Claude Sonnet 5.5 公開。Terminal-Bench で Opus 5.5 を上回り、API には破壊的変更が4点入る
Anthropic が Claude Sonnet 5.5(claude-sonnet-5-5)を公開した。価格は入力 $2 / 出力 $10 per MTok で、Opus 5.5 のちょうど半額。出力生成は Sonnet 5 比で30%以上速く、1タスクあたりのコストは最大30%減とされる。エージェント型コーディングの Terminal-Bench 4.0 は 70.6% で、Opus 5.5 の 66.4% を上回った。一方 Claude Platform のリリースノートには破壊的変更が4点明記されており、tool_choice による強制ツール利用と thinking: disabled は 400 エラーになる。Claude Code は同日の v2.1.284 で既定の Sonnet として取り込んでいる。Haiku 5.5 は数週間のうちに追加予定。
ニュース原文を読む ↗要約
Anthropic が2026年9月28日、Claude Sonnet 5.5(claude-sonnet-5-5)を公開しました。9月22日の Opus 5.5 に続く、Claude 5.5 ファミリーの2番目のモデルです。
役割分担が公式に整理されました。 Opus 5.5 は「慎重な判断を要する複雑な仕事」、Sonnet 5.5 は「範囲の決まった日常業務、バグ修正、体裁の整った文書・スライド・スプレッドシートの作成」。Anthropic は Sonnet 5.5 を「Opus 5.5 の、より速く安価な補完物」と位置づけています。
価格は入力 $2 / 出力 $10 per MTok です。 キャッシュ読み出しが $0.20、キャッシュ書き込みが $2.50。Opus 5.5($4 / $20、キャッシュ書き込み $5)のちょうど半額という関係になっています。プロンプトキャッシュで最大90%、バッチ処理で50%の削減が可能とされます。出力生成は Sonnet 5 比で30%以上高速、1タスクあたりのコストは最大30%減。 単価だけでなく、1タスクに必要なトークン数自体が減ったという説明です。
注目すべきはベンチマークの逆転です。 エージェント型コーディングの Terminal-Bench 4.0 で Sonnet 5.5 は 70.6%。Sonnet 5 は 10.3%、そして Opus 5.5 は 66.4% です。上位モデルであるはずの Opus 5.5 を、この項目に限っては Sonnet 5.5 が上回っています。
ただし全項目で勝っているわけではありません。FrontierCode 1.1(High Effort)は Sonnet 5.5 が 46.2%、Opus 5.5 が 54.4%。CursorBench 4.0 は 55.5% 対 57.8%、OSWorld 2.1 は 80.1% 対 81.8%、知識労働の GDPval-AA v2.1 は 1844 対 1846 でほぼ並びます。「難しい判断は Opus、手数の多い実行は Sonnet」という切り分けが、数字の上でも裏づけられた格好です。 なお Sonnet 5 からの伸びは全項目で大きく、OSWorld は 57.0% → 80.1%、CursorBench は 34.1% → 55.5% です。スクリーンショットだけでポケモン赤をクリアした初の Sonnet でもあります。
提供先は Claude API、Amazon Bedrock、Claude Platform on AWS、Google Cloud、Microsoft Foundry です。 Claude Code は同日リリースの v2.1.284 で、既定の Sonnet モデルとして取り込んでいます。Claude Haiku 5.5 は「数週間のうちに」追加予定とされています。
そして、ここからが実務上いちばん重いところです。 Claude Platform のリリースノートには破壊的変更が4点明記されています。モデル ID を差し替えるだけでは動きません。
何が変わったか
claude-sonnet-5-5を公開。Claude API / Amazon Bedrock / Claude Platform on AWS / Google Cloud / Microsoft Foundry で提供- 価格は入力 $2 / 出力 $10 per MTok、キャッシュ読み出し $0.20、キャッシュ書き込み $2.50(Opus 5.5 の半額)
- 出力生成が Sonnet 5 比で30%以上高速、1タスクあたりコストは最大30%減
- Terminal-Bench 4.0 で 70.6%(Sonnet 5: 10.3%、Opus 5.5: 66.4%)
- OSWorld 2.1 は 80.1%、CursorBench 4.0 は 55.5%、GDPval-AA v2.1 は 1844
- FrontierCode 1.1(High Effort)は 46.2% で、Opus 5.5 の 54.4% には及ばない
- 破壊的変更1: 強制ツール利用(
tool_choice: "any"/"tool")が 400 エラーになる - 破壊的変更2:
high以下の effort で前段の thinking を切るにはthinking: {"type": "between_tools"}を使う。"disabled"は不可 - 破壊的変更3: 旧
