Claude Code vs Codex CLI:エージェント型CLIの選び分けと併用パターン
Anthropic の Claude Code と OpenAI の Codex CLI を、モデル / 権限モデル / 料金 / 拡張性の4軸で比較。どちらを主軸にし、どんな課題で他方を併用するかの判断基準をまとめました。
TL;DR
- どちらも CLI ベースの自律エージェントで、ターミナルからタスクを丸ごと委譲する用途に向く
- 違いは「拡張性とエコシステム」で Claude Code が一歩リード、「長時間タスクと推論深度」で Codex CLI が強い
- 日本語ドキュメントの整備度・サブエージェント / Hooks / Skills のような拡張機能の厚みを取るなら Claude Code
- 数百万トークン規模の長時間ジョブやセキュリティ深掘りを取るなら Codex CLI
- 実務では「普段は Claude Code、特定の難所だけ Codex CLI」のような併用が現実解
執筆時点(2026年5月)の情報です。両ツールともリリース頻度が高いため、価格・モデル名はAnthropic / OpenAI Codex の公式情報も併せて確認してください。
立ち位置の比較
| 観点 | Claude Code | Codex CLI |
|---|---|---|
| 開発元 | Anthropic | OpenAI |
| 形態 | CLI / IDE 拡張 / Web / デスクトップ | CLI 中心(クラウドサンドボックス連携あり) |
| 課金体系 | Claude Pro / Max または API 従量 | ChatGPT Plus / Pro または API 従量 |
| 公式ドキュメント | 日本語あり | 英語中心(GitHub README) |
| 拡張機構 | サブエージェント / Hooks / Skills / MCP | スラッシュコマンド系(/review 等) |
両者とも「タスクを言葉で渡し、エージェントループで完了まで持っていく」基本動作は共通です。違いは外側のエコシステムと内側のモデル設計思想にあります。
モデルの違い
Claude Code
3 段のラインナップから /model で随時切り替えます。
| モデル | 位置づけ | 主な用途 |
|---|---|---|
| Opus 4.6 | 最高性能 | アーキ設計、難しいバグ調査、原因が見えない問題 |
| Sonnet 4.6 | デフォルト | 通常実装、レビュー、テスト生成 |
| Haiku 4.5 | 高速・低コスト | コードベース検索、簡単な質問、サブエージェントのデフォルト |
「最初は Opus、コストが気になり始めたら Sonnet、機械的作業は Haiku」という3段運用で、実務上ほとんどのケースを賄えます。
Codex CLI
OpenAI の GPT-5 系 Codex モデルが軸で、長時間タスク向けの「コンパクション」など独自の最適化が入っています(モデル名は時期で変動するため、最新情報は公式リポジトリを参照)。
| モデル例 | 位置づけ |
|---|---|
| GPT-5.2-Codex | 最新世代。サイバーセキュリティ系ベンチで高スコア |
| GPT-5.1-Codex-Max | 長時間・大規模リファクタ向け(数百万トークン規模を一貫処理) |
| GPT-5-Codex | 安定版。日常タスク向け |
特に Max 系は「複数時間にわたるエージェント実行を文脈を保ったまま走らせる」ための仕組みが組み込まれており、Claude Code が /compact で会話を圧縮するのに対し、Codex CLI 側は内側で似た仕組みを自動化している、と捉えると違いが理解しやすくなります。
セキュリティと権限モデル
Claude Code
「操作前に都度確認する」インタラクティブな権限モデルが基本です。
- ファイルの書き込み / 削除、シェル実行の前に確認
/permissionsで承認ルールを管理(allow/deny)- Hooks の
PreToolUseでexit 2を返してブロックを自動化できる - 信頼できないリポジトリでの起動には注意(過去 CVE あり)
Codex CLI
「最初からサンドボックスに閉じ込める」前提の権限モデルです。
- デフォルトでネットワークアクセス無効
- 危険操作には確認が入る
- セキュリティ設定はサンドボックス側で調整
運用イメージの違い: Claude Code は「自由に動けるエージェントに、人がブレーキを踏んで制御する」、Codex CLI は「最初から動ける範囲が狭く、必要に応じて広げていく」というスタンスの差があります。実行環境に強い制約をかけたい組織では Codex CLI のサンドボックス前提が馴染みやすく、ローカル開発で素早く試行錯誤したい個人では Claude Code のインタラクティブ承認のほうが体感がよいことが多いです。
料金の比較
| プラン帯 | Claude | ChatGPT(Codex) |
|---|---|---|
| 基本 | Pro $20/月 | Plus $20/月 |
| 中間 | Max 5x $100/月 | (該当なし) |
| 上位 | Max 20x $200/月 | Pro $200/月 |
Claude Code には Max 5x という中間帯があり、「Pro では足りないが Max 20x は過剰」という層を拾えます。Codex CLI は Plus と Pro の二択になるため、ヘビーユーザーは早めに Pro に上げる判断になります。
API 従量で見ると Claude(Sonnet 4.6: 入力 $3 / 出力 $15、Haiku 4.5: 入力 $1 / 出力 $5)と OpenAI Codex 系は近いレンジで推移しています。CI 連携など機械的に大量に呼ぶ用途では、両者ともサブスクではなく API 従量を選ぶケースが多く、コスト最適化のレバーは「モデル選択」と「コンテキスト圧縮」になります。
選び分けの判断軸
Claude Code が向くケース
- 拡張機構を活かしたい: サブエージェント / Hooks / Skills / MCP / CLAUDE.md を組み合わせて、プロジェクト固有のワークフローを作り込みたい
- 日本語の情報源を重視: 公式ドキュメントが日本語化されており、社内の学習コストを下げたい
- マルチサーフェス運用: ターミナル / IDE / Web / デスクトップで同じ設定を共有したい
- CI 連携と Hooks で自動化: PostToolUse の format、PreToolUse のガード、Stop の通知を組み合わせて運用に組み込みたい
Codex CLI が向くケース
- 超長時間タスク: 数百万トークン規模のリファクタや調査を、文脈を保ったまま一気通貫で走らせたい
- 強いサンドボックス前提: ネットワーク無効を初期状態とし、明示的に開放していく運用を取りたい
- OpenAI 系モデルを継続利用したい: 既存の ChatGPT Plus / Pro 契約を活かす、または GPT 系モデルでコード生成の挙動を揃えたい
併用するパターン
両方契約しても月額 $40〜$400 のレンジになり、個人〜小規模チームなら現実的に併用できます。実用的な棲み分けは以下のようになります。
- 日常実装・自動化・チーム展開 → Claude Code
- 数時間〜数日かかる大規模リファクタ、深い推論が要る難所 → Codex CLI
- どちらの結果が良いか比較したい場合 → 同じ問題を両方に投げて diff を見る
まず1つだけ選ぶなら
「まず Claude Code から始め、必要を感じたら Codex CLI を足す」が、初学者〜中堅にとって最短の習熟ルートです。
理由は次のとおりです。
- 拡張機構(CLAUDE.md / Skills / Hooks / Subagents)が整っており、「使い込むほど開発フローが変わる」体験を得やすい
- 日本語ドキュメントが揃っており、つまずいた時の調査コストが低い
- Pro $20 で始められ、足りなければ Max にスムーズに引き上げられる
その上で「数百万トークン級の長時間タスクが頻発する」「セキュリティ系の深掘りが業務の中心」といった条件が出てきたら、Codex CLI を併用候補に加えるのが自然な拡張順序になります。