Gemini / Google Workspace

Gemini Notebook に Expert Intelligence。購入済み Google Play Books の電子書籍10万冊超をソースにでき、共有相手も購入が必要

Google が 2026-09-17、Expert Intelligence を発表した。Google 横断の取り組みで Gemini Notebook から開始し、主要出版社の10万冊超の書籍を通じて著者・刊行物・領域専門家の知見を Gemini Notebook へ取り込めるようにする。ユーザーが Google Play Books で購入した対応電子書籍をそのまま Gemini Notebook のソースとして追加でき、質問するとその本文に直接グラウンディングされた回答が返る。Infographics、Audio Overviews、Quizzes などの生成にも使える。米国の18歳以上には書籍1冊が無償提供される(数量限定)。著者の専門知識を自分の資料と組み合わせられる点が公式の推す使い方で、学生はシラバスと講義ノートに購入書籍を併せて試験対策に使い、マネージャーはマネジメント書を参照させながらフィードバックの進め方をブレインストーミングする例が挙げられている。共有ノートブック内の電子書籍に質問したり成果物を作ったりするには、受け手側も対象の Play Books 電子書籍を購入している必要がある。管理者は Gemini Notebook / Google Play / Google Books の3つが ON の OU に対象ユーザーを置く必要があり、Education Plus または Teaching & Learning アドオンを持つ組織は Buy for Groups で書籍を購入して Play アクセスを個別付与せずに学生へ配布できる。

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要約

Google は 2026-09-17、Expert Intelligence を発表しました。公式の説明では「信頼できる情報源と、Google の AI プロダクトを通じて向き合えるようにする Google 横断の取り組み」であり、Gemini Notebook から開始します。

規模は「主要出版社の10万冊超の書籍」。従業員や学生が、主要な著者、刊行物、領域専門家の知見を Gemini Notebook へ直接取り込めるようになります。

具体的な仕組みはシンプルです。ユーザーが Google Play Books で購入した対応電子書籍を、そのまま Gemini Notebook のソースとして追加できます。 書籍について質問すると、その本文に直接グラウンディングされた回答が返ります。読み方を変える用途として、Infographics、Audio Overviews、Quizzes などの生成も挙げられています。

米国の18歳以上には、書籍1冊が無償提供されます(数量限定)。

公式が推している使い方は「著者の専門知識を、自分の資料と組み合わせる」ことです。 2つの例が挙げられています。

  • 学生: 授業のシラバスと講義ノートを、購入した書籍と並べてアップロードし、Audio Overview と練習問題を生成して期末試験に備える
  • マネージャー: マネジメントのベストプラクティスに関する書籍を参照させながら、部下へのフィードバックの与え方や難しい会話の進め方をブレインストーミングする

この発表で見落としてはいけない制約が1つあります。

「共有ノートブック内の電子書籍とやり取りする——質問する、成果物を作る——には、受け手側も対象の Play Books 電子書籍を購入している必要がある」

つまり、書籍を根拠にした成果物は、購入者どうしの間でしか共有できません。

管理者側の条件は3つの設定です。 エンドユーザーが使うには、Gemini Notebook、Google Play、Google Books の3つが ON の OU に属している必要があります。

教育機関向けには抜け道が用意されています。 Google Workspace for Education Plus または Teaching & Learning アドオンを持つ組織は、Buy for Groups で書籍を購入して学生へ割り当てられ、学生個人に Play アクセスを付与する必要がありません。

エンドユーザー側の設定はありません。書籍が対象かどうかは Google Play Books で確認でき、対象なら書籍の詳細ページの「Tools」バッジに Gemini Notebook が表示されます。ロールアウトは Rapid / Scheduled Release とも提供開始済みです。

何が変わったか

  • Expert Intelligence が Gemini Notebook から提供開始(Google 横断の取り組みの第1弾)
  • 主要出版社の10万冊超の書籍が対象
  • Google Play Books で購入した対応電子書籍を、Gemini Notebook のソースとして追加できる
  • 回答が書籍の本文に直接グラウンディングされる
  • Infographics / Audio Overviews / Quizzes の生成に書籍を使える
  • 米国の18歳以上へ書籍1冊を無償提供(数量限定)
  • 共有ノートブックでは、受け手側も対象の電子書籍を購入している必要がある
  • 管理者条件: Gemini Notebook / Google Play / Google Books の3つが ON の OU
  • Education Plus / Teaching & Learning アドオンを持つ組織は Buy for Groups で一括購入・割り当て可能(学生への Play アクセス付与が不要)
  • エンドユーザー設定なし。対象書籍は Play Books の「Tools」バッジで確認
  • ロールアウト: Rapid / Scheduled Release とも提供開始済み

