csv を読んで、今週分の営業週報を作ってください。
【手順】
1. 元ファイルは変更せず、読み取りだけにする
2. 集計する前に、対象データの件数を教える
3. 商品別・担当者別の売上を集計する
4. 前週と比べて増減が大きい項目を3つ挙げる
【成果物】
- report-今週の日付.md として保存
- 集計値は本文にも数字で書く(グラフだけにしない)
【注意】
- 数字が合わない箇所があれば、勝手に補わず質問する
上の --- で囲まれた description は、コマンド一覧に表示される説明文です。書いておくと後で自分が助かります。
ステップ3:使ってみる
Claude Code を一度終了して起動し直します(新しいコマンドを読み込ませるため)。そして対話画面にこう入力します。
/weekly-report
さきほど書いた長い指示が、そのまま実行されます。これだけです。
うまくいかないときは /help でコマンド一覧を表示し、weekly-report が載っているか確認してください。
引数を渡して使い回す
もう一歩進めます。「先月分を作りたい」「別のファイルで作りたい」というとき、コマンドを作り直すのは面倒です。呼び出すときに値を渡せます。
コマンドのファイルの中で $ARGUMENTS と書くと、そこに入力した文字が入ります。
.claude/commands/weekly-report.md を修正してください。
「sales.csv を読んで」の部分を「$ARGUMENTS で指定されたファイルを読んで」に変えてください。
これで使い方が変わります。
/weekly-report sales-2026-08.csv
1つのコマンドを、対象を変えながら何度でも使えるようになりました。
どこに置くかで共有範囲が変わる
置き場所によって、誰が使えるかが決まります。
| 置き場所 | 使える範囲 |
|---|---|
作業フォルダ/.claude/commands/ | そのフォルダで作業する全員。チームで共有される |
ホームフォルダ/.claude/commands/ | 自分だけ。どのフォルダで作業しても使える |
「経理フォルダ専用の締め処理コマンド」は前者、「自分がいつも使う議事録整形コマンド」は後者、という使い分けになります。
チーム共有については 11-2 で改めて扱います。
よくあるつまずきと対処法
コマンドが一覧に出てこない
3つ確認してください。
- Claude Code を再起動したか — 起動中に追加したコマンドは読み込まれません
- 場所は合っているか —
.claude/commands/の直下にあるか。対話画面で「.claude/commands の中身を見せて」と頼めば確認できます - 拡張子は
.mdか —.txtでは認識されません
作ったはずのフォルダが見当たらない
.claude はドットで始まるため、Finder やエクスプローラーでは初期状態で非表示です。存在しないわけではありません。対話画面で「.claude フォルダの中身を見せて」と頼めば確認できます。
実行したら想定と違うことをした
コマンドの中身は「毎回そのまま実行される指示文」です。**曖昧な部分があれば、毎回ぶれます。**5-2 で学んだ5大原則をそのまま適用して、コマンドのファイルを書き直してください。
うまく動いたコマンドは、そのまま資産になります。育てる価値があります。
やってみよう
- 棚卸し:ここまでのレッスンで自分が書いた指示のうち、「2回以上似た内容を書いた」ものを1つ選びましょう
- コマンド化:それを
.claude/commands/にファイルとして保存し、実際に呼び出して同じ結果になるか確認してください - 引数化:対象ファイル名を
$ARGUMENTSに置き換え、別のファイルでも動くことを確認しましょう - 説明を書く:
descriptionを書き、/helpの一覧に自分のコマンドが説明つきで並ぶことを確認してください
まとめ
- 良い指示ほど長くなる。長い指示を毎回書き直さないための仕組みがスラッシュコマンド
- 実体は
.claude/commands/に置いた.mdファイル1つ。ファイル名がコマンド名になる - CLAUDE.md は「常に効くルール」、スラッシュコマンドは「呼び出したときだけ動く手順」
$ARGUMENTSを使うと、対象を変えながら使い回せる- 作業フォルダに置けばチーム共有、ホームフォルダに置けば自分専用
- 追加したら Claude Code を再起動する
理解度チェック
Q1. CLAUDE.md とスラッシュコマンドの使い分けとして、最も適切なものはどれでしょう?
- CLAUDE.md は無料プラン用、スラッシュコマンドは有料プラン用
- CLAUDE.md は毎回自動で読まれるルール、スラッシュコマンドは呼び出したときだけ動く手順
- CLAUDE.md は個人用、スラッシュコマンドはチーム用
- どちらも同じ機能で、書き方が違うだけ
答えを見る
正解:2
CLAUDE.md はセッション開始時に自動で読み込まれ、その作業中ずっと効き続けます。スラッシュコマンドは /名前 で呼び出したときだけ実行されます。「金額は税込で書く」のような常時のルールは CLAUDE.md、「週報を作る手順一式」のような特定作業はスラッシュコマンドが向いています。共有範囲はどちらも置き場所で決まるため、3 は誤りです。
Q2. スラッシュコマンドを追加したのに /help の一覧に出てきません。まず確認すべきことはどれでしょう?
- 有料プランの契約状況
- インターネット接続
- Claude Code を再起動したか、
.claude/commands/に.mdとして置いたか - パソコンの空き容量
答えを見る
正解:3
起動中に追加したコマンドは読み込まれないため、再起動が必要です。あわせて、置き場所が .claude/commands/ の直下であること、拡張子が .md であることを確認してください。この3つでほとんどの原因が解消します。