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Cloudflare が Workers の上限を一斉緩和。サイズ 10MB→64MiB、サブリクエスト 1,000→100万、起動時間 400ms→1秒。RBAC はリソース単位へ

Cloudflare が「Enterprise 限定機能を全プランへ開放する」方針(Enterprise for all)の続報を公開し、今後は新しい Enterprise 限定機能を作らないと明言した。開発者プラットフォーム側の上限緩和が大きく、Worker のサイズ上限は非圧縮 10MB から 64MiB へ、1リクエストあたりのサブリクエスト数は 1,000 から 100万へ、起動時間は 400ms から 1秒へ、WebSocket メッセージサイズは 1MiB から 32MiB へ引き上げられた。Dynamic Workers が有料アカウントへ開放。権限面では RBAC が Workers や R2 といったリソース単位で設定できるようになり、Authentik の IdP 対応、SCIM 監査ログ、SCIM 2.0 Group Sync、MCP Server Portals も移管される。Logpush と Transformers、Custom Dashboards が Free / Pro / Business で従量課金で使えるようになった。複数アカウントを束ねる Organizations は 2027年初頭に無料アカウントへ展開予定。

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要約

Cloudflare が Enterprise for all(Enterprise 限定だった機能を全プランへ開放する方針)の続報を公開しました。今後、新しい Enterprise 限定機能は作らないと明言し、プラン差を「何が使えるか」から「どれだけ使えるか」へ寄せるとしています。

この記事で実装判断に直結するのは、機能の開放より上限の数字です。

項目変更前変更後倍率
Worker のサイズ上限(非圧縮)10 MB64 MiB約6.4倍
リクエストあたりのサブリクエスト数1,000100万1,000倍
起動時間(startup time)400 ms1 秒2.5倍
WebSocket メッセージサイズ1 MiB32 MiB32倍

サブリクエストの 1,000 倍化が、最も設計を変えます。 Workers から外部APIを呼ぶ回数の上限が1リクエストあたり1,000件だったため、「一覧を取得して全件に対して処理する」類のバッチ的な処理は、Workers では組めませんでした。この制約を理由に Workers を外した過去の判断は、前提から見直す価値があります。

サイズ上限 64 MiB も同種の話です。 非圧縮 10 MB は、依存の重いライブラリ(大きめの機械学習ランタイム、PDF 処理、フォント同梱)を入れると簡単に超えました。「Workers に載らないから Lambda」という選択の理由が1つ減ります。

起動時間 400ms → 1秒は、初期化で重い処理をする Worker(大きな設定の読み込み、WASM の初期化)が通るようになることを意味します。

何が変わったか

  • Worker サイズ上限が非圧縮 10 MB → 64 MiB
  • サブリクエスト数が 1リクエストあたり 1,000 → 100万
  • 起動時間が 400 ms → 1 秒
  • WebSocket メッセージサイズが 1 MiB → 32 MiB
  • Dynamic Workers が有料アカウントへ開放
  • RBAC がリソース単位で設定可能に。 Workers、R2 など個別に権限を切れる(従来はアカウント単位)
  • Authentik の IdP 対応、SCIM 監査ログ、SCIM 2.0 Group Sync、MCP Server Portals、Network Overview が全プラン側へ
  • Logpush と Transformers が Free / Pro / Business で従量課金利用可能に(従来 Enterprise 限定)
  • Custom Dashboards が全プランへ
  • 「New Account」ボタンで無料アカウントを追加作成し、プロジェクトを分離できる
  • Organizations(複数アカウント管理)は 2027年初頭に無料アカウントへ展開予定
  • 今後 Enterprise 限定の新機能は作らないと明言

業務インパクト(一般企業向け)

まず、過去の技術選定の棚卸しが要ります。 「Workers で検討したが制限に引っかかって見送った」案件が社内にあるなら、その判断根拠が今回の4項目のどれかなら、結論が変わる可能性があります。 特にサブリクエスト上限は、API 集約・一括処理・ファンアウト型のワークロードで実質的な足切りになっていました。

RBAC のリソース単位化は、情シスにとって大きい変更です。 従来のアカウント単位の権限では、「このチームには Workers だけ触らせたい、R2 は見せたくない」が表現できませんでした。結果として、アカウントを分けるか、全員に広い権限を渡すかの二択になりがちでした。リソース単位になれば、1アカウント内での職務分離が組めます。

ただし既存の権限設計は自動では変わりません。 リソース単位の RBAC が「使えるようになった」だけで、現在広い権限で運用しているなら、棚卸しと再設定は自分たちの作業です。 監査対応を控えている組織は、この機会に見直す価値があります。

Logpush の全プラン開放は、ログ保全要件のある組織に効きます。 「ログを外部のSIEMへ送る」が Enterprise 契約の理由になっていたケースでは、プランのダウングレードが検討対象になります。ただし従量課金である点に注意してください。 外部エクスポートは月25 GB まで無料で、超過は $0.10/GB です(2026-10-02 の Observability 更新による)。Enterprise の定額から従量へ移ると、トラフィック量によっては高くつく場合があります。

「新しい Enterprise 限定機能は作らない」という宣言は、長期の調達判断に影響します。 機能を人質にしたアップセルが無い、という約束です。現時点では宣言であり契約上の保証ではないため、重要案件では契約書面での確認が要りますが、ロードマップ上の不確実性は下がります。

MCP Server Portals の全プラン移管は、エージェント基盤を検討している組織に関係します。 社内の MCP サーバーを集約して配布する仕組みが Enterprise 限定でなくなるため、小規模から試せるようになります。

副業・個人活用視点

無料アカウントを複数作れるようになった点が、受託では実用的です。 従来、顧客ごとに環境を分けたい場合はアカウント運用が面倒でした。「New Account」ボタンで案件ごとに無料アカウントを切れば、請求と権限が自然に分離します。 納品後にアカウントごと顧客へ引き渡す、という運用も素直になります。

上限緩和は、提案できる案件の幅を広げます。 「Workers でやると制限に当たるので、サーバーを立てましょう」という説明をしてきた案件が、サーバーレスのまま通せるようになります。 運用保守が発生しない構成を提案できることは、個人で受ける際の継続コストに直結します。

ただし「上限が上がった=安くなった」ではありません。 サブリクエスト100万件を実際に使えば、相応の課金が発生します。上限は「できるかどうか」の話であって、「いくらかかるか」は別です。 見積もりでは実際の呼び出し回数から計算してください。

リソース単位の RBAC は、小規模チームでも効きます。 「外注の人に Workers のデプロイだけ任せたいが、R2 のデータは見せたくない」という状況は、2〜3人の体制でも起きます。権限を絞れること自体が、仕事を任せられる範囲を広げます。

Organizations の 2027年初頭は、先の話として覚えておく程度で十分です。 複数アカウントを束ねる需要は、案件数が増えてから発生します。現時点では「New Account で分ける」運用を始めておけば、後から束ねられます。

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