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Cloudflare AI Search が単一コマンド化、RAG構築の料金レンジも公開された

Cloudflare が AI Search を刷新し、R2 / Vectorize / Workers AI を自前で組み合わせる必要があった構成を、クロールから埋め込み・検索まで自動で行う単一コマンドに簡素化した。サイトマップ無しのクロール、複数インスタンスの横断検索、公開エンドポイントへの独自ドメイン割り当てに対応。あわせて従量課金の価格が preview として提示された。

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要約

Cloudflare が 2026-08-06、AI Search を刷新しました。要点は2つで、構築手順の簡素化と、価格の公開です。

これまで Cloudflare で RAG(社内データを検索して LLM に渡す仕組み)を組もうとすると、複数のプリミティブを自分で組み合わせる必要がありました。R2 にデータを置き、クローラーを書き、チャンク分割の方式を決め、Workers AI で埋め込みを作り、Vectorize に入れ、検索クエリを書く。個々の部品は揃っていたものの、「部品はあるので好きに組んでください」という状態で、動くところまで持っていくには相応の設計判断が要りました。

今回の刷新では、クロール・取り込み・埋め込み・検索までを AI Search 側が自動で行います。ファイルと Cloudflare 管理下のサイトから、構造化・非構造化を問わず単一コマンドで索引化できる形です。

付随する改善もいくつか入っています。サイトマップが用意されていないサイトは「Discover」というパースオプションでクロールできます。複数のインスタンスを /search/mcp の統合エンドポイントから横断検索できます。公開エンドポイントには独自ドメインを割り当てられ、search.example.com/mcp のような形で出せます。EmDash CMS には AI Search プラグインでセマンティック検索を追加できます。検索自体はセマンティックとキーワードのハイブリッドを1クエリで実行します。

/mcp エンドポイントが標準で生えるのは、この発表の中では見落としやすいが重要な点です。索引化したデータが、そのまま MCP 経由でエージェントから呼べるツールになります。同日発表の次世代 MCP 対応と組み合わせると、「社内データを索引化して、エージェントに検索させる」までが一本の線で繋がります。

そして価格です。preview として、変更の可能性ありと明記したうえで提示されました。取り込みが 100万トークンあたり $0.75、月 500万トークンまで無料。ストレージが $2.00/GB・月、10GB まで無料。クエリはセマンティック検索が 1,000 件あたり $0.75、全文検索が 1,000 件あたり $0.10、月 2,000 クエリまで無料。埋め込みとリランキングは対象の Workers AI モデルなら無料です。公式の試算例として、2万文書の索引化と月3万回のセマンティック検索でおよそ $35/月 という数字が挙げられています。

なお AI Search 自体は現時点で利用可能ですが、課金はまだ有効化されていません。開始前に事前告知するとされています。

何が変わったか

  • クロール・取り込み・埋め込み・検索を AI Search が自動で行い、単一コマンドで索引化できるようになった
  • サイトマップの無いサイトも「Discover」パースオプションでクロールできる
  • 複数インスタンスを /search / /mcp の統合エンドポイントで横断検索できる
  • 公開エンドポイントに独自ドメインと名前空間を割り当てられる(例 search.example.com/mcp
  • セマンティック検索とキーワード検索をハイブリッドで1クエリ実行できる
  • EmDash CMS 向けの AI Search プラグインでセマンティック検索を追加できる
  • 従量課金の価格が preview として公開された(取り込み $0.75/100万トークン、ストレージ $2.00/GB・月、セマンティック検索 $0.75/1,000件、全文検索 $0.10/1,000件)
  • 無料枠が設定された(取り込み月500万トークン、ストレージ10GB、クエリ月2,000件)
  • 埋め込みとリランキングは対象 Workers AI モデルで無料
  • 課金は現時点で未開始。開始前に事前告知される

業務インパクト(一般企業向け)

