AI Tools 2026年4月18日 (更新: 2026年8月28日)

Claude プロンプトキャッシング実践ガイド:5分 vs 1時間・コスト計算・Extended Thinkingとの組み合わせ

Claude APIのプロンプトキャッシングを実践的に解説。デフォルト5分と1時間TTLの使い分け、コスト計算式、モデル別の最小キャッシュトークン数、キャッシュヒット率を上げる設計パターンを網羅。

難易度基本的な操作を一度試したことがある前提です種別アップデート解説

TL;DR

  • デフォルトのTTLは5分です。1時間キャッシュを使うには cache_control"ttl": "1h" を明示します
  • 書き込みコストはTTLで変わります。5分は 1.25倍、1時間は 2.0倍。読み取りはどちらも 0.1倍(90%割引)
  • モデルごとに最小キャッシュ可能トークン数があり、これを下回るとエラーなく無視されます
  • ブレークポイントは1リクエストあたり最大4個

概要

Claudeのプロンプトキャッシングは、システムプロンプト・ツール定義・固定ドキュメントなどの「変わらない部分」をキャッシュし、繰り返し送信するコストを削減する機能です。

キャッシュはプレフィックス一致で動きます。toolssystemmessages の順にレンダリングされた先頭部分が前回と1バイトでも違えば、それ以降のキャッシュはすべて無効になります。


5分 vs 1時間の使い分け

TTLを指定しない場合は5分です。1時間キャッシュは書き込みコストが1.6倍になるため、「5分では足りない」と分かっている場合にだけ使います。

TTL指定方法コスト(書き込み)コスト(読み取り)向いているケース
5分(既定){"type": "ephemeral"}基本価格 × 1.25基本価格 × 0.1短時間の繰り返しリクエスト・チャットアプリ
1時間{"type": "ephemeral", "ttl": "1h"}基本価格 × 2.0基本価格 × 0.1長時間エージェント・夜間バッチ・Routines

1時間キャッシュが有利な条件:

  • エージェントのサブタスクが5分以上かかる
  • ユーザー応答に5分以上かかりうる長い会話
  • 拡張思考を伴うセッションが5分を超える

1時間TTLはClaude API・Amazon Bedrock・Google Cloud・Microsoft Foundryで利用できます。betaヘッダーは不要です。


モデル別の最小キャッシュ可能トークン数

キャッシュには下限があります。下限を下回るプレフィックスは cache_control を付けてもキャッシュされず、エラーも返りません。 「効いているつもりで効いていない」典型パターンなので、短いシステムプロンプトを扱うときは先に確認してください。

最小トークン数対象モデル
512Claude Opus 5 / Fable 5
1,024Claude Opus 4.8 / Sonnet 5 / Sonnet 4.6
2,048Claude Opus 4.7
4,096Claude Opus 4.6 / Haiku 4.5

コスト計算

例:100万トークンのシステムプロンプトを100回リクエスト

Claude Opus 5(入力 $5.00/MTok)の場合です。

キャッシュなし:

100万トークン × $5.00/MTok × 100回 = $500

5分キャッシュあり(既定):

書き込み: 100万トークン × $5.00 × 1.25 = $6.25(初回のみ)
読み取り: 100万トークン × $5.00 × 0.1 × 99回 = $49.5
合計: $55.75(89%削減)

1時間キャッシュあり:

書き込み: 100万トークン × $5.00 × 2.0 = $10(初回のみ)
読み取り: 100万トークン × $5.00 × 0.1 × 99回 = $49.5
合計: $59.5(88%削減)