computer_20251124ツールは Claude API と Google Cloud で拒否(Bedrock では継続動作) - 破壊的変更4: Advisor ツールが Opus 4.8 / 4.7 / Sonnet 5 を advisor として拒否
- thinking ブロックがアカウントに紐づく。別アカウントのリクエストでは推論前に破棄される
- Claude Code v2.1.284 が既定の Sonnet として採用
- Claude Haiku 5.5 は数週間のうちに追加予定
業務インパクト(一般企業向け)
最初にやるべきは、移行作業の見積もりです。 「安くて速い新型が出た」で終わる話ではありません。tool_choice: "any" や tool_choice: {"type": "tool", ...} を使っているコードは、Sonnet 5.5 に向けた瞬間に 400 エラーで落ちます。 構造化された出力を確実に取るために強制ツール利用を入れている実装は珍しくなく、むしろ真面目に作ったシステムほど該当します。
thinking: {"type": "disabled"} も同様です。 レイテンシを抑えるために推論を切っている実装は、between_tools へ書き換える必要があります。コスト削減のために thinking を切っていた組織が、移行時にいちばん引っかかる箇所です。
computer use を使っている場合は、プロバイダーによって挙動が割れます。 旧 computer_20251124 は Claude API と Google Cloud では拒否されますが、Bedrock では動き続けます。 マルチクラウドで冗長化している構成だと、同じコードが Bedrock では通り Claude API では落ちるという、最も切り分けにくい形の障害になります。移行時はプロバイダーごとに検証してください。
thinking ブロックのアカウント紐づけは、見落とされやすい変更です。 あるアカウントで生成した thinking ブロックを、別アカウントのリクエストに載せても推論前に破棄されます。会話履歴をアカウントをまたいで引き回す設計(共有ワークスペース、マルチテナントの SaaS、社内の共通プロキシ)を採っている場合は、期待した継続性が得られません。
モデル選定の前提も更新が必要です。 これまでの「Opus が上位、Sonnet が廉価版」という理解は、エージェント型コーディングに関しては成り立ちません。 Terminal-Bench で Sonnet 5.5 が Opus 5.5 を上回っている以上、CI で走らせる自動修正や、定型的なコード変更のパイプラインは、半額の Sonnet 5.5 のほうが速くて強い可能性があります。 一方 FrontierCode のような難度の高い設計判断では Opus 5.5 が上です。「上位モデルを使えば安全」という運用は、この世代からコストの無駄になります。
社内ガイドラインを持っている組織は、モデル一覧と推奨の書き換えが必要です。 9月22日の Opus 5.5、9月28日の Sonnet 5.5 と1週間で2つ動いており、Haiku 5.5 も控えています。 個別に追うより、「モデル名と価格を本文に直書きしない」という書き方へ変えるほうが、長期的には安くつきます。
副業・個人活用視点
単価が下がったことより、1タスクあたりのコストが下がったことのほうが効きます。 入力 $2 / 出力 $10 は Sonnet 5 と同水準ですが、**必要トークン数が減り、生成が30%以上速くなった結果として「最大30%安い」**という説明です。同じ予算で試行回数を増やせるという意味になります。
受託でコード自動化を組んでいるなら、モデル構成を見直す価値があります。 エージェント型コーディングで Opus 5.5 を上回るスコアを、半額で出しています。Opus を既定にして走らせているパイプラインは、Sonnet 5.5 に切り替えるだけで費用が半分になり、しかも速くなる可能性があります。 ただし FrontierCode 系の難しい設計判断では Opus が上なので、「難所だけ Opus、残りは Sonnet」という2段構成が現実的な最適解になりそうです。実際に自分のタスクで並べて測ってから決めてください。
文書・スライド・スプレッドシート作成が明示的に強みとして挙げられている点は、コード以外の受託にとって意味があります。資料作成の代行、議事録の整形、提案書のたたき台。**「範囲の決まった仕事を、体裁よく、速く、安く」**というのが公式の位置づけです。
個人で API を叩いている場合、移行の手間は小さくありません。 強制ツール利用と thinking 無効化は、個人開発でこそ「とりあえず確実に JSON を返させる」「レスポンスを速くする」ために入れがちな設定です。切り替え前に、自分のコードを tool_choice と thinking で grep してください。動かしてから気づくと、原因の特定に時間を取られます。
Haiku 5.5 が数週間後に来ます。 大量処理・低単価の用途を組んでいるなら、いま Sonnet 5.5 で作り込むより、Haiku 5.5 を待ってから測り直したほうがいい場面があります。 今回の Sonnet 5.5 の伸び幅を見る限り、Haiku 側の更新も小さくない可能性があります。