社内文書検索や FAQ 応答の仕組みを検討している組織にとって、今回の変化で一番効くのは見積もりが立つようになったことです。

RAG の導入検討が止まる理由は、技術的な難しさより「いくらかかるか分からない」ことが多い、というのが実情です。構築工数は見積もれても、運用に入ってからのランニングコストが「文書量と検索回数次第です」としか言えないと、稟議が通りません。今回、取り込み・ストレージ・クエリの3軸で単価が出たことで、自社の文書量と想定利用回数から概算を作れるようになりました。公式の試算例(2万文書・月3万クエリで約 $35)は、規模感を掴む基準として使えます。多くの中小規模の社内検索用途は、この試算例の範囲かそれ以下に収まります。

構築側の負担も下がります。これまで必要だった「チャンク分割の方式をどうするか」「埋め込みモデルを何にするか」「ベクトルDBのインデックス設計をどうするか」といった判断が、AI Search 側に隠れます。専任のエンジニアがいない組織でも着手できる、という意味では前進です。

ただしこれは諸刃で、精度が出なかったときの調整余地が狭くなることも意味します。自前で組んでいれば、チャンクサイズを変える、埋め込みモデルを差し替える、リランキングを挟むといった手が打てます。マネージド化されると、その多くが手の届かないところに移ります。「検索結果が期待と違う」という状況になったとき、できることが限られる前提で導入すべきです。現実的には、まず AI Search で作って十分な精度が出るかを確かめ、出ないと分かった段階で自前構成を検討する、という順序が合理的です。

情シス観点では、公開エンドポイントに独自ドメインを割り当てられる点と、/mcp が標準で生える点の両方に注意が要ります。索引化したデータが URL で外に出せるということは、アクセス制御を明示的に設計しないと社内文書が公開検索できてしまう構造でもあります。導入時には「何を索引に入れるか」と「誰がそのエンドポイントを叩けるか」を分けて決めるべきです。

課金がまだ有効化されていない点は、検証には好都合ですが計画には注意が必要です。事前告知があるとはいえ、価格は preview であり変わりうると明記されています。年間予算に組み込むなら、示された数値に余裕を見ておくのが安全です。

副業・個人活用視点

個人開発者やフリーランスにとって、無料枠の設計がかなり実用的なラインに引かれている点が大きいところです。

取り込み月500万トークン、ストレージ10GB、クエリ月2,000件。個人が作る小規模なサービス — 自分のブログ記事を検索できるようにする、特定分野のドキュメントを集めた検索ツールを公開する、ニッチな FAQ ボットを作る — のほとんどは、この範囲に収まります。つまり実質無料で作って公開できます。これは「試せる」ではなく「運用できる」水準の無料枠です。

受託の観点では、提案の作り方が変わります。「社内文書を AI で検索できるようにしたい」という相談は増えていますが、これまでは構築工数が大きく、小規模案件では見合いませんでした。索引化が単一コマンドで済むなら、構築部分の工数が圧縮され、要件整理とデータ整備に時間を割けます。実際のところ、この種の案件で価値が出るのは技術構築より「何を索引に入れて、どういう質問に答えられるようにするか」の設計です。そこに集中できる構図は、単価より提供価値で勝負したい個人には有利に働きます。

さらに、月額いくらのランニングコストになるかをクライアントに数字で示せるようになったのも実務的な前進です。「使ってみないと分かりません」と言わずに済むだけで、商談の通りやすさが変わります。ただし価格は preview であり、課金開始前だという点は必ず伝えるべきです。「今は無料ですが、将来課金されます。その際の想定はこの程度です」という説明を、提案書に明記しておくのが誠実な立て付けです。

もう一つの使いどころが /mcp エンドポイントです。索引化したデータをそのままエージェントのツールとして出せるので、「自分の知識ベースを Claude や Codex から検索させる」構成が短時間で組めます。個人のナレッジ蓄積を実際に使う形にする経路として、手軽さの水準がかなり下がりました。自分用に作って動かしてみることが、そのまま提案時のデモになります。

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