5分キャッシュで足りるなら、書き込み差額のぶんだけ5分のほうが安くなります。1時間TTLは「5分でキャッシュが切れて書き直しが発生する」場合にだけ元が取れます。


基本的な使い方

import anthropic

client = anthropic.Anthropic()

response = client.messages.create(
    model="claude-opus-5",
    max_tokens=1024,
    system=[
        {
            "type": "text",
            "text": "あなたは優秀なソフトウェアエンジニアアシスタントです。"
                    "以下のコードベース全体を参照して質問に答えてください:\n\n"
                    + large_codebase_content,
            # ttl を省略するとデフォルトの5分キャッシュになる
            "cache_control": {"type": "ephemeral"},
        }
    ],
    messages=[{"role": "user", "content": "このバグを修正する方法を教えてください"}]
)

# キャッシュヒット状況を確認
print(response.usage.cache_creation_input_tokens)  # 初回: キャッシュ書き込みトークン数
print(response.usage.cache_read_input_tokens)       # 2回目以降: キャッシュ読み取りトークン数

1時間キャッシュにする場合は ttl を明示します。

"cache_control": {"type": "ephemeral", "ttl": "1h"}

トップレベル指定による自動キャッシュ

ブレークポイントの位置を細かく制御する必要がなければ、リクエストのトップレベルに cache_control を置くだけで、キャッシュ可能な最後のブロックに自動で適用されます。会話が伸びるとブレークポイントも自動で前進します。

response = client.messages.create(
    model="claude-opus-5",
    max_tokens=1024,
    cache_control={"type": "ephemeral"},  # 最後のキャッシュ可能ブロックに自動適用
    system=large_document_text,
    messages=[{"role": "user", "content": "要点をまとめてください"}],
)

キャッシュヒット率を上げる設計パターン

原則:固定部分を先頭・可変部分を末尾

# ❌ キャッシュが効かない設計(ユーザー入力が先頭)
system = f"ユーザー名: {user_name}\n\n{large_static_content}"

# ✅ キャッシュが効く設計(固定部分を先頭)
system = [
    {
        "type": "text",
        "text": large_static_content,          # キャッシュ対象
        "cache_control": {"type": "ephemeral"}
    },
    {
        "type": "text",
        "text": f"ユーザー名: {user_name}"     # 可変部分は後ろ(キャッシュ対象外)
    }
]

ツール定義もキャッシュに含める

# 多数のツール定義がある場合はキャッシュが特に効果的
tools = [
    # ... 大量のツール定義 ...
]

# toolsにもcache_controlを適用(最後のツールに付ける)
tools[-1]["cache_control"] = {"type": "ephemeral"}

ブレークポイントは1リクエストあたり最大4個までです。

キャッシュが効かないときの確認点

cache_read_input_tokens が何度リクエストしても0のままなら、プレフィックスを壊している箇所があります。よくある原因は次のとおりです。

  • システムプロンプトに現在時刻やリクエストIDを埋め込んでいる
  • ツール定義のJSONキー順序がリクエストごとに変わる
  • 呼び出しごとにツールの数や並びが変わる
  • プレフィックスがモデルの最小トークン数に届いていない

拡張思考との組み合わせ

思考ブロック(thinkingブロック)もキャッシュの対象になります。長時間エージェントセッションで同じコンテキストを継続して使う場合に効果的です。

Opus 4.6世代以降では思考量の指定方法が変わり、budget_tokens ではなく output_config.effort で制御します(Opus 5 / Sonnet 5 / Fable 5 では budget_tokens は400エラーになります)。

response = client.messages.create(
    model="claude-opus-5",
    max_tokens=16000,
    thinking={"type": "adaptive"},
    output_config={"effort": "high"},  # low / medium / high / xhigh / max
    system=[
        {
            "type": "text",
            "text": large_system_prompt,
            "cache_control": {"type": "ephemeral", "ttl": "1h"},
        }
    ],
    messages=conversation_history,  # 思考ブロックを含む会話履歴もキャッシュされる
)

会話の途中で effort を変えるとメッセージ側のキャッシュは無効になります。キャッシュはモデル単位で分かれるため、途中でモデルを切り替えた場合も同様です。


参考リンク