Grok 4.6 公開、500k コンテキストで長時間走るエージェント向けに
SpaceXAI が Grok 4.5 の後継となるフラッグシップモデル Grok 4.6 を公開した。長時間稼働するエージェントと対話的・視覚的な成果物づくりに重点を置く。コンテキストは 500k トークン、価格は 200k プロンプトトークンを境に二段階制。Cursor と Grok Build で即日利用でき、初週は included usage が2倍になる。
ニュース原文を読む ↗要約
SpaceXAI(旧 xAI)が 2026-08-12、フラッグシップモデル Grok 4.6 を公開しました。Grok 4.5 の後継で、重点は「長時間走るエージェント」と「対話的・視覚的な成果物づくり」の2点です。調査、分析、コードベース横断、アイデアのアプリ化といった多段になるタスクを、途中で見失わずに続けることを狙っています。
ベンチマークでは Artificial Analysis Intelligence Index が 61。GPT-5.6 Sol Max と同点で、Fable 5 Max の 62 に僅差という位置づけです。CursorBench v3.2 は 69.9%(Grok 4.5 High は 66.7%)、GDPVal-AA v2 は 1753(同 1526)と伸びています。
ただし全面的に強いわけではありません。DeepSWE v1.1 は 65.9% で GPT-5.6 Sol Max の 73% に届かず、Terminal-Bench v3.0 は 26% で他社が 34% 台のところ大きく離されています。総合スコアだけを見ると横並びに見えますが、内訳は偏っています。
API 仕様は次の通りです。モデル名 grok-4.6、コンテキストウィンドウ 500,000 トークン、知識カットオフは 2026-02-01。テキストと画像を入力でき、出力はテキストのみで、出力長の上限はありません。reasoning effort は low / medium / high(既定)/ xhigh の4段階です。
価格はプロンプトトークン 200k を境にした二段階制です。200k 未満なら 1M トークンあたり入力 $2 / キャッシュ入力 $0.50 / 出力 $6、200k を超えると入力 $4 / キャッシュ入力 $1 / 出力 $12 と倍額になります。
提供は Cursor と Grok Build で即日開始され、最初の1週間は両方で included usage が2倍になる施策が付いています。Cursor も同日に自社ブログで提供を告知しました。
何が変わったか
- フラッグシップモデルが Grok 4.5 から Grok 4.6 へ更新された
- コンテキストウィンドウは 500,000 トークン、知識カットオフは 2026-02-01
- 価格はプロンプトトークン 200k を境に二段階($2/$6 → $4/$12、1M トークンあたり)
- reasoning effort が low / medium / high(既定)/ xhigh の4段階
- テキストと画像の入力に対応、出力はテキストのみで上限なし
- function calling、web search、X search、code execution に対応
- Cursor と Grok Build で即日利用可能。初週は included usage が2倍
- Artificial Analysis Intelligence Index 61 で GPT-5.6 Sol Max と同点。ただし DeepSWE v1.1 と Terminal-Bench v3.0 は他社に劣る
業務インパクト(一般企業向け)
判断材料として重要なのは、総合スコアではなくベンチマークの内訳です。
Artificial Analysis Intelligence Index が 61 で GPT-5.6 Sol Max と並んだ、という見出しだけを受け取ると「同等の選択肢が増えた」と読めます。しかし DeepSWE v1.1 は 65.9% 対 73%、Terminal-Bench v3.0 は 26% 対 34.6% と、ソフトウェアエンジニアリング寄りの課題では差があります。逆に CursorBench v3.2 は 69.9% で GPT-5.6 Sol Max の 67.2% を上回っています。どのモデルが優れているかではなく、どの作業に向くかで見る必要があります。
コスト設計で押さえるべきは200k トークンの境界です。長い文脈を保持しながら走らせるエージェント用途は、まさにこの境界を越えやすい使い方です。500k のコンテキストが使えることと、500k 使っても安いことは別の話で、200k を超えた時点で単価は倍になります。長時間タスクを回す設計をするなら、文脈をどこで圧縮するかがそのままコストに跳ね返ります。ここを設計せずに「コンテキストが広いから全部入れる」運用にすると、想定の倍の請求になり得ます。
reasoning effort が4段階ある点も運用に効きます。既定は high ですが、全ての呼び出しを high で回す必要はありません。分類や抽出のような単純な処理を low に落とし、難所だけ xhigh に上げる、という振り分けができれば実効コストは下がります。段階が用意されているモデルでは、既定のまま使い続けるのが一番もったいない選択になります。
導入判断としては、Cursor を既に使っている組織であれば試すコストがほぼゼロです。初週の included usage 2倍という期間限定の条件もあるので、評価するなら早い方が有利になります。ただし評価の設計は自社の実作業に寄せてください。ベンチマークの内訳が偏っている以上、汎用スコアからは自社での使い勝手が読めません。
副業・個人活用視点
個人で使う立場だと、入り口は Cursor か Grok Build です。既存プランに含まれる形で使えて、初週は2倍なので、モデルの比較検証をするなら条件が良いタイミングです。
実務で効くのは 500k のコンテキストと reasoning effort の使い分けでしょう。大きめのリポジトリを一度に読ませたい、長い調査を1セッションで完結させたい、という場面で選択肢になります。ただし API を直接使う場合は 200k の価格境界があるので、個人の財布で回すなら文脈を絞る癖をつけた方がいいです。倍額の境界は、月末に効いてきます。
案件として拾うなら、モデル選定の代行や比較検証が素直な切り口です。「Grok 4.6 と GPT-5.6 Sol、どちらを使えばいいか」は多くの現場で出る問いですが、ベンチマークの内訳を読み解いて自社の作業に当てはめる作業は手間がかかります。CursorBench では勝ち、DeepSWE と Terminal-Bench では負ける、という構造を説明できるだけでも価値があります。
発信のネタとしては、同じタスクを Grok 4.6 / GPT-5.6 Sol / Fable 5 で走らせて比べる検証が定番になります。ただし総合スコアの再確認をしても意味が薄いので、公式のベンチマークで差が出ている領域(ターミナル操作寄りの作業と、対話的・視覚的な成果物づくり)を狙って比較すると、読者にとっての判断材料になります。得意領域が偏っているモデルは、偏りを突く検証にこそ価値があります。