Workspace Studio に custom starters / custom steps / 3P連携 / webhooks が追加。Jira・Salesforce・Slack など8サービスと接続でき、4機能とも既定 OFF
Google が 2026-09-17、Workspace Studio の flows に4つの新機能を追加した。custom starters は他アプリのイベントで flow を起動するリアルタイムトリガーを自作・公開できる。custom steps は Apps Script などで独自ロジックを書いて flow へ組み込める。third-party integrations はベータで、Asana / Confluence / HubSpot / Jira / Mailchimp / QuickBooks / Salesforce / Slack の8サービスと双方向にデータを受け渡す。webhooks は外部エンドポイントへ HTTP リクエストを送り、外部側のアクションを起動する。4機能とも granular enterprise security controls で裏打ちされており、すべて既定 OFF で管理者が Admin Console から有効化する。人間の承認要件も管理者が設定し、custom steps と integrations はそれぞれ独自の承認設定を持ち、webhooks は Sensitive Steps の承認設定に従う。対応エディションでは webhook のアクセス先 URL 許可リストを設定できる。
ニュース原文を読む ↗要約
Google は 2026-09-17、Workspace Studio の flows に4つの新機能を追加しました。公式の位置づけは「Workspace Studio の能力を広げ、チームが強力なカスタム自動化を組めるようにする」ためのものです。
追加されたのは次の4つです。
- Custom starters: 他アプリのイベントで flow を起動するリアルタイムトリガーを自作・公開できる
- Custom steps: Apps Script などで独自ロジックを書き、高度な業務要件に合わせて flow を調整できる
- Third-party integrations(ベータ): 外部サービスと双方向にデータを受け渡す
- Webhooks: 外部エンドポイントへ HTTP リクエストを送り、外部側のアクションを起動する
3P連携の対応サービスは8つが明示されています。 Asana、Confluence、HubSpot、Jira、Mailchimp、QuickBooks、Salesforce、Slack。**プロジェクト管理(Asana / Jira)、ナレッジ(Confluence)、CRM / MA(HubSpot / Salesforce / Mailchimp)、会計(QuickBooks)、チャット(Slack)**と、業務系の主要カテゴリが一通り揃っています。
この4機能を合わせると、Workspace Studio の性格が変わります。 これまでは「Google のサービス群の中で完結する自動化ツール」でした。custom steps で任意のロジックを書け、3P連携で主要 SaaS とつながり、webhooks で任意のエンドポイントを叩けるようになると、「業務自動化基盤」の側に寄ります。
Google 側もそれを認識しています。 公式は4機能すべてについて「granular enterprise security controls に裏打ちされており、管理者が組織全体でエージェント機能を安全に有効化・採用できる」と明記しました。機能紹介と同じ段落に統制の話が置かれているのは、機能の性質を反映しています。
具体的な統制は3層あります。
第1層は有効化です。すべて既定 OFF で、管理者が Admin Console の Apps > Google Workspace > Workspace Studio 配下で有効化します。設定項目は Custom steps settings / Integration settings / Webhook settings の3つです。
第2層は承認要件です。 管理者は Apps > Google Workspace > Workspace Studio > Approvals で人間の承認要件を変更できます。Custom steps と Integration はそれぞれ独自の承認設定を持ち、Webhooks は Sensitive Steps の承認設定に従います。
第3層は宛先の制限です。 対応エディションでは、管理者が webhook のアクセス先 URL 許可リストを設定できます。
エンドユーザー側は、有効化された後に Workspace Studio から新機能を使います。ロールアウトは Admin console 設定が Rapid / Scheduled Release の両方へ提供されます。
何が変わったか
- Custom starters: 他アプリのイベントで flow を起動するリアルタイムトリガーを自作・公開できる
- Custom steps: Apps Script などで独自ロジックを書き、flow に組み込める
- Third-party integrations(ベータ): Asana / Confluence / HubSpot / Jira / Mailchimp / QuickBooks / Salesforce / Slack の8サービスと接続
- Webhooks: 外部エンドポイントへ HTTP リクエストを送信し、外部のアクションを起動
- 4機能とも既定 OFF。 管理者が Admin Console(
