ChatGPT のモデル体系:GPT-5.6 Sol / Terra / Luna の使い分け
ChatGPT と API の現行モデル GPT-5.6(Sol / Terra / Luna)の位置づけ・料金・コンテキスト長・プラン別アクセスを整理。GPT-5.4 / 5.5 世代からの移行先と、APIの廃止スケジュールもまとめました。
ツール概要
GPT-5.6 は OpenAI が 2026年7月9日に一般提供を開始した現行モデルファミリーです。Sol(最上位)・Terra(バランス型)・Luna(軽量・低コスト)の3ティアで構成されます。数字が世代を、Sol / Terra / Luna が能力ティアを表す命名方式に変わりました。
限定プレビューは2026年6月26日に少数のパートナー向けで始まり、7月9日に ChatGPT・ChatGPT Work・Codex・API のすべてへ展開されています(GPT-5.6(OpenAI))。
モデル体系と変更点
2026年前半の世代交代
半年で3世代が入れ替わりました。GPT-5.4 世代を前提に書かれた社内手順やモデル指定は、そのままでは動きません。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年3月5日 | GPT-5.4 リリース |
| 2026年4月23日 | GPT-5.5 リリース(エージェント特化の訓練を受けたベースモデル) |
| 2026年5月5日 | GPT-5.5 Instant が ChatGPT のデフォルトモデルに |
| 2026年6月26日 | GPT-5.6 シリーズを限定プレビュー公開。同日 GPT-4.5 が ChatGPT から退役 |
| 2026年7月9日 | GPT-5.6(Sol / Terra / Luna)が一般提供開始 |
| 2026年8月6日 | GPT-5.6 Sol を更新。Free / Go の既定モデルが GPT-5.6 Luna に |
現行ラインナップ(2026年8月時点)
| モデル | 位置づけ | 備考 |
|---|---|---|
| GPT-5.6 Sol | フロンティア。長尺のエージェント作業・複雑な推論向け | Pro / Enterprise ではさらに上位の Sol Pro を選択可能 |
| GPT-5.6 Terra | 本番運用向けのバランス型 | 一般提供時点で Free / Go が使えた唯一のティア |
| GPT-5.6 Luna | 大量処理・低レイテンシ向け | 2026年8月6日から Free / Go の既定モデル |
退役したモデル
| モデル | 状況 |
|---|---|
| GPT-4o / GPT-4.1 / GPT-4.1 mini / o4-mini | 2026年2月13日に ChatGPT から退役(API では継続) |
| GPT-5.1 系 | 2026年3月11日に ChatGPT から退役 |
| GPT-4.5 | 2026年6月26日に ChatGPT から退役 |
| GPT-5.4 / GPT-5.4 mini | 2026年8月31日に Codex から退役。移行先は Terra と Luna |
GPT-5.3 と GPT-5.4 が ChatGPT 本体のモデル選択肢からいつ外れるかは、公式の退役告知を確認できていません。運用で依存している場合はモデルのリリースノートで最新の状況を確認してください。
ChatGPT での使い方
プラン別のアクセス
一般提供時点の区分は、Free / Go が Terra のみ、Plus 以上が Sol / Terra / Luna を選択可能、Pro / Enterprise がさらに Sol Pro も利用可能というものでした。その後 2026年8月6日の更新で、Free / Go の既定モデルが Luna に変わっています。
思考量スライダー
2026年8月6日の更新で、ChatGPT がどれだけ考えるかを選べるスライダーが Plus / Pro 向けに追加されました。GPT-5.4 世代までの「Instant か Thinking か」という固定の二択に代わる操作系です。軽い質問では思考量を下げ、複雑な調査では上げる、という使い分けになります。
同じ更新で Free / Go にはテキストチャットの無制限化と、難しい問いに使う Think ボタンが提供されました。ただし無制限の対象はテキストのやり取りだけで、ファイルアップロード・画像・その他ツールには引き続き上限があります。ChatGPT Work と Codex もこの更新の対象外です。
API でのアクセス
API では gpt-5.6-sol / gpt-5.6-terra / gpt-5.6-luna のモデル ID で直接呼び出せます。
from openai import OpenAI
client = OpenAI()
response = client.chat.completions.create(
model="gpt-5.6-terra",
messages=[
{"role": "user", "content": "このコードレビューの指摘を重要度順に並べ替えてください。"}
]
)
print(response.choices[0].message.content)
料金とコンテキスト長
2026年8月時点の値です(OpenAI API モデルドキュメント)。
| モデル | コンテキスト | 最大出力 | 入力($/1M) | 出力($/1M) |
|---|---|---|---|---|
| GPT-5.6 Sol | 1,050,000 | 128,000 | $4 | $20 |
| GPT-5.6 Terra | 1,050,000 | — | $2 | $12 |
| GPT-5.6 Luna | 1,050,000 | 128,000 | $0.20 | $1.20 |
| GPT-5.5 | 1,050,000 | 128,000 | $5 | $30 |
Terra は入力が272,000トークンを超えると入力単価が2倍、出力単価が1.5倍になります。Luna のキャッシュ入力は $0.02 / 1M です。
2026年7月30日に Luna が約80%、Terra が約20%値下げされました。一般提供から3週間での価格改定です。
廃止スケジュール
旧世代スナップショットの削除が 2026年12月11日に予定されています(Deprecations)。
| 削除されるモデル | 推奨移行先 |
|---|---|
gpt-5-2025-08-07 | gpt-5.6-sol |
gpt-5-mini-2025-08-07 | gpt-5.6-terra |
gpt-5-nano-2025-08-07 | gpt-5.6-luna |
gpt-5-pro-2025-10-06 | gpt-5.6-sol(reasoning.mode: pro) |
o3-2025-04-16 | gpt-5.6-sol |
o3-pro-2025-06-10 | gpt-5.6-sol(reasoning.mode: pro) |
強み・特徴
- コンテキストが約105万トークン: 3ティアとも同じコンテキスト長で、モデルを下位に落としても扱える入力量は変わりません。コストだけを段階的に下げられます。
- 事実精度の改善: 2026年8月6日更新の GPT-5.6 Sol は、GPT-5.5 Instant と比べて事実誤りが約60%減とされています(Deployment Safety Hub)。
- 下位ティアの価格: Luna は入力 $0.20 / 出力 $1.20 で、大量処理を下位ティアへ切り出す設計が現実的な水準です。
弱み・限界
- 世代交代が速い: 2026年前半だけで GPT-5.4 → 5.5 → 5.6 と入れ替わりました。モデル ID をハードコードした運用は、退役告知の追跡が前提になります。
- Terra の長文課金: 272,000トークンを超えると単価が上がるため、長いコンテキストを常用する用途では見積もりが崩れます。
- プラン別の差: Sol Pro は Pro / Enterprise 限定です。同じ社内でもプランによって使えるティアが違う点は、業務手順を書くときに前提として明記が要ります。
- ハルシネーション: 事実精度は改善していますが誤りはゼロではありません。重要な事実は一次情報での裏取りが必要です。
まとめ
- 現行は GPT-5.6 の3ティア構成。Sol が最上位、Terra がバランス型、Luna が軽量です。
- ChatGPT の既定モデルは Free / Go が Luna、Plus 以上が Sol です。
- Instant / Thinking の二択は思考量スライダーへ置き換わりました。
- API の旧 GPT-5・o3 系スナップショットは2026年12月11日に削除されます。移行先は GPT-5.6 系です。
- 用途別の使い分け: 複雑な推論と長尺のエージェント作業には Sol、本番の常用処理には Terra、大量処理とコスト最適化には Luna が適します。