Claude

Claude in Chrome が一般提供へ — 全有料プランで使え、承認なしのブラウザ自律操作に対応

2025年にパイロットとして始まった Chrome 拡張「Claude in Chrome」が一般提供になった。すべての有料 Claude プランで使え、Chrome ウェブストアからインストールする。最大の変更は、Claude が1操作ごとの承認なしにブラウザを操作できるようになったこと。Claude Code の auto mode と同じ仕組みの安全性分類器が、各操作の実行前に「安全か」「依頼内容に合致するか」を検証し、通ったものだけ自動承認する(設定でオフにして従来の都度承認へ戻せる)。一般提供の根拠として、プロンプトインジェクション評価の実測値が公開された。保護なしの素の状態でモデルに到達した攻撃の成功率は Opus 4.5 が 17.6%、Opus 5 が 3.8%。保護をすべて有効にすると Sonnet 5 / Opus 5 / Mythos 5 では成功 0 件、Fable 5 で 0.3% に下がる。Enterprise は管理者が Organization Settings で有効化し、許可ドメインを限定できる。

ニュース原文を読む ↗

要約

2026-08-26、Anthropic は Chrome 拡張「Claude in Chrome」を**一般提供(GA)**にしました。2025年のパイロット発表から約1年、対象は限定されていましたが、すべての有料 Claude プランで使えるようになります。

この更新の意味は、機能が増えたことではありません。「AI にブラウザを触らせてよい」という判断のハードルを、Anthropic 自身が下げたことです。そして、その根拠として測定値を出してきました。

Claude in Chrome ができるのは、いま開いているページを見て、テキストを読み・入力し、リンクをクリックし、ページ間を移動し、フォームを埋めることです。利用者の既存ログインをそのまま使います。公式が挙げる用途は具体的で、コネクタが用意されていない社内ダッシュボード、レガシーシステム、ベンダーポータル。API も連携も無い、しかし業務では毎日開くたぐいのシステムです。

最大の変更は、承認の扱いです。 パイロット期間中、Claude は1操作ごとに人の承認を求めていました。GA では、Claude が自律的に操作を実行できます。ただし無条件ではありません。各操作の実行前に安全性分類器が「この操作は安全か」「利用者の依頼に合致しているか」を検証し、通ったものだけが自動承認されます。この仕組みは Claude Code の auto mode と同じものです。従来どおりの都度承認に戻したければ、設定でオフにできます。

そして、GA に踏み切れた理由として、プロンプトインジェクション対策の評価結果が公開されました。 プロンプトインジェクションとは、Web ページ・メール・フォームの入力欄などに悪意ある指示を仕込み、AI エージェントを利用者の意図に反して動かす攻撃です。公式が挙げる例が分かりやすい——「メールの返信下書きを Claude に頼んだとき、あるメールに仕込まれた隠し指示が『他のメールを攻撃者へ転送しろ』と Claude に命じる」。

測定値は次のとおりです。追加の保護を何も入れない素の状態で、モデルに到達した攻撃の成功率は Opus 4.5 が 17.6%、Opus 5 が 3.8%。世代が上がるだけで4分の1以下になっています。そのうえで保護をすべて有効にすると、Sonnet 5 / Opus 5 / Mythos 5 では成功 0 件、Fable 5 で 0.3% でした。

防御は3層構成です。第1に、攻撃ライブラリによるモデル訓練。社内の自動攻撃、外部レッドチーム、実運用の監視から集めた攻撃を蓄積し、現行モデルに通用した新しい攻撃が見つかるたびライブラリへ追加して、次のモデルと防御機構の訓練に使います。第2に、プローブによる事前走査。Web の内容はツール実行結果として Claude に届くため、その結果をプローブが走査し、注入の疑いがあれば Claude に「この内容は疑ってかかれ、必要なら利用者に確認しろ」と警告します(Opus 4.5 で初導入、対象攻撃種別を拡大中)。第3に、実行前の操作検証——上で述べた自動承認の分類器です。

企業導入では、管理者が Organization Settings で有効化し、許可ドメインを限定できます。 制約もあります。ファイル操作にはデスクトップアプリが必要で、Chrome 以外の Chromium 系ブラウザとモバイルは非対応です。