Apps > Google Workspace > Workspace Studio)で有効化 - 有効化の設定は Custom steps settings / Integration settings / Webhook settings の3項目
- 人間の承認要件を管理者が設定可能(
> Approvals)。Custom steps と Integration は独自設定、Webhooks は Sensitive Steps の設定に従う - 対応エディションで webhook の URL 許可リストを設定可能
- ロールアウト: Admin console 設定は Rapid / Scheduled Release の両方
業務インパクト(一般企業向け)
この更新で管理者に降ってくる仕事は、有効化の可否判断ではありません。承認要件と URL 許可リストの設計です。
有効化の判断自体は難しくありません。 既定 OFF なので、放置すれば何も起きません。問題は、現場から「Jira と連携したい」「Slack に通知したい」という要望が来たときに、何を条件に開けるかです。ここを決めずに個別対応すると、「要望があったから開けた」が積み上がって統制が消えます。
先に決めるべきは3点です。
(1) webhook の宛先。 URL 許可リストが対応エディションで使えるので、リストを先に作ってから webhook を有効化する順序にします。逆にすると、有効化直後の期間だけ宛先が無制限になります。
(2) 承認が要るステップの線引き。 webhooks が Sensitive Steps の承認設定に従う、という構造は使いようがあります。Sensitive Steps の定義を先に整理しておけば、webhook の承認要件は自動的にそこへ乗ります。 custom steps と integrations は別設定なので、こちらは個別に決めます。
(3) custom steps を誰が書けるか。 Apps Script で任意のロジックを書けるということは、flow の中で何が起きるかがコードを読まないと分からないということです。これまで Workspace Studio の flow は、画面上の構成を見れば挙動が追えました。custom steps が入ると追えません。書ける人を絞るか、レビュー工程を置くかの判断が要ります。
3P連携のベータという位置づけも押さえておきます。 Salesforce や QuickBooks のような基幹に近いシステムと接続する機能がベータである以上、本番の業務プロセスを最初から全面的に載せるのは早すぎます。 読み取り方向から始めて、書き込みは検証後、という段取りが妥当です。
もう1つ、既存の自動化ツールとの重複が発生します。 n8n や Zapier のような外部ツールで Workspace と SaaS をつないでいる組織は、同じ連携が Workspace Studio でも組めるようになりました。 どちらに寄せるかを決めないと、同じ業務フローが2か所で動くという最悪の状態になります。棚卸しのタイミングとしては適切です。
副業・個人活用視点
業務自動化を請けている人にとって、これは案件の形が変わる更新です。
これまで「Google Workspace と Jira をつなぎたい」という依頼が来たら、外部の自動化ツールを挟むのが定石でした。ツールの契約、アカウント管理、費用の説明が必要で、そこが提案のハードルになっていました。
Workspace Studio で完結するなら、その説明が要りません。 既に契約している Workspace の範囲内で組めるということは、**「新しいツールを増やさない提案」**ができるということです。情シスが新規 SaaS の導入審査を嫌う組織では、これは強い差別化になります。
一方で、単純な連携設定の単価は下がります。 画面上で組めるものに高い工数は請求できません。価値の置きどころを移す必要があります。
移し先は明確で、統制の設計です。承認要件をどう設計するか、webhook の許可リストに何を載せるか、custom steps を誰に書かせるか——これは Admin Console を触れるだけでは決まりません。 業務と権限を理解している人の判断が要ります。「つなぐ作業」ではなく「つないでよい範囲を決める作業」に価格を置くのが、この更新後の正しい立ち回りです。
Apps Script が書けることの価値も上がります。 custom steps で Apps Script のロジックを flow へ組み込めるということは、GAS の知識が「単体のスクリプト」ではなく「自動化基盤の部品」として売れるということです。GAS 案件を受けている人は、Workspace Studio の flow に組み込む形での提案を用意しておくと単価を守りやすくなります。
教える立場では、「既定 OFF」という仕様そのものが教材です。 機能が発表されても、管理者が開けなければ社内では存在しません。 「新機能が出た」と「自社で使える」の間に管理者の判断が挟まる、という構造を、具体的な設定パスつきで説明できます。
関連リンク
- 公式: Automate workflows with custom starters and steps, third-party integrations, and webhooks in Workspace Studio
- 調査メモ:
docs/research/zenn-gemini-release-basic/official-updates/2026-09-17T000000-workspace-studio-custom-steps-integrations-webhooks.md