業務インパクト(一般企業向け)

この機能の本質は、AI の回答の根拠を「Web 全体の平均」から「自分が選んだ書籍」へ移せることです。

通常の生成 AI の回答は、どこから来たのか特定できません。Expert Intelligence では、「この本に基づいて答えて」と指定できます。 出典が明確で、しかも出版社の編集を通った内容である点が、Web 情報との違いです。

業務利用で効くのは、社内に正解がない領域です。 マネジメント、評価面談、交渉、法務の基礎——こうした領域は、社内文書に答えが書いてありません。 書籍を根拠にできるなら、「なぜそう判断したか」の説明がしやすくなります。

一方で、制約が重いことも直視すべきです。

最大の制約は共有です。 共有ノートブック内の書籍に質問したり成果物を作ったりするには、受け手も同じ電子書籍を購入している必要があります。 これは著作権上は当然の設計ですが、業務上は「書籍を根拠にした成果物を、そのまま社内へ配れない」ことを意味します。

つまり、この機能は「個人の思考を助けるツール」であって、「チームの共有ナレッジを作るツール」ではありません。 社内マニュアルや研修教材の作成基盤として設計すると、共有の段階で詰まります。

組織として使うなら、購入の扱いを先に決める必要があります。 従業員が業務で使う書籍を経費で買うのか、個人負担なのか。同じ書籍を複数人が使うなら、人数分の購入が要ります。 「1冊買って部署で回し読み」という従来の運用は、この機能では成立しません。

教育機関向けの Buy for Groups は、この課題への公式の回答です。 Education Plus か Teaching & Learning アドオンがあれば、組織が書籍を購入して学生へ割り当てられ、学生個人に Play アクセスを付与する必要がありません。 一般企業向けの同等機能は、今回の告知には含まれていません。 ここは差が大きいので、企業で本格利用を検討する場合は購入・配布の方法を確認する価値があります。

管理者の作業としては、3つの設定(Gemini Notebook / Google Play / Google Books)が ON かどうかの確認です。 Google Play を組織的に OFF にしている企業は少なくありません。 その場合、この機能は自動的に使えない状態になっています。「Notebooks は使えるのに書籍が追加できない」という問い合わせが来たら、ここを見ます。

副業・個人活用視点

個人にとって、これは「買った本を、読む以外の形で使える」ようになる機能です。

最も実用的なのは、専門書の消化です。 500ページの技術書や経営書を通読する時間はなくても、Audio Overview で全体像を掴み、Quizzes で理解を確認し、必要な章だけ精読するという進め方ができます。買ったまま積んである本の消化率が上がるというのは、地味ですが効きます。

教える仕事をしている人には、根拠の質が上がるという価値があります。 研修で「一般的にはこう言われています」と話すのと、「この本ではこう説明されています」と出典を示すのとでは、受講者の受け取り方が違います。 自分の研修設計書と専門書を同じノートブックへ入れて、書籍の枠組みに沿った演習を作るという使い方は素直に有効です。

ただし、教材そのものを配布する用途には使えません。 共有ノートブックで書籍を扱うには受け手も購入が必要なので、受講者に「このノートブックを見てください」と渡す形は成立しません。 書籍を根拠に自分が作った説明を配るのは問題ありませんが、ノートブックごと渡すことはできない、という線引きを理解しておく必要があります。

コンサル・受託の場面では、提案の根拠付けに使えます。 クライアントへの提案で、業界の標準的な考え方を書籍から引いて示すのは、自社の経験談だけで語るより説得力があります。「どの本に基づくか」を明示できるため、クライアント側が後から検証もできます。

費用面では、書籍代が実質的な利用コストになります。 1冊数千円として、業務で常用する書籍を10冊揃えれば数万円。サブスクリプション費用とは別に、知識ソースへの投資が発生するという構造は、これまでの AI ツールにはなかったものです。AI の月額費用だけで予算を組んでいると、ここが抜けます。

同日に Notebooks in Gemini の組織向け提供拡大も発表されています。 そちらは既定 ON で組織へ降ってくる機能、こちらは書籍の購入が前提の機能です。両方を合わせて「ノートブックに何を入れるか」を設計するのが、この週の実務的な作業になります。

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