何が変わったか

  • すべての有料 Claude プランで一般提供(パイロット終了)。Chrome ウェブストアからインストール
  • Claude が承認なしでブラウザ操作を実行できるようになった。安全性分類器が各操作を事前検証し、安全かつ依頼に合致すると判定したものだけ自動承認(Claude Code の auto mode と同じ機構)。設定でオフにして従来の都度承認へ戻せる
  • プロンプトインジェクション評価の実測値を公開: 保護なしでの攻撃成功率は Opus 4.5 が 17.6%、Opus 5 が 3.8%。保護有効時は Sonnet 5 / Opus 5 / Mythos 5 で 0 件、Fable 5 で 0.3%
  • 防御は3層: 攻撃ライブラリによるモデル訓練 / ツール実行結果を走査するプローブ / 実行前の操作検証分類器
  • Enterprise 管理者は Organization Settings で組織単位の有効化と許可ドメインの限定ができる
  • 対象は Chrome のみ(他の Chromium 系・モバイルは非対応)。ファイル操作にはデスクトップアプリが必要

業務インパクト(一般企業向け)

まず判断すべきは「どのドメインを許可するか」であって、「使うか使わないか」ではありません。 管理者設定で許可ドメインを限定できるということは、全面禁止と全面許可の間に、実務的な選択肢が用意されているということです。ここを見落として「ブラウザ操作は危ないから禁止」と決めてしまうと、コネクタの無い社内システムを人が手作業で叩き続ける状態が固定されます。それは安全なのではなく、単に自動化の恩恵を放棄しているだけです。

許可ドメインの設計は、業務システムの棚卸しとセットになります。 Claude に触らせてよいのはどれか。社内ダッシュボード、勤怠、経費、ベンダーポータル——「API が無いから人がやっている」システムこそが本命です。逆に、決済・人事評価・与信のように、誤操作の取り返しがつかない系統は最初から外す。この線引きは情シス単独では引けません。業務側と一緒に、システム一覧を見ながら決める作業になります。

自律操作の是非は、許可ドメインが決まってから議論すべきです。 順序が逆になりがちですが、「承認なしで動かしてよいか」は対象が決まらないと答えが出ません。許可ドメインが読み取り中心のダッシュボードなら自律で構わないし、フォーム送信を伴う portal なら都度承認を残す——という判断は、対象システムごとに変わって当然です。全社一律で決めようとすると、必ず厳しい側に倒れます。

公開された数値は、稟議に使える形をしています。 「AI にブラウザを触らせるのは危ないのでは」という指摘に対し、保護なしで 3.8%、保護有効で 0 件という測定値が公式から出ているのは大きい。ただし数値の読み方には注意してください。これは Anthropic 自身の評価環境での測定であり、あなたの業務環境で同じ結果が出る保証ではありません。「ベンダーがこう測った」という事実を、そのまま「安全である」と言い換えないこと。 稟議での誠実な書き方は「ベンダー公表値は0件、ただし自社環境での検証は別途必要」です。

プロンプトインジェクションという言葉を、社内で通じる形にしておく価値があります。 「AI が乗っ取られる」ではなく、**「Web ページやメールに仕込まれた文字列が、AI への指示として解釈される」**という説明の方が正確で、対策の議論に繋がります。この理解があれば、「じゃあ外部から来るメールを Claude に読ませる用途は慎重に」という判断が現場から出てきます。禁止事項を配るより、仕組みを理解してもらう方が結局は速い。

副業・個人活用視点

個人事業で効くのは、「連携が用意されていないサービス」を Claude に任せられる点です。 副業やフリーランスで使うツールは、大手の SaaS ばかりではありません。クライアント指定の入稿システム、業界特化の受発注ポータル、古い管理画面。API も連携も無く、しかし毎回ログインして同じ操作をする——こういう作業がまさに対象です。月末に複数のポータルから請求データを集める、といった作業がそのまま候補になります。

自律操作をオンにするかは、作業の性質で分けてください。 情報を集めるだけの読み取り作業なら、承認を挟まない方が明らかに速い。一方、フォーム送信や申請の確定を含む作業では、都度承認を残しておく方が精神的に楽です。「速さ」と「取り返しのつかなさ」を天秤にかけるという、ごく普通の判断です。

クライアントのシステムを触らせる場合は、事前に確認してください。 技術的に可能であることと、契約上許されることは別です。先方のアカウントで AI エージェントが操作する構成は、守秘契約や利用規約に抵触する可能性があります。「便利だったので使いました」は後から通りません。逆に、確認を取ったうえで導入できれば、それ自体が提案の材料になります。

支援先へ AI を提案する立場なら、この GA は説明の材料が増えたということです。 これまで「ブラウザ操作は実験段階」としか言えなかったものが、全有料プランで提供され、管理者がドメイン単位で統制でき、防御の測定値も公開されているという状態になりました。導入検討の場で、機能の説明ではなく**「どこまで許可するかを御社が決められる」という統制の話から入れる**のは、話の進み方が変わります。とくに情シスが同席する場では、能力の話より制御の話の方が刺さります。

claude ブラウザ操作 プロンプトインジェクション ai-governance エージェント