ChatGPT / OpenAI

ChatGPT が手元の文脈へ踏み込む、Computer History と Google Drive の Library 統合

macOS アプリに Computer History が加わり、ChatGPT と Codex が選択したアプリ・サイトの操作履歴を参照できるようになった。既定オフで Pro / Business / Enterprise が対象、Business と Enterprise は管理者の許可が前提。あわせて Google Drive が Library に統合され、Docs / Sheets / Slides を会話の横に開いたまま扱える。

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要約

ChatGPT のリリースノートに 2026-08-13 付で2件が追加されました。どちらも ChatGPT が手元の文脈へアクセスする範囲を広げる方向の変更です。

**1つ目は Computer History for macOS。**ChatGPT の macOS アプリのオプトイン機能で、ChatGPT と Codex が、ユーザーが選んだアプリや Web サイトの活動を参照できるようになります。狙いは、毎回すべてを説明し直さずに作業を続けられるようにすることです。

記録されるのは操作イベントであり、スクリーンショット、画面録画、マイク入力、システム音声は含まれません。プライベートブラウジングも対象外です。

既定ではオフで、Pro / Business / Enterprise が対象。**Business と Enterprise は、メンバーがオプトインする前に管理者がアクセスを許可する必要があります。**ユーザー側は一時停止でき、対象に含めるアプリとサイトを選び、タイムラインの項目を確認・削除できます。EEA、英国、スイスでは現時点で提供されません。

**2つ目は Google Drive の Library 統合。**Google Drive プラグインを接続していると、Library から Drive のファイルとフォルダを直接閲覧できます。直接共有されたアイテムも含まれます。コンポーザーや @ メンションから Drive のファイルを呼び出し、再アップロードせずに任意のチャットへ追加できます。

ファイルを扱っているときは、Google ドキュメント / スプレッドシート / スライドを会話の横に開いたまま、要約、分析、比較、そこからの新規作成を依頼できます。フォルダを選んで、その中のファイル群を横断して作業させることもできます。対応かつ認可されている場合は、ChatGPT がソースファイルを直接更新できます。

提供範囲には制限があります。初期の体験に含まれるのは My Drive と、直接共有されたファイル・フォルダで、共有ドライブ(Shared Drives)は未対応です。Drive の編集・共同編集機能の一部も ChatGPT 内では使えません。Plus / Pro / Enterprise / Edu / Healthcare / Business の Web 版に、Chat と Work の両トグルで展開されます。モバイル対応は後続です。

何が変わったか

  • Computer History で ChatGPT / Codex が選択したアプリ・サイトの操作履歴を参照できる(macOS)
  • 記録対象は操作イベントのみ。スクリーンショット・画面録画・マイク入力・システム音声は含まない
  • Computer History は既定オフ。Pro / Business / Enterprise が対象で、Business / Enterprise は管理者の許可が前提
  • Computer History は EEA / 英国 / スイスでは未提供
  • 対象アプリ・サイトの選択、一時停止、タイムライン項目の確認・削除が可能
  • Google Drive のファイル・フォルダを Library から閲覧でき、再アップロードなしでチャットへ追加できる
  • Docs / Sheets / Slides を会話の横に開いたまま要約・分析・比較・新規作成を依頼できる
  • フォルダ単位でファイル群を横断した作業を依頼できる
  • 対応・認可されている場合、ChatGPT がソースファイルを直接更新できる
  • Drive 統合は共有ドライブ未対応。Plus / Pro / Enterprise / Edu / Healthcare / Business の Web(Chat / Work 両トグル)、モバイルは後続

業務インパクト(一般企業向け)

Computer History は、導入判断が最も慎重になるべき類の機能です。

「選んだアプリとサイトの活動を AI が参照する」という機能は、便利さと引き換えに、業務中の操作が記録されるということでもあります。OpenAI 側の設計は抑制的で、記録するのは操作イベントだけ、スクリーンショットも画面録画もマイクも含まないと明示しています。プライベートブラウジングも対象外です。既定オフで、Business / Enterprise は管理者の許可が要る。ユーザーが対象を選べて、一時停止も削除もできる。設計としては配慮が積まれています。

それでも、導入するなら整理すべきことがあります。**どのアプリとサイトを対象にするかは、実質的に「どの業務を記録するか」の決定です。**顧客情報を扱う画面、人事系のシステム、経理のダッシュボード。こうしたものを対象に含めるかどうかは、便利さだけで決められません。管理者が許可した後、実際に何を対象にするかは各ユーザーの選択に委ねられるので、ガイドラインなしに許可を出すと、判断が個人任せになります。

EEA / 英国 / スイスで未提供という点も重要な示唆です。この種の地域制限は、たいていデータ保護規制との整合が理由です。**該当地域に拠点や従業員を持つ組織は、そもそも使えません。**多国籍で運用している場合、使える拠点と使えない拠点が分かれることになります。

Google Drive 統合の方は、素直に業務が楽になる変更です。

これまで Drive のファイルを ChatGPT に渡すには、ダウンロードして再アップロードする必要がありました。この手間がなくなり、しかもフォルダ単位で横断させられます。「この案件フォルダの資料を全部見て、論点を整理して」という指示が通るようになるわけです。実務での使用頻度は高いでしょう。

注意点は2つあります。1つは共有ドライブが未対応であること。組織で Google Workspace を使っている場合、業務ファイルの多くは共有ドライブにあります。My Drive と直接共有されたものだけという制限は、企業利用では効きます。「使えると思ったら対象外だった」となりやすい部分です。

もう1つはソースファイルを直接更新できる点です。対応かつ認可されている場合に限られますが、読むだけでなく書き込める。誤って上書きされたときに気づける体制があるかを確認しておくべきでしょう。Drive には版管理があるので復旧はできますが、それを知らないユーザーが慌てることは避けたいところです。

副業・個人活用視点

個人利用だと、Drive 統合の方が先に効きます。

クライアントから共有された資料が Drive にあるとき、ダウンロードして再アップロードする手間がなくなります。フォルダ単位で渡せるので、「この案件の資料を全部読んで整理して」がそのまま通ります。細かいことですが、頻度が高いぶん積み上がる改善です。

ただし直接共有されたファイルは対象、共有ドライブは対象外という線引きは覚えておいてください。クライアントが共有ドライブで資料を管理している場合は使えません。ここで詰まると「動かない」と誤解しがちです。

**Computer History は、個人だと判断が分かれる機能です。**Pro が対象なので個人契約でも使えますが、自分の操作履歴を渡すことに抵抗があるなら無理に使う必要はありません。既定オフなので、放置しておけば何も起きません。

使う場合は、対象アプリを絞ることを勧めます。「全部入れる」設定にすると、案件と無関係な操作まで文脈に入ります。開発案件なら IDE とドキュメントサイトだけ、といった絞り方の方が、精度の面でも安心の面でも良い結果になるはずです。

案件として拾える切り口は、Computer History の導入判断支援です。企業側から見ると、便利そうだが記録されることへの懸念があり、判断材料が要る。「何が記録されて何が記録されないか」を正確に整理し、対象アプリの選定ガイドラインを作る。技術の話ではなく、業務の切り分けの話なので、業務理解のある立場が有利です。

発信のネタとしては、Computer History の記録範囲を正確に説明する記事が価値を持ちます。この手の機能は「画面を全部見られる」と誤解されやすく、実際は操作イベントのみでスクリーンショットは含まれません。**誤解を解く記事は、煽る記事より長く読まれます。**加えて EEA / 英国 / スイスで未提供という事実は、なぜそうなのかを考える材料になります。

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